第5話  唸る黒刀

 

 

「そうだよくない」

 

和樹達が見るとそこには日本刀を 持ち、巫女服のような服を着た1人の女の子が立っていた。

 

(大和撫子ってこの子みたいな子 をいうんだろうな)

とか、和樹は考えた。

 

だがその女の子は和樹におもいっ きり殺気を飛ばしていた。普通の人だったら、震え上がっていただろう。

 

和樹にはまったく効果がなかった が・・・

 

「君は確か1年の神城凛ちゃん? なんでこんなところに?」

 

「気安く呼ぶな。虫唾が走る」

 

そういうとズカズカと和樹の部屋 に入ってきた。土足で・・・

 

(・・・・・・大和撫子撤回、般 若に変更)

 

「何か僕、君に悪いことでもし た?」

 

「黙れ、お前のせいで私の運命は 狂わされた」

 

(・・・そんな、大げさな)

 

何か深い事情がありそうだが、何 のことだか和樹にはわからない。

 

「お前のことはわが夫と成るゆえ に調べさせてもらった」

 

(・・・・・・僕にプライバシー の権利ってないの)

 

和樹は日本の法律に疑問を持っ た。

 

小泉さんどうにかしろ。おなじX  JAPANファンとして悲しいぞ!〔作者の声も含めて〕

 

「調べてみて悲しくなった、運動 も苦手、趣味も取柄もない、勉強もできない、そのうえ覗きまで・・・・」

 

(うわぁぁーー・・・偽装完璧だ ね・・・覗き以外は)

 

「覗きは和樹君じゃないんだけ ど・・・」

 

千早が訂正する。

 

それと和樹は頭も良く、運動は大 得意、趣味はプラモデル作りと読書がある。ただそれを表に出してないだけである。

 

「で、何で僕に刃物を向けるわ け」

 

「私はお前のような男を生涯の伴 侶にしなければいけないからだ!! それが何よりも屈辱でこのままでは生きていくことができない!!」

 

かなり激しく激昂しながら凛は言 う。しかし和樹にとってはいい迷惑だ。

 

「いや、そんなの僕はじめて聞い たけど。それに僕が決めたことじゃないし。あと言わせて貰えば、僕は君を生涯の伴侶にする気はまったくないし」

 

「黙れ、この場で死ね、式森和 樹!!」

 

いきなり斬りかかってくるが、和 樹から見れば隙だらけでよけることなんて容易いことだ。

 

(まだまだだね・・・修行が足り ないな・・・)

 

「何をするんですか」

 

夕菜が凛の前に立つ。

 

「宮間家の者ですか、退いてくだ さい」

 

「いやです」

 

「こんな者のために人生を棒に振 る気ですか」

 

「私の人生です。あなたに文句を 言われる筋合いはありません!!!」

 

「だったら眠っていてください」

 

そういうと、凛の刀が光り始め た。

 

「剣鎧護法ですね。刀に取り付か せて使役するなんて」

 

「神城家800年の歴史が生み出 した技です」

 

(・・・なんだ、剣鎧護法か)

 

和樹は神城家の剣鎧護法を知って いた、もちろん和樹も使えるが、和樹にとっては初心者マークのついた技にしか見えない。

 

神城家800年の歴史は和樹の前 ではまったくの無に等しいものとなる。もちろん、レオンや千早の前でも。

 

2人の技がぶつかり合った。剣鎧 護法とウンディーネ、和樹から見れば小さな力だがさすがに、この部屋での使用はやばい。

 

そのとき、部屋に結界が張られた のを感じとった。

 

「レオン」

 

レオンは和樹に言われる前に、部 屋に結界を張っていた。自分の大事なものもある部屋を壊されたらたまらない。

 

2人はなおも激しくぶつかり合 う。ここが和樹の部屋だろうとなんだろうとお構い無しに。

 

(・・・・・・遠慮のないという か、自分勝手な人達ね)

 

千早はレオンの結界に守られなが ら呆れた感じで激闘を眺めていた。(冷静だね・・・)

 

しかし、次に目に入った光景を見 て表情が変わった。玖里子が和樹を押し倒していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

和樹はキレかかっていた。

 

(暴れようかな〜、最近ストレス 溜まっているし)

 

が、いきなり横から何かがぶつ かってきた。いや押し倒してきた。

 

「こうなったらこの寮もお終り ね。だからしましょう」

 

「何でそうなるの!? まったく 関係ないでしょうが!!」

 

「こう言うのって燃えるで しょ?」

 

 

「燃える かぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

「じゃあ、萌える?」

 

「意味がちがぁぁぁーーーう!」

 

「先輩やめてください!」

 

千早が止めに入った。その声を聞 いて、夕菜も叫び声をあげる。

 

「何してるんですか!! 私の和 樹さんから離れてください!」

 

ウンディーネを玖里子に向かって 放った。って、いつから夕菜のものになった?

