第1部   〜動き出す運命〜

 

 

 

 

第27話 対話

 

 

「ここは・・・」

 

和樹は闇の中に1人佇んでいた。

 

和樹は知らないがここは綾乃が炎 雷覇の試練を受けた空間と同じ場所である。

 

綾乃はここに来て訳が分からずた だ呆然としていることしかできなかったが和樹は少し違った。

 

(・・・・・・あの時に似てい る)

 

ここが自分たちの生活している空 間とは別の世界であることはすぐに理解することができた。

 

そして和樹はこれと似た空間へ1 度訪れたことがある。そのときの空間とこの空間はとても似ていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

ゆっくりと辺りを見渡してみるが 見えるのは闇だけである。

 

(似ているけどあのとき の・・・・・・あの場所とは違う。別の誰かが作ったものか・・・)

 

和樹はゆっくりと足を前へと踏み 出した。

 

(・・・この声・・・・・・・聞 こえる・・・僕を呼ぶ声が・・・)

 

誰だかははっきりとはしない。

 

だが自分が今歩みを進めている先 に誰か自分を呼んでいる者がいると和樹は感じ取った。

 

「・・・・・・・・・君が僕を呼 んだのか?」

 

ふと足を止めると和樹はある方向 へ顔を向けた。

 

するとそこにまばゆいばかりの黄 金の玉座が浮かび上がった。

 

「・・・・・・誰だ?」

 

「私が声を掛ける前に気がつくと はさすがですね」

 

玉座の中から女性の声が返ってき た。

 

「あなたが黒炎の精霊王と契約し た式森和樹ですね」

 

姿を現した女性は小柄で、異国風 の衣装と振袖を合わせた衣装を身に纏っていた。

 

隙のない動きを感じ取り和樹の身 体は自然と警戒態勢と移行した。

 

「隙のない構え、正体のわからぬ 私を前にしても揺れることのない強き心・・・・・・さすがですね」

 

女性は和樹との間に一定の距離を 保ちながら和樹を中心に円を書くように歩き始めた。

 

「褒めてくれるのは嬉しいですけ ど一体僕に何の用があるんですか?」

 

殺気を抑えながらも警戒しながら 和樹は女性へと問いかける。

 

「・・・・・・あなたの力を見て みたいのです・・・・・・はぁっ!」

 

「!?」

 

女性は衣装をひらめかせながら炎 の鞭を和樹へと躊躇なく放った。和樹はそれを後ろへ飛びながら余裕を持って交わす。

 

「まだ終わりません」

 

炎の鞭はまるでそれ自体に心が 宿ったかのような動きで和樹へと迫る。

 

和樹はその攻撃から身体をそらし 五感を振るに使って交わし続ける。

 

炎の鞭を避け損なえばただではす まない。それにも関わらず和樹はどこか女性の鞭を振るう動きを楽しんで見ているように見えた。

 

第3者が見れば2人が命のやり取 りをしているとはとても思えないだろう。さながら優美に舞を見せる男と女に見える。

 

(私を前にまだこの男は余裕があ ると言うのか? ならば・・・)

 

女性は炎の鞭を振るうのを止める と右手と左手を胸の前で音を断てて合わせた。

 

「本気でいきます」

 

合わせた両手を離すと黄金の剣が 出現した。

 

「その剣は・・・」

 

「神凪の宝剣であった炎雷覇で す。今となっては宿主のない宝具ですがね」

 

女性の手にしている剣はまぎれも なく炎雷覇。

 

これには和樹も驚きを隠せなかっ た。

 

「なぜあなたが炎雷覇 を・・・?」

 

女性は和樹の問いに答えようとせ ず、衣装から美しい腕を見せながら炎雷覇を八双に構えた。

 

「あなたも本気で来なさい、式森 和樹。黒炎の契約者よ」

 

「・・・・・・・・・」

 

和樹は無言で右手に黒刀を構え た。

 

煉にもう1つの魔法具は譲り渡し たので一刀流で左手を腰に添えて、右手を前に出す形で構えた。

 

「いざっ!」

 

女性は和樹へと鋭い斬撃を放つ。

 

和樹はそれを黒刀で受け流して、 自分も斬りかえす。

 

身体を横に回転させながら刀を避 けると和樹に向けて炎が放たれた。

 

迫ってくる炎を和樹は黒刀に炎を 召喚して打ち消す。

 

「これを受けてみよ!」

 

