潜行したストライクはシュベルトゲーベルを、ルシファーはアーマーシュナイダーを構える。

2機に向かって、グーンは魚 雷で攻撃してくる。

散開し、ルシファーはイーゲ ルシュテルンでグーンを狙撃しながら、距離を取る。

ストライクはシュベルトゲー ベルを突き刺そうとするが、グーンは海中を素早くかわす。

やはり、初の水中戦闘に、キ ラも落ち着かない感覚を持つ。

逃げたグーンに向かってイー ゲルシュテルンで追い討ちをかけるが、水に勢いを殺され、捉えられない。

その時、別方向から突撃して きたグーンが、ストライクに向かってフォノン・メーザー砲を放ってきた。

機体を旋廻させ、岩陰に身を 隠す。

「くそっ、どうにか足を止め ないと……!」

気を取られる間もなく、横か ら突進してきたグーンに体当たりで機体を吹き飛ばされ、魚雷の直撃を受ける。

グーンの魚雷をかわしなが ら、レイナは歯噛みする。

グーンは必要以上、距離を詰 めず、魚雷などでこちらを狙ってくる。

今のルシファーでは近接戦し かできず、グーンに接近しようとしても、水中では機動性に差がある。

その時、側面からアラートが 響き、サイドモニターに眼をやると同時に、激しい衝撃が機体を襲った。

「ぐぅ…!」

巨大な鉤爪を持ったMSが視 界に現れる。

「UMF−5……ゾノ! 厄 介ね…!」

イーゲルシュテルンで牽制す るが、グーンよりもより水中格闘戦に改良された機体は、悠々とかわし、突撃してくる。

「こいつは私がやる! グー ン2機は白い奴を…残りの2機は艦を!」

モラシムの指示を受け、グー ン2機がストライクへ、残り2機がアークエンジェルへと向かっていく。

ゾノは腕を振り、手の掌にあ る照準用レーザーが放たれ、レイナは身をかわす。

次の瞬間、ルシファーを過 ぎったフォノン・メーザーが岩盤を砕き、砂煙を巻き起こらせる。

その爆風を利用して、ルシ ファーは離脱するが、ゾノは素早く後を追ってくる。

「今日こそその機体、バラバ ラにしてくれるわ! このゾノがな!!」

一気に近接してくるゾノは、 水中とは思えない俊敏な動きでクローを繰り出してくる。そその一撃をなんとかかわし、ルシファーは左腕のアーマーシュナイダーを掴む。

突撃してくるゾノに向かって 繰り出すが、ゾノは身を捻り、そのまま回転しながらクローを叩きつけた。

反動で吹き飛ばされるルシ ファーに向かって胸部の533ミリ6連装魚雷発射管から魚雷が放たれ、ルシファーに着弾した。

ストライクもまた、グーン2 機を相手に苦戦をしいられていた。

いくら水中用に調整したとは いえ、水中戦を主眼にしたグーン相手では分が悪い。

二機はストライクを翻弄し、 体当たりを繰り返す。

コックピットで衝撃に耐える キラは、突進してくるグーンに向かってシュベルトゲーベルを振り下ろすが、グーンは身を僅かにずらすだけで回避し、そのまま体当たりを喰らい、ストライク はシュベルトゲーベルを放してしまう。

シュベルトゲーベルを拾うと したが、それより早くグーンは魚雷を放った。

魚雷の直撃を受け、ストライ クは弾き飛ばされる。

衝撃に、コックピット内でキ ラは歯噛みする。

動きの取れないストライクに 向かってグーンが再度体当たりを喰らわそうと、突進してくるが、今度はそれを受け止めた。

そして、至近距離からグーン に向けてイーゲルシュテルンを放った。

流石のMSでも、ほぼ至近距 離からのイーゲルシュテルンの連射に装甲が耐えられず、グーンが爆発する。

自由自在に水中を潜航するゾ ノに、機動性で劣るルシファーは苦戦をしいられる。

イーゲルシュテルンで狙撃す るも、ゾノはあっさりとかわし、ルシファーの体当たりを喰らわす。

「ぐぅぅ!」

激しい衝撃がコックピットに まで響く…いくらPS装甲で護られているとはいえ、こう何度も衝撃を受けては、機体より先にパイロットの方がやられてしまう。

ルシファーはそのまま岩盤へ と叩きつけられた。

パワー、機動性ともに水中で はやはり分が悪い…せめて、海上に出れば……まだ勝機があるものを…魚雷をかわしながら、レイナはチャンスを待つ。

 

