出撃体勢の整った地球軍の洋上艦隊が再び慌しく動き出す。

MSを乗せた揚陸艦が航行を 始め、それを護衛するイージス艦群が動き出す。

そして、パウエルの格納庫か らも、6機のGが発進準備に入る。

先の戦闘より、より強力で多 量のγグリフェプタンを投与されたオルガ、シャニ、クロトはまともに働いていない思考の中で、昨日の戦闘で最高の快楽を齎した相手を思い浮かべる。

「あの2機……」

「今度こそ……」

「墜としてやる……っ!」

3人の眼が怪しく光り、その 狙いがフリーダムとジャスティスへとセットされ、カラミティ、フォビドゥン、レイダーが飛び出していく。

続けてゲイル、ヴァニシン グ、制式レイダーがスタンバイする。

「ックク…BA、俺を愉しま せろよ……」

殺し合いを興じる相手を夢想 し、ウォルフはほくそ笑み、操縦桿を引く。

「………この不愉快な感情… 確かめる」

胸に込み上げる不快感に唇を 噛み、アディンは支援メカのステルスライザーとシステムをリンクさせ、起動させる。

イリューシアは淡々と発進準 備を進める……彼女に命令された最優先事項は変わっていない。防衛線を突破し、行政府の制圧……彼女は今一度命令を己の内に刻み、虚ろな瞳を上げる。

刹那、3機が格納庫から飛び 出し、先行する3機に追い縋る。

フォビドゥンはリフターを被 り、カラミティは変形したレイダーに飛び乗り、ゲイルは6枚の翼を開き、両腕のファーブニルを起動させ、ヴァニシングはステルスライザーとドッキングし、 制式レイダーは高速戦闘機形態へと変形した。

6機が朝焼けに後押しされる ように海上を疾走していく。

その様子をパウエルのブリッ ジから満足げに見詰めていたアズラエルは飄々とした態度で告げた。

「さぁ、昨日の続きです…頑 張ってくださいね」

嫌味にしか聞こえないその言 葉にダーレスは憮然とした表情のまま、指示を出した。

「全艦出撃用意!」

ダーレスの指示をオペレー ター達が復唱し、周囲に展開している艦隊へと連絡する。

「全艦出撃用意! 繰り返 す! 全艦出撃用意!!」

「巡航ミサイル、一斉発射… 戦闘機隊は順次発進せよ!!」

指示に従い、展開していた連 合艦隊が再びその沈黙を破って動き出す。

イージス艦群から放たれる巡 航ミサイルの嵐………間髪入れずに発進していく制式戦闘機:スピアヘッドの部隊………

そしてMSを艦載した揚陸艦 隊が何十隻と真っ直ぐにオノゴノを目指す。

 

イージス艦に護衛されて進む 揚陸艦の一つで、発進準備を進めるレナのデュエルダガー……新しいフォルテストラを装備し直され、発進の時を待つコックピットの中で、レナは複雑な思いに かられていた。

(アルフ……どうしてな の……っ)