女性は炎雷覇を冗談から和樹に向 けて振り下ろした。すると炎の巨大な刃が和樹へ迫った。

 

綾乃が手にしていたときとはまっ たく別の物のような炎雷覇の力。

 

(・・・・・・なるほど、これが 本当の炎雷覇か)

 

自分へと迫ってくる巨大な刃を前 に和樹は刀を構える。

 

「これぞ炎雷覇の真の力、この一 撃をどう止める式森和樹!」

 

炎を前にする和樹に女性は声を上 げた。

 

以下に和樹と言えど、この炎をそ う簡単には受け止めることなどできるわけがない。

 

(炎、水、風、地では止めること はできない・・・なら・・・)

 

黒刀に炎が召喚されるその炎はど んなものよりも黒く燃え上がっていた。

 

「黒炎斬」

 

黒い炎が迫ってきた炎へと放たれ る。黒い炎の刃は女性の放った炎を止めるために放たれた力ではなかった。

 

「なに!?」

 

黒い炎は意とも容易く炎の刃を相 殺してしまった。そして黒炎の刃は地面を大きく斬り裂き巨大な割れ目を残して消え去った。

 

(黒炎・・・ここまでの力の差が あるのか・・・)

 

2つの炎の中の1つ黒炎。その力 の強さは理解しているつもりであったがその力は自分の考えを大きく上回るものであった。

 

(話では式森和樹はまだ黒炎の力 を全てコントロールできていないはず。それにも関わらず私の力を・・・全てを出し切ったとは言えないまでも本気の一撃をこうも容易く打ち消してしまうと は・・・)

 

力を見ていたい、黒炎をこの眼で 見てみたいという気持ちで戦いを挑んだがこれほどの力の差があるとは考えもしなかった。

 

「・・・・・・私の負けです。ご 無礼をいたしました」

 

女性は片膝をつくと和樹に向かっ て頭を下げた。

 

和樹も女性から殺気が消え去った のを見て刀を納めた。

 

「あなたは一体何者ですか? な ぜ炎雷覇をあなたが持っているんです?」

 

警戒しながらも和樹は女性へと問 いかけた。

 

「自己紹介が遅れましたね。私の 名は炎雷覇、炎の精霊王の名の下に生まれた炎の女神、そして最強の呪法具炎雷覇です」

 

「あなたが炎雷覇・・・・・・し かしなぜあなたが僕の前に姿を見せるんですか?」

 

「信じるのですね。私が炎雷覇だ と・・・」

 

炎雷覇は和樹が何の疑いもなく自 分の言ったことを信じたことに驚いた。

 

「あなたからは邪気が全く感じら れません。それとあなたが手にしている炎雷覇は間違いなく本物です。それを持っているということは炎の精霊王か、炎雷覇自身以外は考え付きませんから」

 

「だから私のことを信用できる。 嬉しいです、私を信じてくれて」

 

炎雷覇は和樹に向けて微笑み返し た。

 

「でもなぜあなたは僕の前に、あ なたは綾乃ちゃんが今は持ち主のはず?」

 

「その綾乃に炎を扱う力はもうあ りません」

 

「!? どういうことですか?  それって・・・」

 

和樹は炎雷覇から出た言葉に驚い た。炎を扱う力を失ったとは一体どういうことなのか?

 

「綾乃は兵衛に敗れた後に私が炎 の精霊王からの命令で試験を行いました。自分の力に目覚めたならば私はそのまま綾乃の下に残るということでしたが、彼女は私の試験をクリアすることが叶い ませんでした」

 

「その結果、綾乃ちゃんは炎を使 う力を失ったと」

 

「綾乃だけではありません。神凪 の者からも炎を使う力を炎の精霊王は消し去るお考えです。正し例外として、神凪重悟、神凪厳馬、そして神凪煉はその力を残すと」

 

「神凪は炎の力を失ったという訳 か? まあ、そのことは驚きませんが・・・・・でも綾乃ちゃんまでか・・・」

 

「神凪の者たちは炎の加護を失う だけの十分な理由がある。だが綾乃はそれ以上に問題です」

 

「自分の壁を越えることができな かった・・・という訳ですか?」

 

「そうです。綾乃には見所があっ た。炎を操る潜在能力だけならば重悟をも超えるかもしれないほどの潜在能力を秘めている、しかしそれだけでは何にもなりません。その力を使えるようになっ てこそ本当の力だと言えるのです」

 

「それが綾乃ちゃんはできなかっ た」

 

