第16話 敗北、レオン始動

 

 

誰もが千早の勝ちを疑わなかっ た。疑いようがなかった・・・それほど千早の技は完全にきまっていたはずだった・・・

 

だが次の瞬間幻を見たと思った。

 

 

「・・・やっぱりお前には力が足 りないな・・・」

 

 

「えっ!?」

 

 

ドガァ!!!ドゴォ!!!

 

 

千早の体が中を舞いそのまま壁に 叩きつけられた。

 

「千早!!!」

 

「山瀬先輩!!!」

 

「山瀬さん!!!」

 

「山瀬君!!!」

 

「!!!」

 

全員が千早を見た。雷道の放った パンチが完全に千早の体を捕らえていた。

 

「・・・くそっ!」

 

和樹も自分の目を疑った。あの千 早が完全に相手の技をもろに受けたのだ。千早の実力なら避けられたはずだが、技が完全にきまったと思って反応が遅れたために避け切れなかった。

 

「・・・カァハッ!」

 

千早が血を吐いた。槍で体を支え ながら片膝をつく形になる。

 

(・・・腕でブロックしたはずな のに・・・油断した・・・)

 

千早は雷道のパンチを腕でギリギ リブロックし、後ろに飛んだが、腕のブロックを破りそのままもろに受けてしまった。

 

完全なる自分の油断。まさかあの 技を受けてなんともないとは思わなかった。

 

(あばらが何本か折れたわ ね・・・下手したら内臓もやばいかも・・・)

 

目を閉じ、痛みを押し殺すように 千早は立ち上がる。

 

「もう止めとくんだな、お前の負 け・・・」

 

「まだよ。あなたは私が倒す」

 

「あのパンチを受けて立ち上がる だけでも大したものだが、まだ続けるとは・・・さらにその気迫・・・その歳で本当にたいしたものだ。だが・・・馬鹿だな」

 

(あと少しで良いからもっ て・・・私の体!)

 

立っていることがきついはずだが 千早はそんな顔を見せず雷道に向かって凄まじい殺気をぶつける。

 

「最後に私の最高の技の1つを見 せてあげる。今の私への体への反動を考えると次が最後の技・・・」

 

「何でそんなことを言うんだ」

 

「ここまで聞いておいて逃げます か!?」

 

みんなが止めようとする前に千早 は雷道に向かって走り出した。

 

「受けてやろうじゃあんかお前の 最高の技をよ!!!」

 

雷道が向かってくる千早に向かっ て構える。

 

千早は雷道の前で天井に向かっ てって飛び上がると天井にから地面に向かって跳躍した。

 

 

「『雷!!!』」

 

 

重力と天井での跳躍の力を合わせ て相手に猛スピードで落下する技。力の劣る千早が考えた『千山流』の技の中で今一番突進力のある技である。

 

(これで終わり・・・)

 

雷道は刀を頭の上で構えている。

 

次の瞬間・・・・・・千早の槍と 雷道の刀がぶつかり合った。

 

ガァシャァーーーーーーー ン!!!!!!!

 

今までで一番の衝撃が道場に響き わたった。

 

2人の衝突は凄まじかった。雷道 の足元の床は完全に破壊されその衝撃をものがたっている。煙が立ち込める中立っていたのは・・・

 

 

 

雷道だった・・・

 

 

 

「怪我をしてなかったら互角だっ たかもなぁ・・・それでも俺が勝っていたけどよ!」

 

雷道はまったくの無傷だった。だ が千早は違った・・・

 

(やっぱり・・・この傷で雷霆の衝撃に絶えるのは無理だった

 

千早は床に倒れていた。雷道との 衝突は千早の体にとてつもない衝撃を与えるものだった。怪我が無ければ千早の勝ちだったであろうが、槍と刀の衝撃に怪我をした千早の体は耐え切れなかっ た。

 

次の瞬間雷道はとんでもない行動 に出た。

 

雷道がおもむろに千早の体を持ち 上げた。

 

「!?」

 

「次の試合の邪魔だ」

 

そう言うと千早を壁に向かって投 げつけた。

 

 

「!?(×7)」

 

 

誰もが雷道の行動に驚いた。まさ か壁に向かって千早を投げつけるとは千早本人も思わなかったからだ。

 

千早が壁にぶつかる瞬間誰かが千 早の体を抱きとめた・・・和樹だった。和樹は無言のまま千早を床に寝せた。

 

誰も声をかけることができなかっ た・・・

 

雷道以外は・・・

 

「次はお前だろ早く来いよ」

 

和樹は雷道を無言で睨みつけなが らも、千早に治療魔法を施した。千早の傷は少しずつ消え始めた。

 

千早が和樹の顔を見た。

 

悲しいような、怒っているような 顔をしていた。

 

「無理しすぎだよ」

 

「・・・ごめん、和樹君・・・」

 

再び和樹が雷道のほうを向く。

 

「あなたには武道の心というもの 以前に人としての心があるんですか?」

 

「あるつもりだが・・・邪魔なも のをどかして何が悪い?」

 

ブチッ!

 

和樹から何かが切れるような音が 聞こえてきた。下を向いているが和樹から出ている殺気はこの場にいるもの全てを恐怖させた。雷道もこの殺気には恐怖を感じたようで身を引いた。駿司でさえ 和樹の殺気には驚いた顔をしている。

 

「・・・・・・」

 

和樹は無言で立ち上がると、雷道 の向かい側に立とうとした。

 

だが、その和樹をレオンが止め た。

 

「・・・僕に行かせて」

 

和樹とレオンがお互いに睨み合っ ている。和樹から出る殺気は全く治まる様子が無い。

 

沈黙が続く。

 

「・・・わかった。お前に任せ る」

 

そう言うと和樹から出ていた殺気 は治まった。いや無理やり治めただけで心の中は荒れ狂っているだろう。千早を抱えるとさっきまでいた場所に行き再び千早に治療魔法を始めた。

 

レオンはそれを見ると雷道の向か いに下りた。

 

「・・・なめてるのかお前 は・・・」

 

「僕に勝ってからそういうことは 言ったほうがいいよ。あとで恥かくから。それに分かったと思うけど、和樹と今やったら殺されるよ。僕もそうしたいくらいだけどね」

 

レオンは雷道を睨みつけながら 言った。

 

「・・・粉々にしてやる」

 

「できるの?」

 

レオンと雷道の戦いがここに始 まった。

 

 

 

 

あとがき

雷道、人のすることじゃありませ ん。マジ腹立ちます。

次回、やっと、やっと僕が戦いま す。

僕が活躍します! ついでに僕の 秘密が明かされます。

うう〜〜〜〜〜〜(涙)

今までのぶん活躍してやる!

次も読んでね!

 



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