士官学校時代の同期……優秀 なパイロットであった……彼に続くような新兵達を育てるべく、教官となり、戦場で活躍するアルフを誇りとしていた。

だが、その彼は今や地球軍を 裏切り、自分と敵対する身……相手への不満が怒りとなって胸中を駆け巡り、表情を苦くする。

苦悩するレナのもとに通信が 開き、ハッと顔を上げる。

《レナ教……いえ、中尉…ど うしたんですか? 昨日の戦闘の後から様子がおかしいですよ》

心配げに覗き込むのは、デュ エルダガーの後方に待機するフォビドゥンブルーのジェーンだ。

「……ごめんなさいね、心配 掛けて…大丈夫よ」

空元気でぎこちない笑みを浮 かべるレナにジェーンは余計に気になったが、それでもその笑顔が深く聞かれるのを拒んでいるように見え、それ以上追求するのを止めた。

「人の心配よりも、まずは自 分が生き残るために集中しなさい……今の貴方もどこか気が張り詰め過ぎてるわよ」

不意を衝かれ、ジェーンも言 葉を詰まらせる。

そう……ジェーンもまた先の 戦闘で愛機を中破させたゾノの姿を思い浮かべ、執念を燃やしていた。

《ヒューストン小隊、発進願 います!》

そこへ、水中MS部隊の発進 を告げる指示が響き、ジェーンは表情を引き締め、崩していた胸元のファスナーを閉め、ヘルメットのバイザーを下ろす。

《お互い……頑張りましょう ね! レナ中尉!》

親指をビシッと立て、激励 し、ジェーンの駆るフォビドゥンブルーが発進ゲートの奥に向かって歩み消えていく。

「頑張る…か………」

ジェーンの言葉を反芻させ、 一瞬だけ苦笑を浮かべると……その表情がキッと引き締まる。

そう……自分も負けられない のだ……たとえ相手が誰であろうと………

苦悩と葛藤を胸に、レナもま た決意を固めて操縦桿を握り締めた。

 

 

 

オーブへの侵攻が……再び開 始された……………

 

 

機動戦士ガンダムSEED 

TWIN DESTINY OF  DARKNESS

PHASE-38  ()()への旅立ち

 

 

夜が明け……それぞれの想い を胸にいつ終わるとも知れぬ休息を貪る者達………

決意した者、迷う者……全て に等しく朝が訪れる………自身の意義を問う砲火の嵐とともに………

不安に神経を尖らせるオーブ 軍の本部に、不穏な警報が鳴り響いた。

静けさを保っていた一同は ハッと顔を上げ、身構える。

本部ではモニターに映るミサ イルの機影とそれに続くMS部隊と戦闘機隊のマーカーが表示されている。

「レーダーに機影!」

「ミサイル接近!!」

本部に詰めていたカガリやキ サカ、シルフィもハッと顔を上げる。

「MS群、航空機隊、オノゴ ノを目標に侵攻中!!」

オペレーターの切迫した声が スピーカーを通じて各部署が慌しく動き出す。

ハンガーに固定されていた M1が次々と起動し、迎撃のために出撃態勢に入る。

グランもまた自機のM2に搭 乗し、機体を起動させる。

「M1隊、出るぞ!」

グランの号令に続くように発 進していくM1部隊……昨日の戦闘でその数を半数以下にまで減らしていたが、それでも戦わねばならない。

地上に出たMS部隊に続くよ うにリニアガンタンクが配置につき、迎撃用の砲台がせり上がる。

そして港に待機していた艦隊 が動き出す。

「アーマードM1隊は北西に 展開! 敵揚陸艦を迎撃! ガンナーM1隊はイザナギ海岸にてミサイルを迎撃せよ! 残りは敵MS隊の迎撃に回れ! 奴らを一歩たりとも進ませる なっ!!」

グランの怒号に展開するM1 部隊。

イザナギ海岸を制圧され、敵 揚陸艦が横付けされれば、それは補給路を確保されたことと同じになる。あそこが最前線の防衛網だけになんとしても死守しなければならない。

そして、オペレーター達が慌 しく動き回る中で、カガリはモニターを睨みながら拳を震わせていた。

「カガリ……」

「降伏勧告すらなく、皆殺し するのか………! くそっ!!」

怒りを噛み締めながらモニ ター画面を殴り付ける。

オーブの命運は決まった…… だが、それでも屈するわけにはいかなかった。

 

そして、侵攻再開の報はすぐ さまヤラフェス本島の行政府へも届けられた。

その報を受け取ったウズミは 怒りに歯噛みし、拳を握り締める。

「ウズミ様……」

ホムラや愕然となる他の首長 達が不安げな声を上げるが、ウズミにもそれに答えることはできない。

歩み寄ろうとしていた意思を 最悪の形で突き返されたからだ。

「おのれ……これが回答か、 地球軍! 敵と見なせば…既にその言葉すら聞かぬというのか!?」

冷静な彼らしくなく、忌々し げに苦い口調で吐き捨てた。

 

 

 

オノゴノに向かってくる巡航 ミサイルの嵐……リニアガンタンクや砲台が必死に応戦し、ミサイルを撃ち落すも、圧倒的な数のミサイル全てを撃ち落すことはできず、爆発を抜けて着弾す る。

