第23話 唸る黒龍刀

 

 

授業中

 

事態は和樹の考えた最悪な方向へ 進みだしてしまった。

 

「きゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」

 

突然、悲鳴が午後の学園に響きわ たった。

 

「な、なんだ!」

 

「他のクラスから聞こえてぞ!」

 

「F組のほうからじゃない か!?」

 

だが悲鳴はF組のほうだけでなく いたるところから聞こえだした。ときおり獣の声も聞こえてくる。

 

(まさか! レオンどうし た!?)

 

(大変だよ、カズ! 猫達がいき なりベヒーモスに変わり始めたよ! それも数え切れない数だよ!)

 

レオンの声からも状況の悪さが分 かる。体が正直に反応する。修行で培った感覚がベヒーモスの気配をいたる所から感じ取る。

 

(ちっ! とにかく倒すんだ被害 が出る前に!)

 

(わかった!)

 

レオンとの念話が終わると同時にB組の前の廊下にもベヒーモスが 現れた。その姿は和樹が夢で見たベヒーモスそのものであった。

 

ベヒーモスの姿にB組の生徒が騒 ぎ出す。

 

「ベ、ベヒーモスだ!」

 

「嘘だろ、S級召喚獣だぞ!」

 

「何でこんなところにいるん だ!」

 

ベヒーモスは近くにいたB組の生 徒に向かって飛び掛った。足がすくんでしまったのか動くことができないようだ。

 

「ちっ!」

 

和樹は襲われた人を助ける。和樹 が助けていなかったら棺おけが1つ必要になっていたであろう。ベヒーモスの前足が床に深々と沈んでいる。力の強さを否が応でも感じた。

 

B組の何人かがベヒーモスに向 かって攻撃魔法で攻撃するが、焼け石に水である。ベヒーモスの体には傷1つつかない。それどころかベヒーモスを興奮させてしまい逆効果となった。

 

「この!」

 

次の瞬間、沙弓が飛び出しベヒー モスに向かって魔法を使った強烈な蹴りをおみまいする。だがベヒーモスは少しぐらついただけで効いた様子はまるでない。それどころか沙弓に対して怒りの目 を見せる。

 

「うそ!」

 

次の瞬間、ベヒーモスは前足を思 い切り地面に叩きつけ、さらに砕いた床の粒を沙弓に向けて飛ばしてきた。

 

「くっ!」

 

両手で飛んでくる石を止める。だ がそれがベヒーモスの狙いだった。

 

「沙弓危ない!!」

 

和美の声で気がついたときにはベ ヒーモスが爪を振り下ろす瞬間だった。

 

(避けられない!)

 

あきらめたその瞬間、振り下ろさ れるベヒーモスの前足が沙弓の視界から消えた。いや、斬りおとされたのだ鋭い刃物で・・・

 

「お前の相手は僕だ」

 

低く、鋭く、そして力強い声がベ ヒーモスにかけられる。

 

沙弓が声のしたほうを向くと2本 の黒刀を持った和樹が立っていた。

 

 

 

 

 

 

F組

 

「きゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」

 

「ベヒーモスだ!!!」

 

「逃げろ!!!」

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!!」

 

パッニクを起すF組、その中で千 早だけは冷静だったが他の生徒は我先にと逃げようとしていた。

 

「みんな落ち着いて!!!」

 

千早の叫びもまったく耳に入って いない。

 

レオンの話によると校舎中にベ ヒーモスがいるようだ。

 

「何とかしなきゃ!」

 

千早はヘアピンを槍に変えるとベ ヒーモスに飛び掛った。

 

「トゥイン・ランス」

 

人相手ではないので、魔力を込め た攻撃がベヒーモスを襲った。

 

「消えなさい! ウォーター・イ ンパクト!!!」

 

千早が槍を振るうといたる所から 無数の水の飛礫がベヒーモスを襲う。ベヒーモスの体は無数の飛礫を受ける。

 

「グァァァーーー!!!」

 

ベヒーモスは悲鳴を上げながらそ のまま消滅した。

 

「みんな、今のうちに速く逃げ て!」

 

千早の声にF組の生徒は急いで教 室から逃げて行った。

 

「不味いことになったわ・・・」

 

ベヒーモス相手に戦えるのは和樹 とレオン、そして自分くらいである。だが自分では2人ほど倒すことはできない。2人が3体倒す間に自分は1体倒すことしかできないだろう。それが自分と二 人の力の差だ。

 

それに学校のみんなを守りながら となるとかなりきつい。

 

ひとまず、千早は和樹と合流する ためにB組に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

そのころレオンも、ベヒーモスを 次々と倒していた。

 

「スパーク・ヒット!!」

 

空に向かって掲げたレオンの手か ら10本近くの稲妻がベヒーモスに落ちて次々と灰になっていく。だがすぐに次のベヒーモスが現れる。

 

「あぁ〜、もうキリがないよ! (泣)」

 

泣き言を言いながらも、レオンは 校舎の中で見つけたベヒーモスを片っ端から倒していく。既に何十体とレオンはベヒーモスを倒している。だが一向にその数が減らない。

 

「火球!」

 

レオンにとって人間体にならなく てもベヒーモスなど相手ではない。だがこう数が多いと堪らない。

 

「とりあえず、倒しながらカズと 合流しよう」

 

レオンも和樹と合流することに決 めたらしい。

 

2人とも和樹の力を信用している からである。和樹ならこの状況を何とかできると、3人でなら何とかできると・・・

 

 

 

 

 

 

B組

 

「来なよ、相手になるよ」

 

和樹がベヒーモスを手招きする。 前足を斬り落とされたベヒーモスは怒り来るって和樹に襲い掛かる。

 

ドコォォォーーン!!

