アークエンジェルのブリッジ にてマリューはコロニーと連絡を取っていた。

通信機を置き、ムウとナタル の方に振り返る。

「コロニー内の避難はほぼ 100%完了したとのことだけど…さっきの攻撃で、警報レベルは9まで上がったそうよ」

「シェルターは、完全にロッ クされちまったってことか」

ムウも軽く溜め息をつく。

「あ、だとしたら…あのガキ どもはどうするんだ?」

「え?」

「ほら…もうどっか探して放 り込むってわけにはいかないじゃん」

「彼らは、軍の機密を見たた め、ラミアス大尉が拘束されたのです…このまま解放するわけには……」

軍人的立場からそう告げるナ タル。

「じゃあ、脱出にも付き合っ てもらうってのか…出ていきゃ、ド派手な戦闘になるぞ…まして、外にいるのはさっきも言ったがクルーゼ隊だ。そう簡単に見逃してくれる相手じゃない。おま けに俺のゼロも使えないときた」

その言葉に意気消沈する二 人。

「ラミアス大尉…脱出には、 Gの力が必要だと具申致します」

黙っていたナタルがマリュー にそう告げると、ムウの方を向く。

「フラガ大尉」

それだけで意図を理解したム ウは首を振る。

「おいおい、無茶を言うな よ…俺にあんなもんが操縦できるかよ」

あっさり否定されたことにマ リューとナタルは思わず声を上げる。

「あの坊主と嬢ちゃんが書き 換えたっていうOSのデータを見てないのか…あんなもんが、俺に扱えるかよ」

マリューも言われて表情を沈 める。

「確かに…ストライクとルシ ファーはキラ君やあの娘でないと扱えないでしょうね」

彼女自身も最初の戦闘で自分 の眼の前でOSを書き換え、ジンを撃退したのを見せたキラのプログラミング、操縦技術を垣間見たのだ。

いやでも納得してしまう。

しかし、ナタルは納得がいか なかった。

「本気ですか!Gに民間人 を…しかもコーディネイターの子供を乗せるなど!Gは軍の最高機密ですよ!」

ナタルは嫌悪感を漂わせた表 情で叫ぶ。

「この艦もGも沈んじまった ら機密もなにもないと思うがね」

「しかし!」

腕を組みながらそう呟くムウ にナタルは食って掛かる。

「じゃあ、少尉は元に戻した OSのGで俺にノロクサ出てって的になれっての?」

「それは……」

そう指摘されナタルも口を噤 む。

「そういや、さっきは聞きそ びれたけど…Gは全部で5機と聞いていたんだが、あの黒い機体は何なんだ?」

ムウはマリューに尋ねる。

「知らないのも無理はないと 思います…あの機体はX000、G計画のプロトタイプです。ですが、いろいろと問題があり、今回のG5機のデータ収集後、破棄される予定の機体だったの で、あの存在はハルバートン提督と私を含めた開発部の者しか知らなかったはずです」

「成る程ね…そんな機体を軽 々と使いこなしてくれちゃんだからな、あの嬢ちゃんは…ますます俺には扱えないな」

シートに凭れながらムウ自身 も少しばかり悔しさを感じていた。

クルーゼのシグーを簡単に退 けたあの少女のパイロットとしての腕に……

「だが…さっきの一件もあ る……あの二人がハイ、そうですかと素直に乗ってくれるとは思えんが……」

「私が…説得します!」

ムウにマリューが強く言うの であった。

 

 

 

ヴェサリウスから発進してい く5機のジン。

それぞれが重装備を抱えてい る。

だが、アスランはイージスに 乗り込み、起動させる。

「よーし、今ので最後だな。 ハッチを閉じ……」

最後まで言い終わる前にイー ジスが動き出す。

「何…こいつも出すのか?」

「聞いてないぞ……」

戸惑いながらも、発進の準備 を進める。

そして機体を固定するケーブ ルが外れ、イージスが発進していった。

(確かめなければならない… あそこにいたのが本当にキラかどうかを……!)

