第18話 レオン対駿司 

 

 

「・・・おれの・・・負け・・ だ・・・」

 

レオンと雷道の試合は終わった。 レオンの前に雷道は手も足も出なかった。すべてにおいてレオンは雷道の上を行っていた。それ以前に魔法を使っていない千早と互角だったことが精神的に大き なダメージを受けたようである。

 

「聞きたいことがある。お前も さっきの奴もそうだがなぜ、魔法を使わない?」

 

「・・・魔法を使ったら死ぬ人が 出そうだったからだ。それにそんなことしなくても私は勝てる」

 

「・・・・・・」

 

雷道は納得がいかない顔をしてい るが、レオンの動きを見てはそうするのも納得がいく。次元が違う。自分のレベルとかけ離れている。

 

駿司でも勝てるかどうか分らない 相手に自分が勝てるわけが無い。

 

「駿司、後は任せた」

 

「わかった、レオン君休憩はいる かい?」

 

「必要ありません。準備運動にも なりませんでしたが・・・」

 

「そうかい、では始めよう。」

 

駿司が立ち上がり、壁に立てかけ てある刀に手をかける。

 

「僕の刀について説明しよう。刀 の名前は銀浪。僕の種族に伝わる名刀だ」

 

「・・・本気で来るって訳です か」

 

「今の君の動き・・・・・・手を 抜いたら負けてしまいそうなんでね。最初から本気で行かせて貰うよ」

 

「望むところです」

 

レオンと駿司がお互いに向かい 合って対峙する。

 

「合図は・・・宗家、お願いでき ますか?」

 

駿司が佐平を見ながら言う。

 

「よかろう、双方とも良いか?」

 

「はい」

 

「いつでも」

 

「では・・・始め!」

 

 

ガン!!!!!

 

 

合図と同時に2人の刀が勢いよく ぶつかり火花が散る。だが次の瞬間には別の場所で火花が散る。瞬きをする間もない。

 

 

ドカァン!!! ガシャン!!!  ガッガガン!!!!

 

 

大きな音と共に2人の姿が見え た。いや、2人が5メートルほど放れて対峙して立っていた。

 

「やるね、レオン君、ここまでと は思って無かったよ」

 

「いえ、私こそ和樹以外にここま で動ける人がいるとは思いませんでしたよ」

 

「式森君はそこまで強いのか?」

 

「・・・少なくとも私は今の和樹 には片手だけで負けてしまいます。今のスピードだったら目を瞑っていても和樹なら戦えるスピードです」

 

「・・・そこまでとは、ぜひ戦っ てみたい。いや戦うのが楽しみだ」

 

「私を倒せたらの話ですが ね・・・」

 

「倒すさ」

 

「やってみてください」

 

 

ガキィーン!

 

 

2人が再び動く。さっきよりも速 さが増している。それが分るのは和樹と千早ぐらいだけだが・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・す、凄い。駿司を相手に ここまでの動きができるなんて・・・」

 

「何がおこってるのかぜんぜん分 りません」

 

凛と夕菜は2人の戦いに見入って いる。と、いっても火花と影しか見えてないが・・・

 

「・・・・・レオンのほうがおし ている?」

 

 

「!?(×2)」

 

 

千早がそんな言葉をもらす。

 

「それは本当ですか? 山瀬先 輩」

 

凛が千早に聞く。だがその質問に は和樹が答えた。

 

「今は、レオンのほうが6対4の 割合で圧しているね・・・でも、このまま駿司さんが終わるとも思えないんだよね・・・」

 

「それに2人とも、まだお互いに 技の探りあいしをしているようにしか見えないし・・・魔法も使っていないし。2人とも・・・」

 

「・・・どちらが先に大技を出し てくるか・・・」

 

「・・・・・・・」

 

凛は何も言えなかった。明らかに この2人とも、今戦っている2人とも自分のいる場所が違いすぎる。

 

て、このレベルで探りあいといえ るのか!!!

 

 

 

 

 

 

ガシャン!!!!

 

2人の攻防は続く。お互いにまだ 技を出していない。

 

「・・・大技を出さないのか い?」

 

「・・・そちらこそ?」

 

お互いに牽制が続く。だが先に駿 司が動いた。

 

「ならお先に出させてもらう!! 『狼爪』!!!」

 

駿司は高速で回転すると、レオン に向かって巨大な狼が爪を振るうように斬りかかった。

 

 

ガン!ガン!!ガン!!!

 

 

ドカァン!!!!!

 

 

その技は凄まじく、レオンが剣で 防ぎ後ろに飛びのいて旨く避けたにもかかわらず、レオンは壁まで飛ばされた。

 

だがレオンはゆっくりと立ち上が る。

 

「・・・どうだい? 僕の『狼 爪』は?」

 

「・・・さすがですね。『狼 爪』・・・遠心力を最大限に利用し銀浪の3連打。下手したら死んでますよ」

 

「言ったはずだ。君相手に手加減 はしない、いや、手加減できない。その証拠に君に今の技が全然聞いてない」

 

「なら、私も容赦はしない」

 

レオンの体が消えたと思うと次に 見えたのは駿司の目の前で青龍刀を振り下ろす時だった。

 

レオンの動きがさらに速くなる。 駿司への攻撃が激しさを増しその斬撃は体に触れたら確実に致命傷になるだろう。

 

 

「唸れ!!! 青龍!!! 『ス トーム・ブロウ』!!!!」

 

 

「!」

 

 

レオンが下から上へと回転しなが ら駿司を銀狼ごと空中に投げ出す。次の瞬間、駿司を包むように風が起き、駿司は完全に風の渦の中にのみ込まれた。

 

 

「!?(×2)」

 

 

凛、佐平、は目を疑った。あの駿 司が完全に反応できなかった。間違いなく駿司は神城家で1番の強さである。

 

その駿司が完全に技にはまってし まったのだ。

 

「・・・終わりだな・・・もう少 し、戦っていてもよかったかな」

 

レオンは駿司がもう戦えるとは思 えなかった。この技をうけて立ち上がれるとは思えない。

 

誰もがそう思った。

 

ドゴォォン!!!!!!

 

 

「何!?」

 

「え!?」

 

「・・・」

 

いきなり風の渦が崩れ、あたりに 煙が充満する。やがて視界がはれると一同は驚愕した。

 

 

「!?(×6)」

 

 

駿司はまだ立っていた。体には無 数の切り傷があり、血を流しているがしっかりと足を地に着けていた。

 

「・・・・・・・・」

 

これに一番驚いたにはレオンであ ろう。まさか、あの技を受けて無事だとは思ってなかった。

 

「・・・さすがだよ、レオン君。 あの風の渦から出るには苦労したよ」

 

「・・・・・・・普通は出てこら れないんですけどね・・・」

 

「鉄のような、風の壁に、刃物の ように鋭い風の刃の嵐。人狼の僕じゃなければ危なかったよ」

 

「・・・まさか、あの中から出て きて立っていられるとは思いませんでしたよ。それ以前に出られないと考えていましたけど・・・」

 

幻を見ているようなレオンの目。 それほどレオンは驚いている。

 

「式森君とも戦わなくちゃいけな いんでね。負けるわけにはいかない」

 

「和樹とは戦えませんよ。私が勝 つんですから・・・」

 

「いや、僕が勝つ。君に僕の全て をぶつけて」

 

「そうですか・・・なら、私も全 力で行きます」

 

2人が再び動く。火花が散り、刀 のぶつかりあう音が響き渡った。

 

 

 

 

あとがき

レオンです。

ただいま戦闘中です・・・

ちなみに雷道あの程度ですむと 思ってはいけません。

 



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