 

そして、モラシム達の母艦で あるクストーは、アークエンジェルへの攻撃を行うと、近くの海域に接近しつつあった。

「よーし、ディン隊出すぞ… 浮上!」

艦長の指示にクストーはゆっ くりと浮上していく。

その時、モニターを見詰めて いたオペレーターが叫んだ。

「海上レーダーに感! 機影 2…いえ、3! 足付きの艦載機です!!」

オペレーターの報告に、艦長 は戦艦の天井を通して、海を見上げた。

海上を、低空飛行で飛行する 3機の戦闘機。

「敵、潜水母艦らしき艦影… 会敵まで1分!」

レーダーを見詰めていたアル フが叫ぶ。

そして、肉眼でも、青い海面 に一箇所だけ黒ずんだ影が映る。

「よっしゃぁ! いくぞ、お 嬢ちゃん!」

「カガリだ!」

怒鳴りながら、降下していく 2機のスカイグラスパーを追っていく。

スカイグラスパーの下部ハッ チから、対潜用のミサイルが放たれ、カガリもインフェストゥスに装備された対艦ミサイルを発射した。

ミサイルの接近に、クストー 内にアラートが響く。

「対潜弾接近!」

「回避!」

「間に合いません!!」

海中に向かって撃ち込まれた ミサイルは、一発が艦影の横をすり抜けたが、二発が命中し、水中に爆発が起きる。

被弾した艦内は、たちまち混 乱に陥る。

「右舷前部、及び左舷後部エ ンジン被弾! 浸水!!」

艦長は奥歯をギリリと噛み締 める。

「くそっ…浮上してディンを 出せ! 叩き落すんだ!!」

 

爆発が起きた海上を旋廻する 3機。

「さーあ、出てくるぞ! い いか!?」

「ああ!」

ムウの声に促され、カガリは 操縦桿を引き、機体を旋廻させる。

浮上した瞬間を狙おうと、カ ガリは機体を降下させるが、そこへアルフの怒鳴り声が響いた。

「おい! あまり高度を落と すな! 潮を被るぞ!!」

「え……くそっ!」

カガリは慌てて操縦桿を引 く。間一髪のところで、浮上した潜水艦の飛沫をかわせた。

ホッとしたのも束の間、ムウ の怒鳴り声が聞こえてくる。

「バカ! だから言わんこっ ちゃない!」

「バカとはなんだ、バカと は…!」

「バカだからバカと言ったん だ! もっと機体高度を把握しろ!」

カッとなって怒鳴り返したカ ガリだったが、さらに怒声で怒鳴られ、口を噤む。

そんな言い合いをよそに、海 上に浮上したクストーの上部に設置された3基のハッチが開き、その下にはディンの機影が見えた。

「そうはさせるか!」

発進を阻止しようと、ムウは トリガーを引いた。

装備されたアグニが火を噴 き、潜水母艦に真っ直ぐに伸び、甲板に着弾したと同時に、大きな爆発が起こった。

「…やったか!?」

爆煙を見やりながら、カガリ が弾んだ声を上げるが、巻き起こる爆煙から、2機のディンが姿を現わしたのだ。

 

 

海中から、依然攻撃を続ける グーン2機に苦戦するアークエンジェル。

元々、宇宙艦であるアークエ ンジェルは、艦艇部にはイーゲルシュテルンしか装備しておらず、下方面への対応に弱い。

加えて、イーゲルシュテルン ではグーンを捉えられない。

「ランダム回避運動! ロー ル20、グーンを取り付かせるな!」

マリューが叫ぶが、腹の下に 潜り込まれていては、回避行動もままならず、おまけに直接海面を狙える武器が少ない。

「バリアント、撃 てぇぇぇ!」

ナタルが指示するが、グーン はひっきりなしに海中へと退避するため、掠りもしない。

「ストライクとルシファー は!? 何をしている!」

苛立ちを込めて叫ぶ。

ストライクとルシファーは、 先程海中へと潜行してから、まったく姿を見せない。

「くっ…上部の砲の射線が取 れれば………」

思わずサイが毒づく。

ゴッドフリートをはじめとし た、火器は艦の上部に位置しており、直接海面を狙えない。

だが、マリューがハッとした ように何かを思いついた。

そして、操舵席のノイマンに 叫ぶ。

「ノイマン少尉! 一度でい い、アークエンジェルをバレルロールさせて!!」

「ええっ!?」

ノイマンが唖然とした口調で 振り向き、他のクルー達も眼を丸くする。

進行軸における360度回 転…だが、それはあくまで戦闘機のような小型機が回避、もしくは急旋回急上昇に用いる手段…それを、アークエンジェルのような艦クラスで行うとは……

