プロローグ
そこは小さな、それでもそれなりに豊かでとても 平和な村だった。
少年はそんな村に生まれた・・・家は裕福ではな いものの、食べるのに困るほど貧乏でもなく、父も母もとても優しかった。
ある日少年は同じ村の子供たちと村小川で遊んで いた時だった。
「カズキ君〜遅いよ〜、橋の下まで一番遅く来た 奴が鬼だからね〜」
「あはははは、待ってよみんな〜」
そういって、子供達を追いかける少年・・・しかし、足が遅いのかみるみるうちに離されていく
「ま、まってよ・・・み、みんなぁ〜」
疲れたのか、少年は足を止めてその場にヘタりつくしてしまう。
そして、少年は気がつくヘタりついた所に小さなキラキラした石が落ちてることに
「あれ? 宝石かな? 綺麗な石だなぁ・・・お母さんにプレゼントしたら喜んでくれるかな?」
そう言いながら、少年はその石に触れる・・・その瞬間!!
「う、う わぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!」
少年が石に触れた瞬間石がまばゆい光を放つ。
その光から巨大なドラゴンが、全身を鎧に身を包んだ武者が、漆黒のマントに身を包んだ悪魔が、体の大半を機械 が占める獣が現れる。
そして、
次の瞬間、少年の周りは火の海になった。
石は更に少年の体から魔力を吸い、更に輝きを増し村を焼き払っていく・・・家を畑を大人を子供を・・・見境な しに焼き払っていく召喚獣達
仲の親しい友達も、仲の悪い友達も、近所の優しいおばさんも、おじさんも・・・みんな、みんな燃えていく
少年には、止める術がなかった・・・それどころか、少年の意識は段々薄くなっていく。
赤々と燃える村、逃げ惑う人々、炎に巻かれ倒れていく家々・・・
「いやだ、こんなのいやだ・・・いやだぁぁぁぁ〜〜〜!!!!!」
少年が目覚めた時そこは、馬車の中だった。 しかし、少年の腕は縛られ、身動き一つ取れない状態だった・・・
そして、少年は思い出す自分の村がどうなったのかを・・・ 夢であって欲しいと思った・・・だが、自分の今の 状態を見るとそんな思いは悲しくも砕かれてしまう。
これから僕はどうなる
んだろう・・・
少年の心はそんな不安で満たされていった・・・