その決意を胸にアスランは イージスをヘリオポリスへと向けた。

 

 

その事がブリッジに報告され る。

「何だと…アスラン=ザラが 奪取した機体で出ただと!」

その報告に驚くアデス。

「呼び戻せ!すぐに帰還命令 を…」

「行かせやれ」

遮るように発するクルーゼ。

「は?ですが……」

「データの吸出しは終わって いる…かえって面白いかもしれん。地球軍のMS同士の戦いというのも……」

不敵な笑みを浮かべてクルー ゼはヘリオポリスを見詰める。

 

 

マリューとムウがキラ達のも とを訪れ、概要を話すとキラはすぐさま嫌悪感を見せた。

「お断りします!もう僕達を巻き込まないでください」

キラの怒りももっともだろう と傍観しているレイナは思った。

拘束された上にさらにMSに 乗って戦えと言われれば……

「俺は…アレのパイロットに なるはずだったひよっこ達の護衛で来たんだが…さっきも言ったが、あいつらはノロクサ動かすだけでも四苦八苦していた。それに比べれば君らは大したもん だ」

褒め言葉で言ったが、キラは 表情を変えない。

「褒めたって…僕は乗りませ んからね」

「はは…やっぱし」

苦笑を浮かべるムウをマ リューはジト眼で睨む。

「確かに貴方達の言う通り… 僕達の外の世界では地球軍とザフトの戦争が続いている。だけど…僕達はそれが嫌で、戦いが嫌でこの中立に移ったんだ。なのに…」

キラの怒りをよそにレイナは どこか冷めた…軽蔑を含んだ視線を向けていた。

(この連中は正気なの……)

触れたくて触れた訳でもない のにそれを理由に拘束され、銃を向けられ、さらには自分達には動かせないから代わりに戦えというのも怒るのを通り越して呆れてしまう。

レイナは深く溜め息をつい た。

「……貴方達、何を言ってるかちゃんと解かってる?解かってないなら一回医者に診てもらった方がいいわよ…頭のね」

どこか、馬鹿にした口調で呟 く。

「貴方……」

「機密に触れたからこの艦に 無理矢理連れてきて、次は代わりに戦え…随分と身勝手ね。そもそもザフトがここを狙ってきたのも元を返せば貴方達の責任でしょ。中立国でMS開発を行っ た、っていう立派な条約違反」

レイナはさらに畳み掛けるよ うに言葉を繋ぐ。

「軍人である貴方達が何もで きないから、訓練も何も受けていない民間人を動かせるという理由だけで戦わせる……そうやって、戦火を拡げていく」

身体を起こし、ゆっくりとキ ラとマリュー、ムウの間に割り込むように歩み寄っていく。

「はっきり言ったらどうです か…ナチュラルである自分達では扱えないあのMSを、コーディネイターである彼に動かしてほしい…自分達が生き延びるために」

一部を強調した冷静な声が掛 かる。

ムウは内心、やれやれと溜め息をつく。

随分と言いたい事を言ってく れるが、逆に正論であるために言い返せない。

自分自身がしっかりしている のか…それでいて、理不尽なことには正面から跳ね返してくる真っ直ぐさ。

(嫌なもんだねぇ……大人っ てやつは)

ムウは内心毒づく。

全員の表情が沈む中…通信が 飛び込んで来る。

《ラミアス大尉!ラミアス大 尉!敵MSが接近しています!!》

その通信に顔色を変える。

「くそっ!やっぱりこっちが 終わるまで待ってくれないか…あのヤロー」

舌打ちし、ムウはマリューに 振り返る。

「ラミアス大尉、俺がストラ イクに乗る。上手く使えるかは解からんが……」

「無茶です、大尉!」

「無茶でもなんでもやるしか ないだろ!アレを使わずにこの局面を乗り越えられるのかよ…アークエンジェルが沈んじまったら元も子もないだろ!」

マリューとムウが立ち去ろう とした時、レイナは軽く息を吐き出した。

「責任を感じて乗るのはいい ですけど…貴方が出てっても、多分何の役にも立ちませんよ」

遠慮もなくはっきりと言うレ イナに、二人は唖然となる。

「…私が行ってあげますよ」

だが、次に出た予想外の言葉 に驚愕する。

「乗って…くれるの?」

今まで拒否してきただけに、 信じられないような口調で問い返す。

「勘違いはしないでくださ い…私はあくまで、自分を護るために戦うんです。ここにいたってただ死ぬのを待つだけですから」

レイナは格納庫へと向かおう として振り返る。

「貴方が戦う必要はない わ……変な自己満足だけで乗ってると、早死にするだけよ」

忠告のような言葉を呟くと、 レイナは格納庫へと駆けていった。

「まったく……しっかりして るというか、変わった嬢ちゃんだ」

頭を掻き、その後姿を見送る と、ムウとマリューはブリッジへと向かう。

残されたキラは、どこか呆然 とした表情でレイナが消えていった通路を見詰めていた。

 

