まぶらほ  無限の魔力

 

 

 

 

出会い編

第三話 平和との別れ

 

 

放課後、和樹と千早とレオンは商 店街で夕飯の買い物をして寮に向かっていた。

 

朝レオンに起されたことなどを話 しながら二人並んで歩く姿は甘い雰囲気を出していた。

 

「・・・で、腹の上にレオンが落 ちてきて起きたんだよ」

 

「で、飛び起きたのね。それで PCは直ったの?」

 

「何とかね。量々が足りなくなっ てきたところに色々無理かけていたのが原因だったみたい。やっぱ、HDD増やしとけばよかったかな・・・」

 

「・・・またハッキングなんてし てパソコンに負荷かけて故障の原因作ったなんて言うんじゃないでしょうね?」

 

「・・・・・・・・・レオン、ハ ンバーグは何味がいいかな?」

 

どうやらまた趣味のハッキングを していたようである。

 

ちなみに和樹に破れないセキュリ ティーはほとんどない。

 

しかし和樹はハッカーでありコン ピュータを使って悪事をはたらくクラッカーではない。ここは重要である。

 

「全く、あたしが何回注意しても 止めないのは分かっているけど・・・ほどほどにしないと体壊すわよ」

 

「あは、あははははは・・・」

 

和樹は一度言い出したら聞かない ところがある。

 

時には誰の制止も聞かずに暴走し てしまうことがあるのがたまに傷だ。

 

そのせいで一回身体を壊したこと もあったりする。

 

ちなみに身体を壊した原因はドラ ムの叩きすぎ、趣味で始め、嵌まり過ぎて一日中その場から離れず叩き続けていたために体を壊したのである。

 

「図星だね、カズ」

 

「いい、体壊さないようにちゃん と寝ないと駄目よ」

 

「はい・・・」

 

ちなみに和樹の寝起きが余りよく ないことを千早はよく知っている。

 

物心ついたころから一緒に遊んで きた仲だ。自分や親よりも自分のことを理解しているだろうと和樹は思う。

 

千早のことを一番理解しているの は和樹だろうけど。

 

小さいころは二人とも結婚すると 親に言っていたほど、今はさすがに言わなくなったが、どちらの親も二人の関係を認めている。

 

レオンは、二人が結婚したら毎日 ご馳走が食べられると今から期待して待っている。だが今でもほとんど千早が夕飯を作ってくれている状況である。

 

祖父の式森源蔵、曽祖父の式森源 氏に至っては曾孫、玄孫の顔を今や遅しと待っているのだ。

 

この前なんか電話で『できちゃっ た結婚も許すぞ? ベビー服、ベビーカーはいつ買う?  どんなのがいい?』などと馬鹿なことを聞いてきた。その後、二人の悲鳴が聞こえたが式森家、真の 最強と言われている祖母と曾祖母とが動いたのだろう。

 

いい年して何馬鹿なこと知ってい るのかと和樹達は思う。ちなみに式森家の最長老である源氏は恩年九十歳である。

 

和樹は源氏爺、曾祖母なら日本記 録、いや、世界新記録の長寿者になると確信している。

 

そうこうするうちに寮についた。

 

だが三人は今から和樹争奪戦が始 まるなんてまったく考えていなかった。

 

このときカラスが寮の近くにたく さんいることに気づくべきだったかも知れない。また黒猫が集団でマツケンサンバを踊っていたのにも気づくべきだったかもしれないが、ラブラブモード全開の 和樹と千早、ご馳走で頭の中がいっぱいのレオンは気づくわけがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

部屋の前に来て和樹が自分の鍵を 空けようとしたときに、鍵が開いていることに気がついた。

 

「あれ? レオン、確か朝、鍵閉 めたよね?」

 

「閉めたよ。戸締りは確認済 み!」

 

レオンもそれは確認していたので 間違いない。

 

「二人で確認したなら間違いない でしょ」

 

千早もそれを聞いて不思議に思っ て見ている。

 

泥棒とかかなといつでも対処でき るよう警戒して扉を開けた。

 

