紅様のお部屋
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紅様の小説
蒼き龍の物語 |
紅様からの投稿小説の修正版です あらすじ
一人の少年がいた。 父と母と共に過ごすというどこにでもある幸せを当たり前のように享受する。 そんなどこにでもいる平凡な少年が、いた。 恵まれた幸福の中にいた彼は類稀な優しさを持って成長し、人の為に心を砕けるような人間になりつつあった。 だがそんな幸せはある日、何の前触れもなく壊されてしまう。 彼が出会ったばかりの少女の涙を止める為に『魔法』を使った日。 彼と少女が子供らしい純粋さで将来を誓い合ったその翌日に起こった出来事だった。 閃く白刃と、耳を劈く轟音。 怒声と悲鳴、そして聞いたことのない声の狂笑。 それはさながら少年の人生を破滅させるオーケストラのように。 自分を庇った母は死に。 自分を護った父は力尽きるように病院へ運ばれた。 自分の服、自分の顔、自分の身体にはそんな必死に自分を護ってくれた両親の血。 その光景を彼は目と、耳と、そして心に深く刻み込んでしまう。 平凡な少年はその日、その時に死んだのだ。 もしかすればこんな出来事が起こらなかった世界というものがあるのかもしれない。 少年の家柄に何も伝えられていなければ。 先祖代々に渡って親から子へと受け継がれ続ける『力』さえなければ。 平凡に成長し、普通な生活を送り、そして寿命を迎え朽ちる。 そんな人生があったのかもしれない。 だがこの世界の彼にはそんなものはない。 彼自身がそんな生活を望まなくなってしまったから。 人生を一度、壊された少年。 壊されて尚、優しさを忘れなかった少年。 日常を誰よりも大切に想いながら、非日常に染まり切ってしまった少年。 彼の名は『式森和樹』と言った。 |