 

浮上していくアークエンジェ ル。

艦長シートについたマリュー が指示を出す。

「ヘリオポリスからの脱出を 最優先…コロニーを傷付けぬように留意せよ」

「…そんな無茶な」

その指示に不満を漏らすトノ ムラ。

隣のナタルも同じような表情 だった。

 

 

格納庫で出撃準備におわれる ルシファー。

コックピットには既にレイナ が乗り込んでいる。

「急げ!ルシファーを出す ぞ!!」

マードックの指示にルシ ファーがゆっくりと発進口へと移動する。

「大丈夫なのかよ…あんな女 の子なんか乗せちまって……」

作業を行っていた作業員がそ う呟いたのをマードックは聞き逃さなかった。

「つべこべ言ってないで早く しろ!!」

「は、はい!!」

マードックに怒鳴られ、すぐ さま作業を開始する。

 

ルシファーのコックピットで 発進準備を進めるレイナ。

(天使を護るものが堕天使と は……皮肉なものね)

眼前のモニターに開かれてい く発進カタパルトが映る。

発進口の壁面からシールドが 現れ、ルシファーの左腕に装着され、ルシファーにフェイズシフトが展開される。

《嬢ちゃん…いけるか?》

そこにマードックからの通信 画面が飛び込んで来る。

「ええ…問題はないわ」

《他の奴が何と言ったか知ら んが、俺は勇気のある奴が好きだ…ナチュラルだろうがコーディネイターだろうがな……頼むぞ!!》

そう、笑みを浮かべて激励す る。

「…了解」

レイナも僅かに笑みを浮かべ て頷き返す。

 

 

アークエンジェルに向かって いくジン。

「熱源パターン確認…ジンで す」

モニターに表示されるミサイ ルランチャーを装備したジン。

CICに加わったムウが驚き の声を上げる。

「何てこった…拠点攻撃用の 重爆撃装備だぞ!あんなもんをここで使うつもりか!!」

その間にもヘリオポリスの外 壁に穴を開け、新たに4機の機影が出現する。

「タンネンバウム地区より新 たに敵影確認」

「ルシファー…発進させろ」

ジンの編隊の後から突入して くる赤の機体……

識別を行っていたトノムラは 新たに出現した機影のデータを見て驚く。

「あ…うち1機はX303 イージスです!」

「「「「!!!」」」」

その報告に驚愕する一同。

奪取されたXナンバーの機 体……ブリッジに重い空気が充満する。

「もう、実戦に投入してくる なんて……」

悔しさにマリューが言葉を噛 み締める。

まさか、自分達が造り上げた MSに攻撃されようとは……

「今は敵だ!アレに沈められ たいか!!」

ムウの一渇にハッとする。

「コリントス…レーザー誘 導、厳に!」

「待って…フェイズシフトに 実体弾は効かないわ!」

ナタルの指示に待ったを掛 け、別の指示を出す。

「主砲、レーダー連動…焦点 拡散!!」

アークエンジェルの砲身が現 れ、ビームを放つが、MSは悠々とかわす。

「オロールとマシューは戦艦 を!」

ミゲルの指示に2機のジンが アークエンジェルへと向かっていく。

そして、アークエンジェルか ら発進してくるルシファーガンダム。

「一機か?まあいい…アスラ ン!無理矢理ついてきた根性…見せてもらうぞ!!」

「…ああ」

曖昧な返事を返しながらルシ ファーを見詰める。

アレに乗っているのはキラな のかどうか……

 

「おい、こっちで映像が映っ てるぞ!」

艦内モニターに映し出される 戦闘に眼を向ける……

しばしそれを見詰めていたキ ラは、何かを決意したように走り出した。

 

 

『ZGMF−1017』  『GAT−X303』

 