「え゛!」

 

扉を開けて和樹は固まった。

 

「カズ、どうしたの?」

 

中を見て、レオンも固まった。

 

中で女の子が着替えをしていたの だ、しかも今の少女の姿は下着姿。

 

肌がほとんど露出し、その手には 葵学園の女子の制服を持っていた。

 

千早は和樹の後ろに立っていたの で中の様子がよくわからなかった。

 

一瞬時が止まったが、それは無常 にも動き出してしまった。

 

「き、 きゃぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

中にいた女の子の叫び声ととも に・・・

 

「す、すみません!」

 

本日二回目の謝罪。

 

悲鳴を聞いて慌てて和樹は扉を閉 めた。レオンも悲鳴で硬直からとけた。

 

「・・・レオン」

 

「なに・・・・・ふへぇ〜〜〜、 はふ〜ひはひひょ〜(カズ〜いたいよ〜)」

 

和樹はレオンの顔に手を伸ばすと 頬をつねり引っ張った

 

「・・・夢じゃないみたいだな」

 

「自分の顔引っ張ってよ! (涙)」

 

レオンが、目に涙を浮かべ赤く なった頬を抑えながら文句を言う。

 

「レオン、今の見間違いじゃない よな」

 

「見間違いじゃないと思うよ」

 

「ちょっと今の悲鳴何? 中に誰 かいたの?」

 

「いた・・・みたいだけど・・・ 幻なのか・・・それとも真実なのか・・・」

 

「B組の新手の嫌がらせ?」

 

「・・・・・・あり得なくもな い」

 

有りそうなことなので和樹は誰が やりそうかと考えた。

 

しかし思いつく人数が多過ぎるの で考えるのは直ぐに止めた。

 

「でも、ここって男子寮だし、部 屋番号もネームプレートも間違いないわよ。許可をもらっても入居者の許可をもらってなかったら部屋に入ることはできないし」

 

千早の言葉に和樹とレオンも確認 するが部屋番号もネームプレートにも『式森和樹』と書かれていた。

 

「何で僕の部屋に女の子がいる の?」

 

「連れ込んだりしてないよね?」

 

「千早以外連れ込んだことはな い。まあ、千早と一緒に杜崎さんが来たこともあるけど・・・」

 

ちゃっかり問題発言しちゃってま す!

 

「なぜに下着姿?」

 

「僕が知るわけないだろう?」

 

「和樹君」

 

「なに? あっいっいっ痛 い!!」

 

千早に呼ばれて振り向くと思いっ きり頬をつねられた。

 

「何となくつねりたくなったか ら」

 

「見てません、見てません、僕は 何も見ていません。僕の目には千早しか映っていません!」

 

いい気味

 

和樹が千早につねられているのを 見てレオンは喜んでいたりする。

 

「何か言った?」

 

「何も」

 

さっきつねられていたレオンは軽 く誤魔化した。

 

「もしかして、紅尉先生が言って いた情報洩れが原因かもしれない」

 

「魔力のことが知られた?」

 

「全てを防ぎきれたわけじゃない だろうからね、とりあえず中をもう一度見てみよう。見間違えってこともあるかもしれないしね」

 

「そうだね」

 

だが三人ともわかっている。見間 違いや聞き違いではなかったことを。

 

「開けるよ」

 

「うん」

 

「開けていい」

 

「うん」

 

「本当に?」

 

「うん」

 

「・・・ファイナルアンサー?」

 

「ファイナルアンサー!」

 

「敵は?」

 

「本能寺にあり」

 

「いいから早く入りなさい!」

 

『はい』

 

馬鹿なことを言いつつドアを開け た。

 

やはり女の子はいた、正座をして 三つ指を床につけ深々と頭を下げていた。

 

「お帰りなさい、和樹さん」

 

「・・・・君は誰? 何で僕の部 屋に?」

 

「私、宮間夕菜と申します。葵学 園に転校してきました。今日から和樹さんの妻として、寝食を共にさせてもらいます!」

 