その混乱を衝くように戦闘機 部隊が何十機と尾を引きながら向かってくる。

イザナギ海岸:最前線の防衛 網に配置されたガンナーM1部隊がキャノン砲、そしてガトリング砲を使って戦闘機を撃ち落すも、サイドワインダーが何十発と放たれ、既に廃墟と化している 市街地に降り注ぐ。

振動が地下施設を揺らし、地 下ドックで最終点検を急ぐアークエンジェル……既にドッキング作業を終え、後は電子系統の接続を終えれば発進できる。

艦長シートに着くマリューは 響く振動を噛み締めながら、焦がれるような思いで作業の完了を待つ。

CICには、新しくポセイド ンからキョウが副長席に座り、そしてキョウのサポート役としてポセイドンのオペレーターのマリア=ウィルが管制に入った。

艦外では、作業MSのレイス タが物資を搬入し、また指揮を取っているトウベエの怒号が鳴り響いている。

「モタモタするな! 急 げ!!」

作業員達が撤収し、秘密ドッ ク内のライトがその機体を浮かび上がらせる。

ポセイドンの蒼と黒のパーツ で覆い固められた白亜のボディ………

アークエンジェルはその全貌 を大きく変えていた……特徴的だった両舷のブレード部分は新たに伸び、中心にはポセイドンのメインブリッジが変形し覆い被さって防御性を向上させ、尚且つ 格納機能もアップされている。

後部のエンジンノズルにもサ ブエンジンが追加され、地上では左程の高度と推力が発揮できないアークエンジェルの欠点を補っている。

「撤収作業完了! 発進シー クエンススタート!」

副長シートに着いたキョウが 指示を出すと、ノイマンがエンジンを起動させる。

「起動シークエンス、プロセ スAからGまでを突破……パワー、上がります!」

船体各所のエネルギーライン が接続され、ドッキングされたポセイドンのパーツと電子系統が繋がり、計器類に光が灯っていく。

「CIC…管制機能を全て アークエンジェル側に移行」

「全兵装、システムオンライ ン……」

「エンジン異常なし……全シ ステムオールグリーン……発進準備完了!」

全員の視線がマリューに向け られる。

するとマリューは、徐に CICのキョウを見やった。

「今のこの艦の名称 は……?」

そう……形を変えたこの艦は もはやアークエンジェルではない……決意を胸に戦いに赴く自分達の新たな艦なのだ。

それに対し、キョウは軽く笑 みを浮かべて言った。

「ネェルアークエンジェルで す」

その言葉にマリューも笑顔を 浮かべて頷くと、キッと前を見据えた。

「ネェルアークエンジェル! 発進しま す!!!」

新たな力を得て、生まれ変 わった天使の箱舟が戦場へと向かって飛び立っていった………

 

 

 