「綾乃は自分の力を自分で殺して しまっている。今までの環境もあるのでしょうが周りに甘えてしまっているのです」

 

炎雷覇は綾乃に同情もせず淡々と 話し続ける。それを和樹も何も反論せずに聞いている。

 

「私は綾乃を後押しするつもりは ありません。それでも最後まで彼女の力を信じてみましたが駄目でした」

 

炎雷覇は綾乃の教育係でも世話係 でもない。そこまで綾乃のために尽くす気にもなれない。それでも最後まで綾乃にチャンスを与え自分の力を目覚めさせようとした。だが結局それは叶わなかっ た。

 

「これは私だけでなく、炎の精霊 王の意思でもあります。今の神凪には炎の加護を与えるには精霊王は我慢の限界に来ていました。精霊の力を自分の力だと思い、加護を受けているというだけで 自分たちを特別扱いしようとする。力は既に地に落ち意味のない存在、宗家、分家共々、もはや力を与えるに等しいものなど1人もいない」

 

和樹は炎雷覇の言ったことは正し いと思った。

 

今の神凪は、力は下がる一方であ る。力のある者は先代宗主の頼道によって神凪から追い出されてしまっているためさらにその力は下がったといえる。

 

「奴らは与えられた力を自分の力 だと思い、炎術師以外を弱者だと言い蔑んだ。戦闘能力だけを見るならそれも言えなくはないが、精霊術は戦闘能力だけが全てではない」

 

この世に存在するものは動物だろ うが、植物だろうが、精霊だろうが全てこの世に必要なものであるから存在しているのでありそれに対して優越を付けることなどできるものではない。

 

「風の精霊王だけではない。水の 精霊王、地の精霊王、他の王も皆同じ考です。神凪の行いには怒りをあらわにしています。風牙衆の力が弱いのにはそれなりの理由があるのです」

 

「風牙の神に関係あるんです か?」

 

和樹は風牙の神を前にして思っ た。普通の神とは違うと・・・

 

「あなたの言うとおりです、和 樹。風の精霊王は風牙の力を意図的に弱くしているのです。風牙の神は風の精霊王とは相対する邪の神。風の精霊王が浄化ならば、風牙の神は全く逆の力。その ため300年前の反乱の折、炎の精霊王と私は風牙神を封じ込めることにしたのです」

 

「でも、風牙神は目覚めてしまっ た。でもなぜ、精霊王が封じた結界を完全ではなくてもあそこまで弱められるものなんて・・・・・・」

 

「そう、それができる者は2人だ けです。1人は黒炎の精霊王との契約者であるあなた、式森和樹。そしてもう1人が・・・・・・白炎の精霊王との契約者であるあの男・・・・・・!?」

 

次の瞬間、炎雷覇の身体を突き抜 けて周囲を冷たい殺気が包み込んだ。

 

「あいつが・・・・・・今回の首 謀者か・・・」

 

殺気の出どこである和樹は歯を食 い縛り、手から血が流れるほど強く握り締めている。

 

「・・・・・あの男は風牙神の結 界を弱め、妖魔たちを目覚めさせた。そして風牙衆を使い今回のこの騒動を起したのです。しかしその1番の原因を作ったのは神凪には間違いありません。神凪 が風牙衆を不当に扱い続けたのが」

 

炎雷覇は和樹の殺気に絶えながら 話を続ける。

 

「・・・・・・あいつのことはこ の際いい」

 

和樹は何とか冷静になろうと気を 静める。

 

「それでどうするつもりです か?」

 

「先ほども言ったが綾乃の力はも うない。他の神凪の術者も動揺です」

 

「式森家にいる元神凪の術者 は?」

 

式森家には頼道の悪行によって助 けを求めてきた術者がいる。その者たちがどうなるのか、和樹は気になった。

 

「彼らも3人と同様に例外です。 既に神凪を抜けたあの者たちは神凪として考えてはいません。彼らのことは1人の炎術師として精霊王は見ておりますから」

 

「それを聞いて少し安心しまし た」

 

「和樹、あなたに知らせておきま しょう。煉はもうすぐ力に目覚めます。あの炎の少女が旨く煉の力を目覚めさせてくれたようです」

 

「でもそれでも風牙神を相手にす るのはかなり無理がある」

 

人が神に勝つことはできない。黒 炎を使ったとしても和樹の身体が風牙神を倒すほどの黒炎を召喚するのに耐え切ることができないだろう。

 