宮間夕菜は少し恥ずかしそうに顔 を赤らめながら言う。

 

「・・・妻?」

 

「はい」

 

「僕を馬鹿にしているの? 僕は 君の事を知らない、それにまだ僕は結婚できる年齢じゃない。第一なんで僕の名前を知っていて、僕の部屋にいるんだ?」

 

和樹は自分が馬鹿にされているの ではと思った。会ったこともない子がいきなり部屋にいる。

 

「私はよく知っています。それに 昔あったことがあります。結婚してなくてもそんなの関係ないです。愛は、法律をこえます。それにこれは運命です!!!」

 

自分の言っていることがわかって いるのか。筋が通っていなくてもお構いなしに自分勝手な主張をしてくる。

 

「関係ないとかそういう問題じゃ ない。それに人の運命勝手に決めないでくれ」

 

「そんなひどいで・・・・・・」

 

「ちょっと、いい加減にしなさい よ!」

 

今まで黙っていた千早があまりに も一方的な言動に耐えかねたか割って入ってきた。

 

「あなた誰ですか?」

 

夕菜はいきなり話に入ってきた千 早に敵意を向ける。だがそんなもの千早にしてみればなんとも思わない。

 

「あなたこそ誰よ、勝手に和樹君 の部屋に入りこんで、妻ってなんなの」

 

「勝手じゃありません、私は和樹 さんの妻なんですから当たり前のことです。あなたこそなんなんですか、何で和樹さんと一緒にいるんですか?」

 

「私は山瀬千早。和樹くん の・・・・・・婚約者よ! 親もちゃんと認めてるわ!」

 

「ぉぉ〜今日の千早は積極的!

 

千早は顔を赤くして言った。見ず 知らずの人に何を言っているんだろうという照れもあるのだろう。

 

レオンは素直に歓声を上げた。

 

ちなみに和樹と千早の二人は既に 婚約していたりします・・・というより源蔵たち(双方の両親含む)が話を進めていたりする。和樹と千早の両親は父、母とも四人とも昔からの親友であり二人 のことを息子、娘と思っているためなんら問題なし。

 

簡単に言ってしまえば二人の婚約 に賛成するものはいても反対するものは誰一人としていないのだ。

 

ここで 豆知識

婚約とは当人どうしの口約束でも 婚約と言えるが、婚約を社会的なものにするためには第三者が立ち会い、証人となることが基本。婚約の方法としては結納が代表的であるが、婚約の証として記 念品を交換しあったり、クリスチャンの結婚には欠かせない婚約式や、友人知人を招いて行う婚約披露パーティなどがあります。近頃では仲人を立てない現代的 な結納を行うのが一般的ですが、形はともかく一つのけじめをつけることである。

 

「何言っているんですか、妻は私 です! あなたこそ勝手なこと言わないでください!」

 

「どっちが勝手よ。和樹君が知ら ないって言っているのに自分勝手に言いたいこと言っているだけのあなたに言われたくないわ。相手の気持ちも考えないで何が妻よ! ふざけないで!」

 

夕菜と千早の言い合いが始まっ た。お互いに一歩も引く様子もない。

 

だが話していることは明らかに千 早のほうが正しいことを言っており、夕菜は矛盾しているにもかかわらず言いたい放題言っている。

 

2人が言い合いを始めたため、そ れまで冷静に対応できていなかったが千早のおかげで時間ができ和樹は状況を冷静に見ることができ始めた。

 

そして一つ頭に引っかかった。

 

(この子・・・今、宮間って言っ たよな・・・もしかしてあの宮間か)

 

和樹は魔法社会でも名家である宮 間家を思い出した。

 

「和樹君も何か言って、この子話 にならないわ! 自分勝手にもほどがあるわ!!」

 

「話にならないのはあなたです。 和樹さんを誑かして! 何か言ってください!!」

 

「あなたのほうが和樹君を誑かそ うとしてるんでしょ!!」

 

「それはあなたです!!」

 

「は・・はは・・・」

 