次々と発進するM1部隊…… レイナもまた動き回る整備班の中を掻い潜り、インフィニティへと駆け寄る。

だが、インフィニティの足元 にリンが佇んでいるのに気付き、思わず歩みを止める。

暫し、無言のまま二人は見詰 め合う。

けじめをつけるため……昨 夜、レイナは確かにリンにそう言った………それ以外にない。

勝ち目が無いのはとうに解 かっている……抵抗することなど無意味かもしれない……以前までなら、レイナもそう思っていただろう。

「……無意味だということは 解かっている……だけど、倒さなければならない相手がそこにいる……戦場が私を呼び寄せる……」

憂いを携えた瞳でインフィニ ティを見上げる。

「私もコイツも……戦場とい う鎖が縛り付ける………そう運命付けられている………だから私は戦う………戦いしかできないのなら…それが私の運命なら………」

決意を秘めた瞳で今一度リン を凝視すると、そのまま駆け出し、横をすり抜けると、コックピットへと続く搭乗エレベーターに飛び乗る。

押し上げられていき、やがて コックピットハッチ上部に辿り着くと、下方のリンを見やる。

「私には勝ち目もなにも関係 ない……ただ、死ぬ時は戦場で………そう決めているだけ」

闇の中で足掻き続ける……一 瞬、視線を交わすと……レイナはコックピットに消えた。

ハッチが閉じ、レイナは機体 を起動させる。

駆動音が響き、計器類に光が 灯る……刹那、インフィニティの瞳が紅く煌く。

メンテナンスベッドから固定 を解除し、インフィニティはゆっくりとした歩みで格納庫内を進んでいく。

その後姿を見送りながら、リ ンはフッと肩を竦めた。

「縛り付ける鎖……か……… 私にとって、姉さん………貴方の存在が私を縛っているのよ……それが、私の……いえ、私達の運命なんだから………」

自嘲気味な笑みを一瞬浮かべ ると、リンも身を翻し、隣に固定されていたエヴォリューションに乗り込む。

インフィニティと寸分違わぬ コックピットで、リンは駆動音を響かせ、計器類を操作する。

エヴォリューションの瞳にも 紅い光が煌き、固定具を外す。

「私も……勝ち負けで戦うわ けじゃない………それしかできないのだから……」

そして、インフィニティに続 くように格納庫内を進んでいった………

 

 

キラもまた、素早くパイロッ トスーツに着替え、フリーダムの許へと駆けていた。

「キラ!」

そんなキラにアスランが声を 上げて駆け寄り、昇降機前で引き止めると、周囲を憚るように低い声で、それでも鋭く問い掛けた。

「この状況では、どの道オー ブに勝ち目はない……解かってるんだろう!?」

オーブの理念は確かに立派だ が、国が滅ぼされるては元も子もないのではないか……いや、こうして一日だけでも侵攻を遅らせたのが賞賛に値する。

逃れられない現実……アスラ ンはせめてそれだけは回避させようとキラに呟くが……一瞬キョトンとしたキラだったが、やがて苦笑を浮かべて頷き返す。

「うん……多分……皆も ね………」

静かに周囲を見渡す……キラ とてそれぐらいは理解している。

だが……それでも皆戦うの だ……自身の知る者も知らぬ者も………このオーブという国ために………それに殉じることが本当に正しいかは解からない。

だがそれでも……自分で決め た道ならば………もう逃げない………キラはそう決意したのだ。

「……でも、勝ち目がないか ら……負けるから降伏して戦うのをやめて言いなりになるって…そんなのできないでしょ?」

穏やかな表情のまま言われ、 アスランは息を呑む。

ここで負けを認めるのは簡単 だろう……だが、その結果待つのはオーブという国が滅亡しかない。

知る由はないが、既にアズラ エルの鶴の一声のごとくオーブの殲滅はあっさり決められているのだから。

キラの行動も決して間違って いるとはアスランにも言えない……いや、結局のところ正解という選択肢などないのだ。

だが、どれだけ迷おうとも押 し寄せる現実は残酷なものでしかない。

MSの量産に成功した地球連 合は圧倒的な兵力と、また新型機を何機も投入してきている。

実戦経験も足りないオーブの パイロット達の能力や、昨日の戦況を鑑みても、疲弊しきった今、持ち堪える可能性は極めて…いや、零といっても過言ではない。

たとえ、キラやレイナという 少女のフリーダムやインフィニティが一騎当千の力を有しているとはいっても、それ以外の弱い部分から徐々に攻められれば容易く陥落する。

そしてそれは……自分とジャ スティスが欠けても、だ。

だが…アスランの受けた命令 は奪還か破壊……オーブがどうなろうと本来は関係ないはずである。いや、その命令に機体に関わった施設、人物など全ての消去が付随するのなら、むしろこの まま傍観者に徹すれば、それは容易く叶う。

だが……その選択を取れば、 キラ達を見捨てるという決断になる。

無論、自分とジャスティスが 加わった程度で侵攻を止められるとは思っていないが、それでもアスランはラクスの言葉を反芻させる。

 

――――アスランが信じて戦 うものは何ですか?

