三段飛行甲板空母から発射されたそれは一直線に目的地に向かっていた。

ガオファイガーへ届けられる希望として………

『和樹、今そっちへ送ったわ。座標軸を固定して!』

「はい!」

和樹は通信を受け取ると、一気にバーニアを噴射させた。ここまででかなりエネルギーを消耗してしまった。

チャンスは一度きり。

(それでも、やるしかない!)

一気にガオファイガーが浮上。

その勢いを維持したまま一気に雲の上まで辿り着く

「………来た!」

モニターでそれを確認すると、それめがけて再び加速する。

『これ』は装置の説明だけで、今までやったことはなかった。

それでもやるしかない。

街を守るため、

そして、父親に近づくために。

「おおおおおおお!!」

ガオファイガーが左腕を突き出した。

それに引き込まれるように、オレンジ色のドライバーが接続された。

「よし!」

接続するとガオファイガーは、一気に地上へ急降下した。

WIZ−02が自分を見失ったことに慌ててキョロキョロしているのが見える。

(使うところは、もう少し、下………)

「はああ!!!」

「ディバイディング・ドライ バァァーーー!!!!」

和樹は接続したそれを、地面に突き刺す。

そして、

大地が………割れた。











       第 二十七話         ファースト・ミッション(後編)














「あれは………!?」

「大地を割ったですって………」

「ディバイディングフィールドですねえ………」

「…………分かりました、主」

「ガンベルク?」

「アヌレット、ギムレット。それに、ベイオル。引き上げだ」

「なんだって! 僕はまだやれ…」

「主の命令だ。それに、ああなった以上、あのゾンダーロボには勝ち目はない」

「ガンベルク!!」

「子供みたいに愚痴をこねるんじゃないの。ベイオル」

「やれやれ、付き合っていられませんねえ」

「くっ……!」

(覚えていろよ・・・・・・・・・GGG!!!)









「アレスティングフィールド、固定」

「レプリションフィールド、安定」

「建造物破壊ゼロ………成功です!」

夕菜達の言葉に、メインオーダールームは一気に歓喜をもたらした。

ここだけではない。

GGGの隊員全員がこの報告に歓声を上げた。

モニターの向こう―――戦いの舞台である新宿区歌舞伎町には、巨大な円形状の穴がぽっかりと開いていた。

ヒビが入った感などは一切ない。

無理やり押し広げたわけではない。

それが証拠に、玖里子の言葉にあったように建物に影響は一切なかった。

そのままそっくりと、そこに穴が出現したのだ。

「よっしゃあ! それでこそ勇者!」






ディバイディングドライバー

それは、広域破壊を目的とする敵に対抗するためGGGが開発したツールだった。

敵の目的が何にせよ、確実に人が多くいるところを狙ってくる。

そしてそれによって都市が被害にあうということは容易に予想できる事態である。

そこで考え出されたのが、ガオファイガーのバリアシステム、『プロテクトウォール』に使われる空間湾曲エネルギーを利用するという事だった。

ガオファイガーの左腕に装備したこのマイナスドライバー型のマシンは、空間湾曲の出力を取り込んで開放、一気に地下深くで爆発させる。

爆発したエネルギーは大地を歪め、そこに半径数十kmにも及ぶ新たな空間を生み出す。

そこに出来た空間で戦えば、理論上は周りに被害は出ない。

これが勝利の鍵だ!










