第19話  決着

 

 

「いや、僕が勝つ。君に僕の全て をぶつけて」

 

「そうですか・・・なら、私も全 力で行きます」

 

2人が再び動く。火花が散り、刀 のぶつかりあう音が響き渡った。

 

 

ガシャン!! ガン!!! ガガ ン!!!!

 

 

ガァーーーーーー!!!

 

 

激しい攻防が続いた後、2人は再 び間合いを取る。だがお互い離れてもすぐに斬りかかる姿勢は崩さない。

 

「次で決めますけどいいです か?」

 

そう言いながらレオンは青龍刀を 構える。そして刀に光が集まり始め、徐々にその光は龍の形になっていく。

 

「なら僕もすべてを君にぶつけ る。そして僕が勝つ!」

 

そう言うと駿司も銀浪を構え、刀 に光を集め始める。そしてその光は狼の形になっていく。

 

「手加減なしで行きますよ」

 

「もちろんだよ」

 

龍と狼が完全な形になっていく。

 

 

 

 

 

 

「2人とも本気だね」

 

千早は和樹の後ろに回り危険に備 える。

 

「やばいな、2人とも手加減しそ うに無い」

 

和樹は2人の技の衝撃を考え結界 を張ろうとする。

 

「全員僕の後ろに下がったほうが いいな・・・・・・凛ちゃん、佐平さんを連れてきて、それと雷道さんも」

 

「わ、分った」

 

凛が佐平のところに走っていく。

 

「お爺様、急いでこちらに」

 

凛が急いで佐平を連れてきて和樹 の後ろに座らせる。

 

全員が和樹の後ろに集まったのを 確認し和樹は黒刀を床に突き刺し結界を張る。

 

「絶対に僕の結界から出ないでく ださいね」

 

「式森君、君はいったい・・・」

 

佐平が見る限り和樹の結界はかな り強力である。だが和樹は魔法が7回しか使えないと聞いているので佐平は不思議でしょうがないようだ。

 

「後で説明します。誰にも言わな いと約束できるならですけど・・・・・・」

 

和樹は佐平にそう言うと、レオン と駿司の戦いに目を向けた。

 

 

 

 

 

 

「「行くぞ!!!!!!」」

 

 

お互いに刀を振りかぶり、一気に 振り下ろした。

 

「青龍派!!!」

 

「銀浪刀派!!!」

 

ドコオッ!

 

レオンの青龍と駿司の銀浪が激し くぶつかり合う。道場の床は衝撃で割れ、周りの壁も衝撃ではがれる。

 

さらに、その余波が道場の屋根を 吹き飛ばし、壁もなぎ倒す。

 

和樹の結界はその余波をすべて弾 いた。全員が結界の中にいて助かったという顔をしていた。結界の外にいたら重症は免れなかったであろう。自分達の結界ではこの衝撃に耐えることは不可能で ある。

 

青龍と銀狼がいまだに激しくぶつ かり合っている。レオンと駿司は刀から龍と狼に力を送り続けている。

 

だが徐々に駿司の銀狼が押され始 める。

 

「くっ!」

 

駿司の顔には大粒の汗が流れてい る。だがレオンは力を弱めようとはしない。そしてさらに青龍に力を注ぐ。

 

「・・・駿司さんこれで終わりで す!」

 

次の瞬間、青龍が銀狼を突き破り そのまま駿司に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

青龍が消え辺りが静まり返ると、 和樹は結界をといた。青龍と銀狼がぶつかり合った場所には巨大なクレーターができ、駿司はその中に倒れていた。だがレオンのほうも力を出し尽くしたのか、 立っているのがやっとのようである。

 

「駿司!!!」

 

凛が急いで、駿司に駆け寄る。佐 平と雷道も凛に続く。

 

「駿司! 駿司!!」

 

駿司は凛の呼びかけに、答えな い。全身におびただしい鮮血を浴び、顔も、服も、腕も、至る所すべてが血で赤く染まっている。

 

「駿司! しっかりしろ!」

 

凛の呼びかけに気づいたのか、駿 司が薄らと目を開ける。

 

「り・・・ん・・」

 

「駿司!!!!!!」

 

凛は駿司が目を覚ましたことに声 をあげて涙を流す。

 

「私の勝ちでしたね、駿司さん」

 

和樹に支えられながら、レオンが 駿司の側まで歩いてきた。

 

「レオン!!!」

 

凛はレオンに向けて殺気混じりの 眼光を飛ばす。

 

駿司は兄妹のように自分と一緒に いてくれた。兄といえる駿司をレオンは殺しかけたのだ。

 

「凛・・・やめろ、レオン君は悪 くない」

 

「でも!!!」

 

凛にもわかる。手を抜いていた ら、レオンがやられていた。でも納得いかない。

 

「レオン君、君と戦えてよかった よ・・・式森君とも戦いたかったが、君に勝てないようじゃ式森君と戦うことなんかできない」

 

自分は真剣に戦った。その結果、 自分は負けた。誰にも文句は言えない。

 

「凛・・・すまなかったな・・・ 本当にすまなかった・・・」

 

「駿・・・おにいちゃん・・・ご めん・・・」

 

凛の目からは涙があふれている。 何でもっと早く言えなかったのか、何でくだらない維持を張っていたのか、自分が憎くてしょうがない。

 

「良いんだ・・・凛・・・最後に お前と仲直りすることができたんだから・・・それにどの道僕はあと少しの命だったんだから・・・」

 

 

「エッ!(×3)」

 

 

凛と佐平と雷道は駿司の言葉に耳 を疑った。

 

「どういうことじゃ、駿司」

 

「すみません。宗家・・・でもこ れで良かったんですよ」

 

「馬鹿者が良いわけがないじゃろ う!」

 

佐平は悔やみきれない顔で駿司を 見ている。

 

「駿司さん、まだ死ぬのは早いで すよ。僕があなたに寿命を延ばします」

 

 

 

「!?(×5)」

 

 

 

和樹の言葉に一同が驚愕した。

 

「式森君・・・」

 

「式森そんなことできるわけ が・・・」

 

「できるんだよ、僕ならね・・・ 佐平さん駿司さんをどこか別の部屋に運んでください」

 

「式森君そんなことが本当にでき るのか?」

 

佐平も信じ切れていないようだ。

 

「できますよ。僕を信じて、任せ てくれますか?」

 

「・・・・・・わかった、雷道、 駿司を運んでくれ」

 

「は!」

 

 

 

 

あとがき

・・・凛の目マジ怖かった・・・

レオンです。ようやく決着つきま した。

最初は和樹と同等の強さを持つ設 定のはずである駿司が僕に負けてしまいました。

作者なんか間違えてないか?

(・・・・・・・・)〈作者〉

ええ、次回は駿司の寿命を和樹が 延ばします。次で神城家編は終わります。

どのような最後になるのか? 



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