「ゴッドフリートの射線を取 る! 一度で当ててよ! ナタル!!」

「…わ、解かりました」

流石のナタルも、上擦った口 調で答えた。

「少尉、やれるわね!?」

「は、はい!!」

念を押すマリューに、当惑を 隠せないながらも、頷き返す。

「本艦はこれより、360度 バレルロールを行う! 総員、衝撃に備えよ! 繰り返す……」

パルが艦内に警告を送ると同 時に、ソナーを見詰めていたトノムラが声を上げる。

「グーン2機、来ます!!」

「ゴットフリート照準、いい わね!!」

マリューが確認しつつ、シー トベルトを締め、身構え、他のクルー達もこれから行われる飛行に備える。

「行きますよ!!」

ノイマンがスラスターを制御 し、操縦桿を捻ると、巨大な艦が傾き出す。

体制を横へと傾けると同時 に、両舷からゴッドフリートがせり上がり、モニターの視界が完全に逆転した時……海面からグーンが姿を見せた。

「ゴットフリート、て えっ!!」

即座にナタルの号令が響き、 ゴッドフリートが火を噴いた。

海面に向かって放たれた光は グーンのボディを貫き、水しぶきとともに爆発する。

離脱するように、アークエン ジェルは元の態勢へと戻った。

 

 

グーンの爆発は水中にまで響 き、それは友軍機にも影響を与えたようだ。

「な、何だ……!?」

一瞬、気を取られ、モラシム の注意が逸れた。

それを待っていたかのごと く、レイナは操縦桿を引いた。

「隙あり!」

スラスターが火を噴き、ルシ ファーはゾノに向かって突進する。

気付いたモラシムは慌てて回 避しようとするが、間合いを詰めたルシファーはアーマーシュナイダーを振り上げ、ゾノの左腕を斬り裂いた。

水中に爆発が起き、ゾノは斬 り落とされた腕をパージする。

魚雷を放つが、ルシファーは 海面に向かって上昇していく。

「逃すかっ!」

怒りにかられ、冷静さを欠い たモラシムは、その後を追う。

レイナは浮上する中、海中に 漂うシュベルトゲーベルを眼に留め、上昇するなかで、それを掴む。

海面に飛び出し、飛行するル シファー。

それを追って海面に姿を現わ したゾノは、魚雷を発射する。

「海の上なら…こっちのも の!」

機動性を駆使し、魚雷をシュ ベルトゲーベルで叩き落す。

そして、そのまま加速し、ゾ ノに向かって突っ込んだ。

シュベルトゲーベルはゾノの 右肩を貫き、ルシファーはボディを蹴り、離脱する。

刹那、右肩が爆発し、ゾノの 機影は海中へと落ちていった………

 

 