 

自分が戦う理由……父の命令 に従い、ただ敵を討つこと………違う、とアスランは内心で被りを振る。

自分が戦いに身を投じたの は、もう何も喪いたくないから……護りたいものを護りたいからだ……脳裏に過ぎるのは、宇宙に散った閃光の華………あんな悲劇をもう二度と繰り返させない ために自分は戦う道を選んだはずなのに。

葛藤するアスランに、キラが 労わるような視線を向ける。

「大切なのは……何のために 戦うかだよ……自分の意志で………だから、僕もいくんだ」

静かに決意を述べ、キラは昇 降機へと向き直る。

「……本当は戦いたくなんて ないけど、戦わなきゃ護れないものもあるから…」

強固な信念に、アスランは何 も言えない……昔からそうだった……泣き虫なくせに、変に頑固な部分がある……キラは浅く頷き、アスランに背を向けて昇降機に足を乗せる。

護るために戦うという……矛 盾した決意の道を…………

「ありがとう、アスラン…… 話せて嬉しかった………」

昔は、何時だって泣きついて きたキラが、最後までアスランに協力を求めなかった……遠ざかっていくキラの姿を、アスランは息苦しい思いで見詰めている。

その姿が、ラクスを連想させ る……決断を迫られるとき、いつだって唐突で時間もない……どうしようもない悲壮感にかられているアスランに近寄る人影があった。

「まいったね」

見計らったように背中から掛 かった皮肉っぽい声に振り返ると、そこにはパイロットスーツに着替えたディアッカ、ニコル、ミゲルが佇んでいた。

3人はそのまま格納庫を歩 き、発進していくフリーダムを見上げている。

「ディアッカ、ニコル…ミゲ ルも………」

その、まるでこれから出撃す るような姿にアスランは意図が解からず戸惑う。

「お前、それにリンの奴と一 緒にあの2機の奪還命令受けてんだろ? それとも破壊か?」鋭い問い掛けに、アスランはグッと言葉に詰まる。

遂行するには、つい今しがた のタイミングが最も良好だったと言われたような気がして苦々しい顔を浮かべる。

「あーあ……やっぱ、まずい んだろうな。俺らザフトが介入しちゃ」

本来なら、ここにいる全員が ザフトの所属のはずだが、アスラン以外は既にMIA認定を受けた存在しないはずの人間だ。だが、今のアスランにはそんなことに気を回す余裕もなく、咎めら れたようで俯く。

そのために、アスランの真意 を探ろうとしている3人の表情に気付けない。

「だが、俺は……」

葛藤に苦しむように、眼前で 無言の3人に向かって戸惑いがちに言葉を継ぐ。

一語一語を、噛み締めるよう に……

「俺はあいつを………」

そこでハッと何かに気付き、 言葉を区切るが……やがて、内心の思いを叫ぶように吐き出した。

「あいつらを……死なせたく ない……っ!」

衝動的で自分勝手な自己満足 の願望……だが、それがアスランに取っての譲れない思いとなった……だからこそ、面を上げて言い切った。

罵倒されても嘲笑されても構 わないと思ったが、まるで杞憂とも言いたげに、我、意得たりといった顔で3人は笑みを浮かべる。

「珍しく……ってか、意見 合ったの初めてじゃん」

「ホントですね」

「まったくだよな……お前ら がいっつも衝突して俺ら苦労してたよな……」

ニヤリと笑みを浮かべるディ アッカ、苦笑を噛み殺すニコル、そして疲れたような表情で溜め息をつくミゲル……その思い掛けない反応に、アスランは眼を丸くする。

「アスラン……僕やミゲルは もう、ザフトじゃありません………僕らも、護りたいものがあるからここで戦うことを決めたんです」

以前は感じさせなかった、強 い意志の込められた表情でニコルがアスランを見やる。

「そういうこった……ほん じゃまあ、出陣といくか!」

軽い口調でミゲルが先頭を 切って機体の方角へと駆け出し、ニコルもそれに続く。

未だ呆気に取られるアスラン の肩を、ディアッカがポンと叩いて覚醒させる。

「ほら、お前も急げよな!  リンの奴はとっくに出たぞ! ぼやぼやしてっと、皆やられちまうぞっ!」

ディアッカもまた駆け出 し……そんな仲間達の決意を感じたアスランは、込み上げる衝動を胸に、ジャスティスへと乗り込んでいった。

 