「ジンが5機…どれも重装 備、おまけに奪取されたこの機体の同系機……キツイな」

モニターに映る敵機を見詰め ながらレイナは表情を変えず呟く。

ビームサーベルを抜き取るル シファー。

「そーら、落ち ろぉぉぉぉぉ!!」

ミゲルのジンが大型ライフル の引き金を引く。

ロックオンのアラートがコッ クピットに響き、レイナは回避行動に移る。

放たれる高出力のビームをか わすが、それはシャフトを支えるワイヤーを打ち砕き、シャフトが落下する。

「…正気じゃないわね!ナ チュラルも…コーディネイターも!!」

何に向けられた怒りなのか… レイナは唇を噛みながらジンを睨みつける。

だが、ジンは二撃目を放って くる。

それをよけるが、ビームがヘ リオポリスの建築物を吹き飛ばす。

「まずい…コロニーにこれ以 上被害が出たら……!!」

襲いくるビームを、シールド を掲げて受け止める。

ビームコーティングが施され ているとはいえ、ビームの熱量を全て受け止められず、ビームの余波が拡散し、閃光に包まれるルシファー。

「やったか!」

だが次の瞬間、閃光の中から シールドを前面に押し出したルシファーが迫ってくる。

「何!!?」

近接し、ビームサーベルを抜 くが寸でのところでかわされてしまう。

(くっ…!)

内心舌打ちする。

そこへイージスが突撃してき た。

幾条ものビームが機体を掠め る。

(どうする……)

シールドで攻撃を受け止めな がら冷静に状況を分析する。

その時、モニターにアークエ ンジェルから発進してくるストライクの姿が映る。

「キラ=ヤマト…どうし て……!!」

一瞬気を取られ、ジンから放 たれたビームを受け止められずに弾かれる。

だが、すぐさま態勢を立て直 す。

「大丈夫ですか!?」

通信から入ってくるキラの 声……アークエンジェルでストライクに乗れるのはキラだけに容易に理解できたが、何故来たかが解からない。

「どうして来たの?」

「僕は……護りたい人がいる から戦うんです」

キラはストライクを向ける。

(友情…ね。もう少し状況判 断ができると思っていたけど……まだまだ青いわね)

その護るべき友人達が彼を恐 れているのを知っているのだろうか……

レイナもルシファーを向かっ てきたジン2機へと向ける。

 

 

アークエンジェルに向かって いくジン。

脚に装備されたランチャーが 火を噴き、アークエンジェルに被弾する。

「左舷第4兵装被弾!隔壁閉 鎖!!」

攻撃の衝撃によって振動に包 まれる艦内。

「くそったれ!」

格納庫で衝撃に近くの物に掴 まりながらマードックが声を荒げる。

その間にもジンの攻撃は続 き、ミサイルが発射される。

「迎撃!」

「間に合いません!」

「照準…マニュアルでこっち に寄越せ!」

「面舵40…前速!!」

アークエンジェルは機体を捻 り、ミサイルをかわすが、外れたミサイルはコロニーに被弾していく。

その戦闘の衝撃に脅えるシェ ルター内の人々。

 

 

シュベルトゲーベルを抜き、 ジンに斬り掛かるストライク。

ジンのビームを弾き、攻撃を 仕掛けるもジンはかわす。

「くそっ!」

ミゲルは苛立つが、ストライ クはビームの攻撃を次々とかわす。

「くそ…素早い!回り込め! アスラン!」

ミゲルの指示にストライクを 追うイージス。

接近してくるMSの姿がコッ クピットに映る。

「! あのMSは…!」

モルゲンレーテが崩壊した時 に見た赤の機体。

キラの脳裏にアスランの姿が 浮かび上がる。

「キラ…君なのか!?」

アスランは苦悩しながらもス トライクを撹乱する。

 

「よし…!!」

ストライクに攻撃を仕掛けよ うとすると、別方向からアラートが響く。

友軍のジンの反応が消失して いる。

そして…こちらへと向かって くるルシファーの姿がモニターに映る。

「くっ!!」

銃口の向きを変え、トリガー を引く。

放たれるビームがルシファー のシールドに着弾し、爆発に包まれる。

「やったか…!!」

だが…爆発の向こう側から は、砕けたシールドの破片だけが現れる。

気付いた時には遅く、ルシ ファーは下方から急接近してきた。

ビームサーベルを振り翳し、 ビーム砲とジンの頭部が斬り裂かれ、ミゲルのジンは爆発に包まれた。

「ミゲ ルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

その光景を目の当たりにした アスランの悲痛な叫びが、コックピットに木霊する。

 