さらに300年間の封印の長い時 間のせいで体力、精神、あらゆる傷は回復し目覚めたばかりの風牙神の力は300年前以上に脅威になっている。

 

そして妖魔たちがいる。

 

「僕はまだ黒炎の力を使いこなし ていない。千早、レオン、カイは妖魔の相手で精一杯だ。僕と兄さんと煉君だけでは完全に勝てるという保証もない」

 

「それは承知しています。だから こそ私はあなたの前に現れたのです」

 

「どういうことです?」

 

「炎の精霊王からの命令です。式 森和樹の下へ行き力を貸すようにと」

 

炎雷覇の言葉に和樹は驚いた。炎 雷覇は本来は炎の精霊王と契約した者へ行くのが道理。黒炎の契約者である自分のところになぜ炎雷覇が遣わされたのか?

 

「炎の精霊王はなぜ僕にあなた を・・・・・・黒炎の精霊王でなく・・・炎の精霊王が・・・」

 

「あなたは黒炎を使いこなすのに はまだその域に至っていない。しかし、炎の精霊王ならば・・・」

 

「まさか、炎の精霊王は僕を媒介 に直接召喚をしようと・・・」

 

「少なくともあなたは炎の精霊王 の重圧に耐えられるだけの力を持っている。八神和麻と共に力を解放し戦えばあるいは・・・」

 

「無理だ」

 

和樹は炎雷覇の提案を否定した。

 

「確かに僕ならば精霊王の力を使 いこなす方法がある。かなり危険なことだができなくはない。だが兄さんは僕と違い命の保証がない」

 

「・・・・・・ならばどうします か? 神を再び封じると?」

 

「・・・・・・いや、あいつがそ れを阻む。そして神の力を手に入れようとしてくる。それだけは何としても止めなくちゃいけない」

 

「ならば炎の精霊王の考えを受け 入れなさい。それしかこの戦いを終わらせることはできません」

 

和樹は炎雷覇の言葉の重さを感じ た。

 

確かにこの戦いを終わらせなけれ ばならない。しかしそれは同時に危険な橋を渡ることともなる。

 

和樹は考えに考え・・・1つの決 意を自分の心の中で決めた。

 

「・・・わかった。炎の精霊王の 力、そしてあなたの力を貸してもらう」

 

「ならば炎の精霊王の名において あんたを契約を結ぼう」

 

契約を結ぼうと炎雷覇がその剣を 和樹へと差し出した。

 

だが和樹はそれを受け取らずに炎 雷覇と目を合わした。

 

「正し条件がある・・・僕はこの 戦いで黒炎を使うこともあるそうなればあなたは黒炎の炎をその身に宿すことになる」

 

「確かに黒炎を使わなければなら ないでしょう。しかし私には黒炎は荷が重すぎます」

 

炎雷覇は黒炎の炎に耐えることは 無理だと示した。

 

「そこでだ。僕の魔法具をその身 に纏ってもらいたい。黒炎に耐えられるだけの力を魔法具は持っている。僕の刀の名は黒龍刀・・・・・・この戦いの間だけでも炎雷覇、あなたが黒龍刀を纏っ ていれば僕は黒炎も使うことができる」

 

「・・・・・・分かりました。式 森和樹、あんたの力を我が身に・・・」

 

炎雷覇は剣を和樹に、和樹は黒龍 刀を掲げた。

 

「我の名は炎雷覇。炎の精霊王の 名の下に生まれた炎の女神、炎雷覇。式森和樹を契約者として認め力を宿らせよ」

 

「我が名は式森和樹。黒炎との契 約者、炎雷覇と契約をここに結ぶことを誓う。我が刀、黒龍刀をその身に纏い、新たなる剣として我が前に現れよ」

 

和樹の言葉を聞き炎雷覇は和樹の 手へ、そして2つの力は1つとなり和樹の下に現れた。

 

「舞い踊る剣・・・炎の舞を踊 れ・・・炎龍覇!」

 

紅と黒の光を放つ剣、黒い龍の細 工が施された新たな剣へと姿を変え炎雷覇は和樹と契約した。

 

「行くよ、炎龍覇」

 

「こちらの空間から戻るとしよ う。あちらの世界は全く時間が進んではいない」

 

和樹はその空間から下の世界へと 戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・とまあ、こういう わけで今は炎雷覇、改め炎龍覇は僕が持つことになったんだ」

 

「随分スケールのでかい話だ な・・・・・・人間の入れる領域超えてるぜ」

 

「コントラクターの兄さんが言え ることじゃない」

 

