第3話  お弁当

 

 

昼休みB組の教室。

 

「ったく、なんで俺まで校舎の修 理なんかしなくちゃいけねぇんだ!!俺の貴重な魔法回数を!!」

 

仲丸は和樹とともに昼食を取りな がら愚痴をこぼす。

 

二人のほかにクラスメートの浮氣 光洋と御厨真吾もいる。

 

あとレオンが和樹の膝の上で、気 持ちよさそうな寝息を立てている。

 

「自業自得としか言いようがない ね」

 

「確かにな・・・」

 

和樹と浮氣がつぶやく。

 

「俺のせいだとでも言うのか、お まえら!!!!」

 

『おまえのせいだろ!』

 

即答される仲丸。

 

「ちがう!! 断じて俺のせい じゃない!! それにあのまま松田が邪魔さえしなければ、風椿玖里子は俺のものになっていたはずだ!!」

 

力強く力説する仲丸。

 

「無理だな」

 

「無理だろ」

 

和樹と浮氣は即答した。

 

「お前ら!!!! 俺の野望を馬 鹿にするのか!!!!」

 

「ほほ〜、アンタの目標ってあの 痴漢行為?」

 

「うげっ、松田!」

 

いきなり現れた和美に仲丸は驚い た。

 

「俺なら目標は向こうかな、1年 の神城凛。なかなかの美形だと思うけど」

 

浮氣は窓の外を見ながら言う。

 

「うちの学校ってかわいい子多い からね」

 

「式森には関係ないけどな」

 

浮氣が嫌味をこめてそんなことを 言う。

 

「別に・・・気にしてないし」

 

和樹は大して気にも留めない。

 

顔に関しては平凡以下、運動も苦 手、趣味もない、勉強もできないと学校では通している。

 

しかし魔法回数を学校では7回と しているがはっきりこの学校どころか世界を探しても今の自分に勝てる人はいないだろう。

 

それは自分に流れている血筋が日 本や世界の歴史に名の残る偉人達の血ばかりが集まった最高傑作であるからだ。

 

そしてあの時その力に目覚めた。 そして今ではその力を制御できるまでになったがそれにはかなりの苦労をした。

 

それに自分には幼馴染の千早がい るし・・・何気に心の中でのろけている。

 

今食べている弁当も千早が渡して くれたものだ。

 

だが今日は弁当を渡されるときに まず殴られ、続いて覗きの事を散々追求された。

 

顔は笑顔だったが、後ろに鬼が見 えた。誤解だと言って説明し何とか許してもらえたが生きた心地がしなかった。

 

(怨むぞ・・・仲丸)

 

もちろんみんなはこの事実を知ら ない。B組で知ってるのは千早の親友の沙弓だけだ。もちろん沙弓は和樹の魔力のことも知っている。

 

和美も中学のころからの付き合い だが教えたときには日本に住めなくなるのでけして教えたりしない。

 

「浮氣、それはいくらなんでもか わいそうだ。例え魔法が後7回でも男だ。憧れくらい持たせてやれよ」

 

「午後の魔法診断が終われば、嫌 でも現実と向き合うんだからね」

 

何も知らない仲丸と和美が何気に ひどいことを言う。

 

「二人とも結構ひどいこと言う な。まっ、どうでもいいけど」

 

和樹は最後のおかずを口に運び、 食事を終える。

 

(美味、美味、今日もおいしかっ た)

 

「魔力診断、楽しみだな〜」

 

「自らに秘められた力を知る貴重 な機会だもんね」

 

「そうだな」

 

和樹が話をまったく聞いてないと 気づかず話を進めている。

 

弁当箱を片付けて、保健室にむか う。

 

(レオン、紅尉先生のところに行 くよ)

 

誰にも気づかれないようにレオン を起こす。

 

「ふぁ〜、わかった」

 

あくびをしながらもみんなにばれ ないように小さな声でこたえる。

 

「どこ行くんだ?」

 

「野暮用」

 

「帰ったりするなよ」

 

「お前にとっては命にかかわるか らな」

 

「なんかの弾みで魔法使ってるか もしれないし。なんたってあと七回しかないんだしな」

 

「7回使ったら塵になっておしま い、その若さで死にたくないだろ」

 

言い放題だ。

 

和樹は相手にしていないが、レオ ンが面白くないような顔をしてる。

 

「わかってるよ!」

 

レオンに気にするなと目をやり、 和樹は保健室にむかった。

 

 

 

 

同時刻

 

理科室の用具入れ教室の中で1人 の美少女が、耳に手を当て誰かと話をしている。

 

『念話』と呼ばれる特殊な会話方 法である。

 

しかもその少女の手には日本刀が 握られている。

 

「そんな・・・」

 

『すべては神城家の為だ。必ず使 命を果たせ』

 

「なぜ、私が・・・」

 