 

 

戦場へと姿を見せるネェル アークエンジェル………拡くなった格納庫では、一気に増えたMSの発進準備に追われ、整備士達が走り回っている。

「おらおら急げ! モタモタ してる奴は、後で格納庫の掃除だぞ!!」

マードックに代わり、整備の 陣頭指揮を取るトウベエ……流石に場慣れしてるだけあって、迫力と怒号が違う。

さらに増員された整備士が駆 け回る中、格納庫に艦載されたストライク、インフィニート、ルシファー、そしてポセイドンから加わったゾノとグーン、シン=アスカが搭乗する105ダガー だ。

「しっかし、まさかザフトの MSと肩を並べることになるとは……奇縁なものだな」

「そうっすね」

ムウが苦笑混じりに呟くが、 アルフはやや低い声で答え返す……その態度が不審に思ったのか、ムウがアルフに問い掛ける。

「おい、アルフ……お前、昨 日の相手のことを気にしてるのか?」

図星を指されたのか、アルフ は息を小さく呑み、ムウも表情を顰める。

「まあ、相手は元同僚達だし な……俺が代わってやってもいいんだが……」

アルフが昨日戦った相手は、 ムウも知っていた……ヘリオポリスに発つ前にGのパイロット候補生を紹介された時に出逢った女性教官だ。

アルフとの関係は詳しくは知 らないが、それでも親しい間柄というのは薄々感じ取れた……自分も、軍には未だ親しい友人達がいる。それと戦うことを考えると胸が苦しくなる…だが、自分 で選んだのだ……今更、逃げることはできない。

その気遣いに苦笑しながら も、アルフは首を振る。

「いえ……あいつのことは… 俺に任せてください」

決意を込めた視線で答える と、ムウが軽く息を吐くが、やがて眼が鋭くなる。

「まあ、そこまで言うならい いけどよ……だがな、俺達は絶対に負けるわけにも死ぬわけにもいかねぇんだ……それだけは解かっておけよ」

「……了解!」

答えた瞬間、ミリアリアから の出撃要請が入る。

《進路クリア、ストライク、 インフィニート、発進どうぞ!》

「ムウ=ラ=フラガ、ストラ イク! 出るぞ!!」

「アルフォンス=クオルド、 インフィニート! 出る!!」

発進シグナルが点灯し、 IWSPストライクとインフィニートを射出する……より長くなった発進カタパルトにより、より発進時の加速を得られ、さらにはカタパルト待機が行えるよう になり、発進がスムーズに行える。

次に、モラシムのゾノとグー ンがスタンバイする。

《続けて、カタパルトライン 接続……》

新しくCICに入ったマリア の声が通信から聞こえ、ゾノのコックピットの中でモラシムは奇妙な感慨に捉われていた。

(まさか、この私が脚付きか ら発進することになるとは……)

一度は沈めようとした艦から 発進しようとしている今の状況に、何ともいえない奇縁のようなものを感じ、モラシムは失笑を浮かべる。

操縦桿を握り締め、それを勢 いよく引いた。

「マルコ=モラシム、出る ぞ! 私に続け!!」

刹那、カタパルトがゾノを打 ち出し、ネオアークエンジェルの発進口からゾノが飛び出し、続けてグーン部隊が発進し、海中へと飛び込んでいく。

《続けてルシファー、ダガー 発進スタンバイ……》

《ダガーは、スカイエール パックに換装します……》

ルシファーにオーバーハング パックが……シンの搭乗するダガーには、トウベエがこれまた大西洋連邦内で試作された滞空用のストライカーパックが装備される。

 

AQM/E−X05:スカイ エールパック……大西洋連邦が、P.M.P.社と共同で開発した大気圏内専用のストライカーパック。

ザフトの空戦MS:ディンを 鹵獲した大西洋連邦がその飛行機能を解析、さらにはIWSPによって得られたデータから飛行能力を持たせたまま、スラスターとバーニアを大型化して推力・ 武装の強化も実現した。

 