 

アークエンジェルの周囲を取 り囲むように回っているジンに照準を合わせる。

「くっ!!」

ムウがトリガーを引く。

放たれたビームがジンに直撃 し、ジンは爆発するが、ビームの威力が相殺できずにその余波がシャフトを傷付ける。

「しまった!!」

ムウが後悔するが、既に度重 なる攻撃でシャフトはほぼ崩壊し、ヘリオポリスは解体寸前まで迫っていた。

「これ以上、コロニーに損害 は与えられないわ!」

「ではどうしろと!沈められ ろとでも言うのですか!」

マリューにナタルはそう言い 放つ。

 

 

崩れ落ちる中、対峙するスト ライク、イージスの2機。

コックピット越しに相手を見 据える。

《ストライク、ルシファー! 何をやっている!?こちらは敵の攻撃を受けている!!》

《アスラン!何処にいるん だ!!》

コックピットに響く通信も聞 こえず、ただ相手を見据える。

シュベルトゲーベルを構える ストライク。

(アスラン……まさか……)

イージスがこちらに向かって 加速し、ストライクも呼応して中央で交差して離れる。

「キラ…キラ=ヤマト!」

突然響く通信…その声に驚く キラ。

それは聞き間違えるはずもな い…幼馴染みの声。

「やはりキラ……キラなの か!?」

そして確信した……

「アスラン!アスラン=ザ ラ!!」

信じたくなかった……

こんな形で逢いたくなかっ た……

そんな想いと共にキラはかつ ての幼馴染みの名を叫ぶ。

 

 

最後のジンに向かって放たれ るビーム。

ジンは機体を砕かれ、爆発す るが手に持っていた最後のミサイルを放つ。

それはアークエンジェルでは なく、ヘリオポリスを繋ぐ最後のシャフトに直撃した。

その光景に言葉を失うアーク エンジェルの面々……

シャフトが砕け、コロニーの 崩壊が始まっていく……

 

 

予想もしない再会にキラ、ア スランの2人は悲痛な表情を浮かべる。

だが、渦巻く懸念がやがてど うしようもない怒りへと変わっていく。

「何故…どうして君 が!!?」

キラは眼の前の現実を打ち消 すように叫ぶ。

「お前こそ……どうしてそん なモノに乗っている!!?」

アスランの方も叫び返す。

 

――――何故、君がザフト に……!!

――――コーディネイターの お前が、どうして地球軍に……!!

 

 

轟音を上げながらセンター シャフトが分解し、それに続いて各部の亀裂もひろがり、コロニーの分解が始まる。

そしてコロニーの各所から救 命ポッドがパージされていく。

その光景をヴェサリウスから 見詰めていたアデスは信じられないといった表情で呟く。

「隊長……」

だが、クルーゼは無表情のま ま、ヘリオポリスが崩壊していくのを見詰めるのであった……

 

 

コロニーが分解し、中の酸素 が宇宙へと流れ、コロニー内に気流の渦が巻き起こる。

対峙していた2機の周囲にも 瓦礫が飛び交い、乱気流が襲う。

それに巻き込まれ、コント ロールを奪われ、コロニー外へと吸い込まれていくストライク。

「ぐぅぅ…う わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

キラの叫びと共にストライク は漆黒の宇宙の闇へと消えていく……

「キラ!!」

それを追おうとするアスラン だったが、同じく乱気流の壁に阻まれ、反対の方向へとイージスは流されていくのであった……

 

 

崩壊していくヘリオポリ ス……

偽りの平和は…崩壊という最 後をもって宇宙に散っていくのであった………

 

 

 

 

 

《次回予告》

 

故郷を失い…迷える道を進 む。

少女は堕天使と共に暗黒の宇 宙に舞う。

 

その真紅の瞳に映るもの は……

 

次回、「SILENT DARK」

 

闇を纏いて翔べ、ガンダム。





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