アークエンジェル側の戦闘が 終わろうとした頃、潜水母艦を墜としたムウ達は、残ったディン2機を相手に空中戦を行っている。

ムウのスカイグラスパーが、 ビーム砲でディンを後方から追尾していると、その進路上にカガリのインフェストゥスが機銃を撃ちながらディンに迫ってきた。

「お嬢ちゃん!?」

ムウは慌ててトリガーから手 を離す。

「ちょろちょろするなよ!  俺が撃っちゃうじゃないか!」

「何を!」

邪魔者扱いされたみたいで、 カガリはカッとなり、もう一機のディンへ迫る。

アルフのスカイグラスパーが ディンに、照準を合わせる。

トリガーを引こうとした瞬 間、横から割り込んだインフェストゥスがミサイルを放つ。

「うおわぁっ!」

アルフは冷や汗をかきなが ら、操縦桿を引く。

間一髪のところで、なんとか 激突は避けられた。

「おいっ! もう少し機体間 の距離に気をつけろ! 空中で激突したらシャレにならないんだぞ!」

続けての叱咤に、完全に頭に 血を昇らせるが、その瞬間、機体に衝撃が走った。

「うわぁ!」

何時の間にか、ディンがカガ リ機にライフルを向けていた。

アルフのスカイグラスパーが ディンに向かってビームライフルを放ち、牽制する。

「大丈夫か!?」

通信機から、やや焦ったムウ の声が聞こえてきた。

「ナビゲーションモジュール をやられただけだ…!」

「帰投できるか? できるな ら早く離脱しろ! ここは俺達が抑える!」

「大丈夫だ! まだ……!」

命じるアルフにカガリが言い 返そうとしたが、さらに邪険な返事が返ってくる。

「今いても、足手纏いだ!」

「フラフラ飛ばれたら、俺ら には邪魔なんだよ! それくらいのこと、解からんのか!」

あまりに屈辱的な言い分に、 カガリは噛み付こうとしたが、それを抑え込む。

言い返したくても、それが事 実だからだ。

「解かったよ!」

吐き捨てるように叫び、カガ リは機体を旋廻させ、離脱していく。

残った二人は、思う存分に空 中を飛び交う。

一対一なら、MSよりも戦闘 機の方が小回りがきく…アルフのスカイグラスパーは曲芸のように機体を旋廻させ、ディンの攻撃をかわしながら、ミサイルを放った。

ミサイルがライフルに命中 し、ライフルが爆発する。

その隙を逃さず、ビームライ フルを放ち、ディンが爆発する。

同じく、ムウのスカイグラス パーも大きく上昇し、太陽を背に急降下する。

陽の光に眼を眩ませるディン に向かって、アグニを放つ。

太い光状がディンのボディを 貫き、火を上げながら、ディンは爆発した。

 

 

戦闘空域の近くを、アスラン の乗った輸送機が雲の上を飛行していた。

「おい?」

「ああ…でも、こんなところ で誰が?」

輸送機のコックピットで交わ される会話…不審に思ったアスランがコックピットに顔を出した。

「どうしたんです?」

アスランが尋ねると、輸送機 のパイロットは眉を顰めた。

「前方海上に戦闘らしき反応 があるんだ」

「え?」

怪訝そうな表情で、アスラン はコックピット越しに見える雲海を見詰める。

この空域は、中立国の領土が 近いとはいえ、ザフトの制空圏内だ。

「巻き込まれたら厄介だな… グゥル積んでないんだ。あんたの機体、落っこっちまう」

ザフトの主力MSであるジン をはじめとした機体や、イージスをはじめとしたXナンバーは元々、宇宙での運用を視野に入れて開発された。

当然ながら、それらの機体は 大気圏内での飛行を考慮されていない。

それらのMSの空中戦を支援 するのが、MS支援空中機動飛翔体:グゥルだ。

これが無ければ、いくらMA 形態に変形できるイージスといえど、墜落するのがオチだ。

 

 

雲の切れ目を縫うように飛行 するカガリのインフェストゥス。

アークエンジェルに帰投しよ うとしたものの、肝心の母艦の位置を示すナビゲーションシステムがやられ、仕方なく見晴らしのいい上空へと高度を上げたのだが、それでも雲の中に入ってし まったので、まったく海面が見えない。

「ええい、方角が…アークエ ンジェルはどっちだ?」

周囲をキョロキョロ見渡して いると、モニターに、雲の中から飛び出してきた機影が映る。

「ザフトの……輸送機!?」

カガリの額から冷や汗が流れ る。

いくらこちらが戦闘機で、向 こうが単なる輸送機といっても、こちらはダメージを負い、武装もほとんど撃ち尽してしまっている。

「援軍か? この状況じゃや るしかない……!」

もしアレがアークエンジェル に対して攻撃を仕掛けるものなら、ここで見逃すことはできない…その瞬間、カガリは決断した。

 

 