「これ被害は出ない………」

『和樹、思う存分やっちゃいなさい!』

「了解!」

和樹は残ったエネルギーを振り絞った。

ガオファイガーが右腕を後ろに回した。

右腕はゆっくりと、赤く染まりながら回転していく。

「ゾンダーーー!!」

一方ゾンダーロボもガオファイガーに向かってミサイルを全弾発射する。

乳白色の刃が容赦なくガオファイガーに襲い掛かった。

しかしそれは、あくまで『ガオファイガーがいた地点』に過ぎない。

「ここだあ!!」

「!?」

WIZ−02が慌てて空を見上げる。

そこには、天空に、大きく脚を振り上げるガオファイガーの姿があった。

「うおりゃあああ!!!!!」

全体重を乗せての、問答無用のカカト落とし。 

バリアを展開するまもなく、WIZ−02の頭は鈍い音を立ててつぶれた。

「まだまだぁ!!」

ガオファイガーが右腕を突き出す。

紅に染まりながら右腕が回転していく。

「ブロウクン・ファントム!!!」

打ち出された鉄拳は、次々とミサイルをなぎ払いながらWIZ−02へと向かっていく。

ゾンダーロボはバリアを展開するまもなく、その体に大きな穴を開けた。

『グギャアアアア!!!』

「よし………止め!」

もう敵に反撃の力は残っていない。後は核の摘出だった。

和樹の両腕に力がこもった。

「ヘル・アンド・ヘヴン!」

ガオファイガーの機体の色が翠緑に染まった。

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ………」

両腕を組む。

そしてその周りから発した竜巻に、容赦なくWIZ−02は拘束される。

「はああああああ!!!」

ガオファイガーは組んだ両腕を突き出しそのまま突っ込む。

「あああああああ! でありゃあ!!」

ゴバキャア!!!

「はああああ ああ………せいっ!」

和樹がその巨体に突っ込んだ腕を、そのまま引き抜く。

街を破壊してきたWIZ−02

破壊の魔人の最後は………その破壊のツケを返すような、

壮絶なものとなったのだった。






「エネルギーレベルゼロ! WIZ−02消滅を確認………疲れたわ」

「やったあ!」

「ふう………冷や汗をかいたぞ。式森」

「さてと………舞穂ちゃん。後始末よろしく」

そういった雷王は疲れた様子も冷や汗をかいた様子もなかった。

まあ、夕菜もそうだったが。

『りょ〜かい!』

元気よく叫ぶ舞穂の声が、ベイタワー基地中に響いた。









『テンペルム………ムンドゥース・インフィニ・ ドゥーム……』

舞穂とゾンダー核の周りが紅の光で満ちる。

ゾンダー化された人を元に戻す奇跡の魔法、『浄解』だった。

「レディーレ!」

指先から放たれた光の渦がゾンダー核に吸い込まれる。

それは、核の姿を、今までの罪を洗い流すように内側から解きほぐす。

30秒あっただろうか。

街を破壊しつくしたその元凶は、

ガオファイガーの手のひらでむしゃぶり泣いていた。











「碇。新宿に現れたゾンダーが、たった今殲滅されたようだ」

どこかの一室。

暗闇のオフィス。

その中で、密かに会話をし続ける、二人の男の姿が会った。

「そうか……ならばそろそろ出るはずだ」

「ラミエルか?」

「いや、次は第六使徒だ」

碇と呼ばれた男の言葉に、もう一人は眉をひそめた。

「どういうことだ?」

「シナリオで修正の必要がでた」

「大丈夫なのか?」

碇に動揺や焦りは微塵もない。

ただひたすら、組んだ両腕で顔を隠し、その眼は遠くを見ていた。

「心配性だな。冬月」

「『彼女』を思ってのことだ。わかるだろう」

その言葉に、すこしだけ揺らぎが出たように見えた。

しかしそれも、一瞬の出来事。

「フッ……分かっているさ」










世界は侵食してゆく。

黒い海に、その体を染めながら

その様子を感じさせないほど緩やかなスピードで



この世の中が………ずれていく

その青い身体から、

ネジが取れていくように………

誰でもわかるのに………人々はそれに気付かないで………









あとがき


君たちに、最新情報を公開しよう!

ドイツからの戦艦の護衛につかされたGGG。
だがそこに現れた敵、『使徒』は我々の想像を遥かに超えたものだった。



ファントムガオーが出撃できない状況の中で、紅の巨人がその姿を見せる。

あれは何だ?

ついに我々は、この世界の一端を垣間見る!

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次回もこの小説に、ファイナルフュージョン承認!

これが勝利の鍵だ! 『EVA



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