 

それを玖里子は胸ポケットから紙 片を数枚取り出し防いだ。

 

「霊符!?」

 

「剪紙成兵!」

 

玖里子はさらに紙片を取り出し、 紙人形を作り出した。

 

夕菜はウンディーネで紙人形を倒 す。

 

「和樹さんに手を出さないでくだ さい!」

 

「男の独り占めはよくないわよ」

 

「その男を斬る!」

 

「人の部屋で暴れるのはやめ てー!!!」

 

千早もさすがに黙っていられなく なったか、魔法具であるヘアピンを槍に変化させて3人を止めようとした。

 

凛が見ていたらその時点で戦いを やめただろうが今はまったく気づいていなかった。

 

3人の中に飛び込もうとしたら、 先に和樹に止められた。

 

「僕が止めるからいいよ」

 

千早の力は良く知っている、あの 3人だったらすぐ止められるだろう。だがあえてここは自分で止めたかった。

 

千早は和樹を見て身震いがした。 槍をヘアピンに戻した。

 

このヘアピンは和樹が魔法で作っ た魔法具で持ち主のおもったとおりの物に変化する千早の武器であり大切な宝物だ。

 

和樹も自分の魔法具を腕輪として 両手首にはめている。和樹の尋常でない魔力によって生み出されたもので魔法具自体にも魔力が具わっている世界最強の武器だろう。

 

「私でも止めることできるよ」

 

「それはわかってるよ。でも、僕 が原因みたいだし・・・・・・・・ストレス溜まっているんだよね」

 

「・・・和樹君、ほどほどに ね・・・・」

 

「・・・・・・・・わかった」

 

そういうと腕輪が、黒い短刀に変 わった。両手の刀は漆黒、本当に黒一色の刀である。

 

千早は止めることができなかっ た。それくらい今の和樹はキレていた。

 

似たもの同士というか、和樹も普 段怒らないがキレた時はとてつもなく怖い。

 

(相当怒ってたんだ・・・)

 

千早には和樹の怒りが目に見え た。

 

確かに、いきなり部屋に押しかけ られて、妻だと名乗られ仕舞には自分の部屋で暴れられたら誰でも怒るに決まってる。

 

フッ!

 

パシッ! ガキン! ザン!

 

次の瞬間、和樹が動いた。千早の 目には和樹の動きは見えたが、他の3人には何がなんだか分らなかった。

 

気づいたら、ウンディーネは水に なって消えていて、刀は真ん中あたりで折られていて、ジェンジェンビンは黒い灰になっていた。

 

和樹は目にも止まらない速さで動 いていた。

 

まずウンディーネを一太刀で斬り 捨てるとジェンジェンビンを黒刀に宿した炎で粉々にし、剣鎧護法を簡単に破り凛の刀を簡単に折ってしまった。

 

「えっ?」

 

「刀が?」

 

「うそ?」

 

3人は何がなんだか分らない。

 

「これ以上騒ぐんだったら、僕も 手加減しないよ」

 

「軟弱者がなにを・・・」

 

凛は残った部分に剣鎧護法をして 斬りかかろうとしたが、それ以上言葉を言えなかった。和樹がいきなり動いたかと思うと残っていた刃が根元から折られ気づいたら、和樹が黒刀を喉元に突きつ けていた。

 

 

 

 

「狭い部屋でそんなふうに刀振り 回しちゃだめだよ・・・」

(出たぁぁーーーーーーー!!!  座頭市・・・台詞ちょっと違うけど)

 

 

 

 

和樹と凛の目が合った。

 

(ひっ!!!)

 

氷のようにつめたい目。凛は自分 がとんでもないものの前にいることを知った。蛇に睨まれた蛙。まさにそんな状態である。

 

(レオン結界といていいよ。あ と、部屋乾かして・・・)

 

和樹が刀を納めると緊張の糸が解 けたのか、凛はその場に座り込んでしまった。完全に腰が抜けた状態である。

 

夕菜と玖里子も同様に自分の見た ものが信じられない様子である。

 

和樹は折った刀を凛の前におき、 自分の刀も元の腕輪に戻し椅子に座った。

 

「今のは何? あんた魔法7回し か使えなかったはずじゃ・・・」

 

少し落ち着きを戻した玖里子が和 樹に聞く。

 

「表向きはそうしてるだけです よ」

 

「どういうことなんです?」

 

夕菜が聞いてきた。

 

「誰にも話さないというなら、話 してもいいですよ。破ったときは命の保障はしませんけどね」

 

笑顔で言っているが、3人はその 言葉が嘘でないことは和樹の声を聞いたらわかる。和樹の言葉には覚悟が感じられた。

 

「嘘は言ってませんよ。帰りたい なら帰ったほうがいいですよ。聞かないで帰るのもひとつの勇気ですから」

 

(まあ・・・帰るとは思えないけ ど)

 

自分の今の動きを見て帰る人はい ないだろう。

 

「今のを見て帰れると思う、話を 聞かせてもらうわ」

 

玖里子が言う。このまま帰るわけ にはいかない。和樹の今の動きの秘密を知りたくて仕方ない。

 

「私も同じだ。」

 

凛もその考えは同じだ。軟弱者と おもっていて男に刀まで折られ完膚なきまでに自分は負けたのだ。このまま引き下がるわけにはいかない。

 

「私は和樹さんの妻です! 絶対 に帰りません!!」

 

夕菜も同じだった。なんか大きく 他の2人と路線がずれまくっているが。

 

「みんな聞きたいわけね、 じゃ・・・」

 

「ちょっと待って、あの子はいい の」

 

玖里子が千早の事を聞く。その質 問には千早が答えた。

 

「私は全部知ってるから、和樹く んのことなら」

 

「千早は僕の幼馴染だから、全部 知ってます。聞かれても何の問題もありませんよ」

 

和樹もそう答える。恋人と言わな かったのはまた喧しくなりそうだからだ。千早もそれを分っているのか何も言わない。

 

そして話し始めた、自分の秘密 を・・・・・・

 

 

 

 

 

あとがき

攻撃魔法と刀は部屋の中で使うも のではない

今回もレオンがあとがきを担当し ます!!

マジ焦りました! 部屋の中壊さ れたらたまんないよ〜本当に!

さてついに次回は和樹の秘密が明 らかになります!

作者がきちんと書けたらの話だけ ど・・・・

作者が木刀片手に僕のこと睨んで いるのでこの辺で終わります。

それじゃまたーーーーーーー! (逃)

 



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