『お前が一番近いところに居るの だ。反論は許さん。それに急がねばならんからこそ、盗聴を覚悟で『念話』で伝えておるのだ。

いいな、凛』

 

その言葉を聞き、凛と呼ばれた女 性は、ぎゅっと刀を握り締める。そこで念話は終了した。

 

「・・・・・・」

 

その後、凛は刀を抜き出し自分の 目の前に構える。

 

「式森、和樹・・・・・」

 

凛は納得のいかない声で、その名 を呟くのだった。

 

 

 

 

同じ頃、葵学園の生徒会室の中

 

「玖里子様、お電話です」

 

メイドのような女性が、電話機を 持ってきていた。

 

そしてその前に立つのはこの学園 の影の支配者、風椿玖里子である。

 

このような手段を使うということ は、盗聴される可能性を警戒してるということだ。

 

つまりそれほどこの会話は重要で あるということを指している。

 

「何かあったの?」

 

興味深げに玖里子は電話の相手に 向かい話をする。

 

『はい、実 は・・・・・・・・・』

 

玖里子は電話の相手の話を真剣に 聞く。

 

「なに・・・神城が?」

 

その言葉を聞いたあと、彼女は学 校の二年生の生徒がのる名簿を見る。

 

開かれたページには1人の男子生 徒の写真とそのプロフィールが乗っていた。

 

「式森和樹、か・・・・・・」

 

彼女は興味深そうにその少年の名 を呟き、その写真をじっと見るのだった

 

 

 

 

 

 

「失礼しました」

 

そういって保健室を出た。礼儀正 しい男である。

 

「和樹君、レオン」

 

保健室を出たところで声をかけら れた。

 

山瀬千早だった。

 

「ちはやー!」

 

レオンが千早のところに飛んでい く。この2人は兄弟のように仲がいい。レオンが和樹の魔力によって生まれたころからの仲良しだ。

 

ちなみにレオンという名前は千早 が付けた。

 

「千早、なんか用なの?」

 

「ううん、たまたま通りかかった らレオンが飛んでるのが見えたの、さっきはごめんね!」

 

千早は、この学校でレオンを見る ことのできる数少ない人間の1人である。

 

レオンは学校内では魔法で自分の 姿を見えないようにしているが千早と紅尉と沙弓は見ることができた。

 

どうやらレオンのことを良く知っ ている人には魔法が利かないらしい。

 

「別に気にしてないよ」

 

「今日魔力診断だけど大丈夫な の?」

 

「今うまく誤魔化してくれるよう に、紅尉先生に頼んだ」

 

「普通に計ったら、測定器爆発す るもんね」

 

「あの時は、うまく誤魔化せたけ ど今度なったらさすがに問題になるだらうしね」

 

1年のとき始めて魔力を計ったと き、測定器が大爆発を起こした。そのときに、和樹のことがばれてしまいそうになったが紅尉のおかげでうまくその場は機械の故障ということで収めることがで きた。

 

あれ以来、和樹は魔力診断のとき はこうして紅尉のところにきて誤魔化すようにお願いすることとなった。

 

「ねぇ、今日帰りに和樹くんの部 屋によってもいい、夕飯作ってあげるから一緒に食べよ」

 

「やったー!!」

 

レオンが喜びの声を上げた。

 

千早にはたまに夕飯を作ってもら うことがある。和樹も料理はできるし家事もまめにやっている、でも千早には到底及ばない。

 

「いいよ、じゃ帰りになんか買っ て帰ろうか?」

 

「うん、じゃあ、放課後校門のと ころにいるね!」

 

そういって、千早は教室に戻って いった。

 

「ご馳走、ご馳走!!」

 

レオンはかなり喜んで空中を思 いっきり飛び回っている。千早の料理の腕前を知ってるからだ。

 

もちろん和樹もよく知っている。 さっきの弁当の味も格別である。売店のパンやコンビに弁当なんかと比べたら罰が当たる。

 

そのくらい美味しいのだ千早の料 理は。

 

今更ながら和樹と千早は付き合っ ている。このことを知ってるのは沙弓だけであるが。

 

彼女に言わせれば「バカップル」 という言葉は2人のためにある言葉らしい。

 

今から夕飯を楽しみにする和樹と レオン。

 

だがこの楽しみは完膚無きまでに 打ち砕かれることとなった。

 

 

 

 

あとがき

愛妻弁当うらやまし〜〜〜〜

どうもレオンで〜す!

ついに千早登場です!(パチパチ パチパチ)

ここでは和樹の恋人として登場、 小説、アニメよりもランクが上です!

さりげなく凛と玖里子も登場で す!作者は凛派だったんですが、最近千早に傾いてきたようで・・・

ドカァ!

痛い〜・・・作者が余計なこと言 うなと言っているのでもう終わりにします。

次も読んでね〜!

 



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