 

「ハァッ!」

 

和樹がベヒーモスの一撃をかわ す。そして次の瞬間、和樹はベヒーモスに斬りかかり目にも留まらぬ速さでベヒーモスをバラバラにした。いや、一瞬ベヒーモスの動きが止まったかと思ったら バラバラに崩れ落ちた。

 

気づいたらばらばらになってい た。誰もがそう見えそう思っただろう。沙弓でさえ和樹がベヒーモスに向かって一直線に走ったようにしか見えなかったのだから、だが実際に和樹がベヒーモス に向かって振るった太刀筋の数は軽く30は超えている。

 

その光景を見たB組の生徒は目を 疑った。落ちこぼれと思っていた和樹があっという間にベヒーモスを倒してしまったのだから。

 

『生徒はすぐに体育館に避難する んだ、繰り返す、生徒はすぐに体育館に避難するように!!!』

 

紅尉が放送で生徒に非難するよう に支持した。

 

(ひとまず避難場所はできたけ ど・・・)

 

『捜眼』で学校にいるベヒーモス の数を確認する。レオンたちが倒しているのにも拘わらず。数は減る様子がない。

 

(ベヒーモスの出どころを叩かな いとだめなようだな・・・)

 

そんなことを考えていると再びベ ヒーモスが現れた。それも大量に・・・

 

「し、式森君・・・」

 

「大丈夫だよ」

 

和樹が優しく冷静に言う。だがさ すがの沙弓もこの数相手には腰が引けたようである。後のみんなは窓際まで下がっている。

 

「杜崎さん僕の後ろに下がっ て・・・」

 

和樹に言われて急いで和樹の後ろ に下がる。

 

 

「使いこなせるようになった僕の 力見せてやる・・・黒龍刀!」

 

 

和樹の黒刀が変化を始めた。刃の 先端は龍の頭が浮き出てきて、龍の腹の部分は光り輝く刃となっていった。まさに龍の剣といえる姿を黒刀はしていた。

 

「グァァァーーーーー!!」

 

刀の先端の龍が吼えた。

 

「斬りきざめ、黒龍刀!」

 

和樹の声とともに刀の刀身が長く なると、黒龍はベヒーモスを次々と斬り刻んでいった。まるで生き物のように次々とベヒーモスを斬りさく姿はまさに龍が動いているようであった。

 

5秒も経たない間に10匹近くいたベヒーモスは1匹残らず消滅していた。

 

ベヒーモスを全部倒したのを確認 し和樹が構えをといた。

 

「し、式森君、今のは・・いい え、その剣は?」

 

沙弓が和樹に黒龍刀を指差しなが ら聞いてきた。

 

「マンガを読んでて思いついたん だけど何か?」

 

和樹がBLCK  CTを沙弓に見せながらいう。(って、どこから出したんだ!)

 

「・・・いいえ、何でも・・・」

 

和樹の魔力を知っている沙弓でも 今の和樹の強さには驚愕した。こんなに簡単にそれも10匹近くいたS級召喚獣であるベヒーモスがこんなにあっさりとやられてしまったのだ。B組のほかのみ んなもただただ驚くだけである。

 

夕菜にいたっては、完全に目が 行っちゃて「カズキサマ〜」とか言って魂ここにあらずといった状態である。

 

「・・・また来たか」

 

「えっ!」

 

和樹の視線を追うとそこにはまた ベヒーモスが突進してきていた。だが、和樹たちの目の前に来た瞬間ベヒーモスは氷の矢に射抜かれて一瞬にして凍りつくとそのまま崩れ落ち消滅した。

 

「魔弓、凍矢!」

 

千早が槍を弓矢に変えて、ベヒー モスを射抜いていたのだ。

 

「千早・・・」

 

千早は沙弓を見て心配そうな顔を して近づいてきた。

 

「沙弓、大丈夫顔青いわよ!」

 

「だ、大丈夫よ。式森君に助けて もらったから・・・」

 

「そうならいいんだけど・・」

 

とりあえず沙弓に怪我が無いと確 認して千早は安心した。ただ沙弓は2人の強さに驚いているだけである。自分の歯が立たなかった相手を和樹と千早は一撃で倒したのである。

 

(千早がここまで強いとは思わな かったわ・・・)

 

沙弓は改めて2人の強さに驚愕し た。

 

 

 

 

あとがき

どうも〜〜〜レオンです。

カズがついに動きました。黒龍刀 のモデルはイマジンブレードを参考にしています。設定もほとんど一緒です。切れ味は分厚い鉄の板でも簡単に斬ることできます。

次回状況はさらに悪くなります。 はたしてどうなることやら・・・

無限の魔力のマスコット、レオン がお送りしました〜〜!



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