いきなり話を振られ間抜けな声を 出して和樹は戸惑った。しかもまた言い合いを始めたためただ笑うしかできない。

 

そのときドアが乱暴にノックされ た。

 

「ちょっと、入るわよ」

 

ドアから声がすると夕菜は慌てて 立ち上がってドアのところへと向かった。

 

だがそれよりも早くドアは開き、 三年の徽章をつけた女性がどかどかと入ってきて夕菜の前に立った。

 

「駄目です。帰ってください。和 樹さんは会いません」

 

「いいじゃない。ちょっとだけ。 運が良きゃ一回ですむんだから」

 

「駄目ったら駄目です」

 

このときレオンは巻き込まれるの を避けて天井あたりを飛んでいる。うまく逃げたな、こいつ・・・

 

「あなたは・・・確か三年の風椿 先輩?」

 

「あら、私のこと知ってるのね。 嬉しいわ、じゃあ、さっそく、しましょう〜」

 

いきなり飛び掛られ和樹は押し倒 されそうになるも何とか踏みとどまり玖里子を引き離した。

 

「いきなり何するんですか!?」

 

「抵抗しないでよ。すぐ済むから 大人しくしててね」

 

玖里子は再び和樹に飛び掛り服を 脱がそうとしてくる

 

「やめてください! 人を呼びま すよ!!」

 

「それは女の子の台詞よ」

 

「いきなり押し倒されようとすれ ば、男でも叫びます!」

 

和樹はふと違和感を感じそのほう を振り向くと見ると夕菜が水の精霊であるウンディーネを召喚していた。

 

「和樹さんの妻は私です!!」

 

そう言って夕菜はウンディーネを 解き放った。

 

(・・・僕も一緒に攻撃するの か?)

 

玖里子は懐から一枚の霊符を取り 出してそれウンディーネに向かって投げ、防いだ。

 

(この二人、結構強い魔法を使う な・・・)

 

和樹は二人の力を瞬時に判断し た。

 

自分やレオン、千早には遥かに及 ばないがそれでも一般から見たら強いほうに部類されるだろう。

 

玖里子の手が緩んだ隙に和樹は彼 女を引き剥がした。

 

一見ただ引き剥がしたようにも見 える。だが和樹はこのとき手の力が抜けるつぼのようなところを握りすばやい動きで玖里子を引き剥がしたのだ。だがそれに気づくことができるのはこの場では レオンと千早ぐらいである。

 

「きゃっ!」

 

もちろんなすすべなく玖里子は和 樹に軽く突き飛ばされた。

 

「あっ、その・・・すみませ ん!」

 

一応、謝ってはおく。

 

「やったわね!こうなれば力尽く で!」

 

「・・・最初から力尽くでしょ」

 

(・・・謝るんじゃなかった)

 

本気でそう思った。

 

再び和樹に襲い掛かろうとする玖 里子。まず過ぎる!!

 

そのとき千早は和樹の前に立っ た。

 

「いい加減にしてください! 一 体何するんですか? 勝手に上がりこんで!」

 

「別にいいじゃない。一回くら い」

 

「そのことじゃありません、いき なり部屋に入って来て何するんですかって聞いてるんです」

 

「そんなこといいじゃない、後 で・・・次にやらせてあげるから」

 

「本気で怒りますよ。何も知らな いくせに勝手なことを・・・」

 

千早の目付きが明らかに変わっ た。玖里子の言動に怒りを覚えたようである。

 

「そうだよくない」

 

声のしたほうを、和樹達が見ると そこには日本刀を持ち、巫女服のような服を着た1人の女の子が立っていた。

 

 

 

 

『レオンのインフィニティールー ム!』

どうも、レオンです。というわけ で第三話お送りしました。

ついに三人娘も登場、話が進んで いきます!

和樹、千早、正式に婚約しちゃっ てました!! もう二人を止めることはできません!!!

てか止められる奴などいません!  二人の赤い糸はピアノ線よりも頑丈です!! 瀬戸大橋だって吊るせちゃえるくらいに頑丈です!!

可愛いマスコット、レオンでし た!!

 

 


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