炎龍覇を振りながら和樹は和麻へ と言った。

 

「綾乃と神凪はついに見切られた か・・・・・・まあ、今までのこと考えたら当たり前だな」

 

和麻は別に驚いた様子もなく他人 事のように答えた。実際、和麻は既に神凪から出ている身であり気にすることもない。

 

「煉君はもう直ぐ力に目覚めて起 きると思う。でも、綾乃ちゃんは無理だ。魔力は高くても今までの戦い方とは全く異なる戦い方をできるわけがない。千早のように魔法を使わないで戦えるよう になるならば話は別だ・・・・・・それに・・・」

 

「心の問題・・・」

 

千早の言葉に和樹は頷いた。

 

「兵衛に負けた心の傷、炎雷覇に 負けた心の傷、炎術師としての力を失った心の傷・・・・・・エリクサーで身体の傷は癒えても心の受けた傷までは消し去ることはできない・・・・・・綾乃 ちゃんが受けた心の傷は大き過ぎる。目が覚めたとしても後遺症が残ってもおかしくないほどに・・・・・・」

 

綾乃は今回の戦いで心を完全に崩 された。例え目覚めても以前のように生活することができるかもわからないほどに・・・

 

和樹は今になって綾乃をこの場に 同行させることを許した自分を浅はかであったと思った。

 

「和樹、あまり自分を責めんな、 逆にこいつが戦えなくなったということはこいつの死ぬ可能性は低くなった。霧香に連絡して早いことここから離したほうがいいな」

 

「そうだね」

 

「もう大事なものを失うのも、 失った人を見るのもごめんだ」

 

痛みを知っている自分だからこ そ・・・・・・綾乃が死んだとき重悟がどれだけ悲しむか和麻にはわかった。

 

だからこそ、救える命を全力で護 りたいと和麻は思った。

 

それは和樹たちも同じである。

 

失った命は二度と戻ることはない のだから・・・・・・

 

「煉も後少しで目覚める。それま で俺たちがなんとしても2人を護るんだ」

 

「流也と神は僕と兄さんで相手す る。妖魔たちは任せるよ」

 

「分かってるわ」

 

「もう、へまはしない」

 

「即行で倒してやるよ」

 

「できることを、すべきことをす る」

 

「自分の身は自分で護ってみせ る。もう足手まといになんてならない」

 

状況は不利でもここで諦めるわけ にはいかない。なんとしてもこの戦いを勝ち抜かないといけないのだ。

 

「来るぜ・・・」

 

風術師である和麻が妖魔たちの接 近に逸早く気づいた。

 

「神は目覚めた・・・それでも必 ず倒してみせる」

 

「生きて帰ろうぜ・・・・・・ま だ人生の半分も生きてないんだからな、俺たちは」

 

7人は立ち上がると強力な力を感 じるほうを向いて、その地を凝視した。

 

 

 

 

 

 

妖魔たちの前に立つ男は流也で あって、流也でない。

 

もはや完全に人であることを止め たその姿は鬼としか呼べことのできない姿である。

 

「さあ、我が力とともに奴らをこ の世から消し去ろうぞ!」

 

力を発していない状態にもかかわ らずその力はまるで針を飛ばすかのごとく鋭く身体を貫いていく。

 

完全にこの世に甦った風牙 神・・・

 

流也の身体を完全に己が者にし、 この世に再び甦った姿。

 

眠りから醒めたその力は封じられ ていたその年月を力へと変えている。

 

300年の怨み、怒りが風牙神の 力をさらに増大させていく。

 

「さあ行こう。我らの先を阻むも のを殺しに・・・」

 

邪悪な力とともに風牙神は和麻、 和樹を飲み込もうとしていた。

 

 

 

 

あとがき

ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃ ちゃんちゃちゃんちゃん♪

ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃ ちゃんちゃちゃんちゃん♪

せっかく京都にやって着たのに〜 ヤツハシ食べそこないました〜〜〜〜〜・・・・・・

チクショーーーーー!!!

どうもレオンで〜す!

今回はカズと炎雷覇の会話がほと んどで僕の台詞が一言しかありませんでした・・・・・・

チクショーーーーー!!!

やばいこれ嵌りそうだよ!!

次回はついに風牙神とついに激突 です。これからの戦いの流れに注目してください!

何かまた僕の出番が減りそうだ な・・・・・・

作者の・・・・・・

アホンダ ラーーーーーーーーーーー!!!

 

 

 


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