付近の警戒を行っていた輸送 機のパイロット達は、突如、雲海から姿を現わした機影に眼を見開いた。

息を呑み、咄嗟に機体を捻 る。

肉眼で確認したそれは、自分 達の属するザフトの戦闘機……インフェストゥス。

「友軍機…」

「いや違う! 識別は地球軍 のものだ!」

「くそっ、鹵獲された奴か!  なんでこんなところに!」

歯噛みしながら、輸送機の機 銃で攻撃するが、インフェストゥスは素早く機体を捻り、雲海の中に姿を隠す。

「君はMSのコックピット へ! いざとなったら機体はパージする!」

「しかし……!」

「積荷ごと墜ちたら俺達の恥 なんだよ! 早く!」

インフェストゥスが再度、雲 海の中から姿を現わし、ミサイルで攻撃してくる。

「……解かった!」

イージスで空中戦ができない 今、確かに自分にできることはない。

アスランはそのままパイロッ ト達の意志を無駄にしないため、シートの並ぶ待機室を抜けて、格納庫へと続くハッチを開く。

そのまま、格納庫に鎮座して いるイージスへと近づき、素早くコックピットに乗り込む。

刹那、機体が大きく揺れる。

コックピットでヘルメットを 被り、OSを立ち上げていると、格納庫内のスピーカーから、輸送機のコックピットの会話が、飛び込んできた。

《くそっ! 制空圏内と思っ て油断した!》

ガクンという感覚とともに、 重力の落下が感じられる。

《…ダメだ、保たない! 高 度を下げてパージする!》

シートに体を固定しつつ、ア スランはコックピットハッチを閉じる。

機体が軋む音を感じながら、 アスランは叫ぶ。

「貴方方は?」

《その後脱出するさ、気遣い はいらん!》

自分より年長のパイロットの 言葉に、アスランは表情を引き締める。

アスランにはパイロットとし ての責務があるように、彼らにも彼らなりの責務があるのだ。

MSのパイロットには、反射 神経と身体面から、明確ではないが年齢制限のようなものが暗黙に存在する…それは、一部を除いて30代までの者が適しているということだ。

ザフトは志願制だ…輸送機の パイロット二人もまた、志願してザフトに入ったのであろう。

前線で戦えないという無念さ もあったかもしれないが、彼らは彼らなりに祖国を護ろうとしているのだ。

だからこそ、アスランはイー ジスのOSが起動した事を確認すると同時に頷いた。

「はい……!」 

激しく揺れる輸送機のハッチ が開き、イージスが吐き出されるように飛び出す。

輸送機のパイロット達の幸運 を祈りつつ、イージスを宙に躍らせた。

 

 

輸送機が火に包まれるのを、 カガリは歓喜を上げるが、輸送機は機銃で攻撃し、油断していたカガリは被弾した。

エンジン部をやられ、どんど ん高度が落ちていく。

「くっ、くそっ……!」

操縦桿を引き、なんとか高度 を保とうとするが、それも虚しく…眼前に海面が迫ってくる。

「うわぁぁぁっ!」

悲鳴とともに、インフェス トゥスは海面にダイブした。

 

 

そして、ザフトの輸送機が撃 墜されたという報告と、出撃した民間人が操縦する戦闘機が行方不明となった報告がカーペンタリア基地とアークエンジェルに届いたのは……一時間程後であっ た………

 

 

 

アークエンジェルが離脱した 戦闘宙域に、海中から接近する艦影があった。

ザフトとは違う潜水艦だ。

刹那、ハッチが開き、潜水艦 から数機のMSが姿を現わした。

UWMF/S−1 ジン・ワ スプ…水中専用にチューニングされたジンのバリエーションの一つだ。

先頭を進むジン・ワスプの右 肩には、ドクロを模ったマークがマーキングされている。

三機のジン・ワスプは海中に ライトを照らしながら潜行し、向かう先には…先程の戦闘で破壊されたゾノやグーンが漂っている。

「お前らはグーンの回収を。 俺はゾノを回収する…なるべく急げよ! パイロットはまだ生きてるかもしれないんだからな」

《《了解!》》

リーダー機らしきジン・ワス プに乗る青年パイロットの声に、僚機から素早い返事が返ってくる。

ジン・ワスプがゆっくりとゾ ノに取り付くと、どうやらコックピットはまだ大丈夫のようだった。

もっとも、このまま放ってお いたら、少しもしないうちに酸欠か、海の餌食になっていただろう。

「こちらアクト1、パイロッ トはまだ生きている! すぐに救護班を用意してくれ!」

 

 

「アクト1、了解…すぐに格 納庫に救護班を向かわせます」

潜水艦のブリッジで、通信を 受けたオペレーターが答える。

ブリッジの中央には、艦長ら しきシートに、やや不釣合いな年若い青年が座っていた。

「潜水母艦の方の救助 は……?」

「そちらにも救助班を向かわ せました」

青年が尋ねると、オペレー ターは懸念を抱かず、答え返す。

「急いでくれよ」

軽く笑みを浮かべ、青年は片 方だけ手袋をつけた右手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

《次回予告》

 

銃声を合図に、少年と少女は 出逢う……

出逢いがもたらすものは、恐 怖か、怒りか……

 

撃たねばならぬ敵と、撃たれ ねばならぬ敵……

互いを知り、二人が交わす言 葉は……

 

 

次回、「出逢い」

 

憎しみを越えろ、ガンダム。




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