200mmレールガンを装備 し、巨大な翼が折り畳まれたストライカーパックがダガーに装備される。

左右の手にはストライクと共 同のビームライフルとシールドが装備される。

コックピットの中で、支給さ れたオーブ軍用のパイロットスーツに身を包んだシンは、緊張した面持ちだった。

実戦は昨日、経験したが、そ れでもあの時は無我夢中であった……今こうして、冷静になって考えると、よく戦えたと思う。

操縦桿を握る手が震える…… なにしろ、訓練も何も受けていない民間人だ……いくらコーディネイターとはいえ、戦闘に対する恐怖がないわけがない。

《……大丈夫かい?》

その時、通信機から、隣のカ タパルトに待機するルシファーのカムイから通信が入る。

だが、緊張と息苦しさのため か、うまく返事を返せない……カムイもシンのことは聞かされたが、正直不安が伴う。

《無理はしなくていい……君 は後方の援護に回ってくれ……まずは生き延びること…これがパイロットの最優先事項だ!》

《進路クリア、発進、どう ぞ!》

被せるようなタイミングでミ リアリアからの通信が響き、カムイは通信を切って操縦桿を握る。

「カムイ=クロフォード!  ルシファー、いきますっ!!」

カタパルトが動き、ルシ ファーを打ち出す……艦外にその機体を晒した瞬間、機体が漆黒に色付き、スラスターを拡げて戦場に舞う。

《続けてスカイエールダ ガー……システムオールグリーン……進路クリア…どうぞ!》

マリアの管制で、シンは自分 自身を戒めるようにキッと前を見据える。

そうだ……決意したのだ…… 生き延びるために……妹を護るために………そのためにも、絶対に負けられない…死ねない………

震えを抑え込むように操縦桿 を硬く握り締める。

刹那、電磁パネルが発進を告 げるシグナルを点灯させた。

「シン=アスカ……スカイ エールダガー! いきますっ!!」

あらん限りの声で叫び、操縦 桿を引き、ペダルを踏み込んだ瞬間、カタパルトが動き、機体を前面へと押し出していく。

射出時のGが身体を圧迫し、 さらに息苦しくなるが…やがて視界が明るく瞬く。

ケーブルをパージし、その身 を戦場へと舞わせるスカイエールダガー……折り畳まれていた翼が拡がり、スラスターとバーニアが火を噴く。

新たな戦士が戦場へとその身 を投じた………

 

 

艦載機のMSが次々とネェル アークエンジェルから発進していく。

「MS全機、発進完了!」

「カタパルト閉鎖!」

ハッチが閉じ、ネェルアーク エンジェルもまた初陣に赴いていく。

「ゴッドフリート! セイ レーン起動! ミサイル発射管、コリントス全門装填!!」

副長シートに就くキョウが指 示を出すと、それに連動してネェルアークエンジェルの艦首ブレードの上部と側部から2連装のビーム砲が姿を見せる。

後部からはハッチが開き、ミ サイルが装填される。続けてバリアントやリニアカノンが次々に起動する。

「グリーンβ、マーク8に連 合艦隊を確認!!」

トノムラの報告に、キョウは 素早く頭の中に描くシミュレーションを行う。

「ゴッドフリート、1番!  及びセイレーンの1番、2番をブルーγの連合艦隊に向けて発射! その後、回頭40! 同時にコリントス発射!!」

素早いキョウの指示に、トノ ムラやチャンドラ、そしてパルが急ぎ指示を実行する。

ネェルアークエンジェルの ゴッドフリートとセイレーンが砲身を傾け、次の瞬間……太いビームの光状が放たれ、展開していたイージス艦隊4隻の船体を貫き、撃沈させる。

だが、その結果に構うことな く艦首の向きをノイマンが操艦で変え、イザナギ海岸に向かっていた揚陸艦に向けてミサイルが発射される。

何十発というミサイルが放た れるが、それらは揚陸艦の周囲に着弾し、水柱を上げる。中には被弾する揚陸艦もある……別に照準を合わせているわけではないので、狙いをつける必要などな い。敵揚陸艦の牽制と足を止めることが目的だ。動きの鈍った揚陸艦に向けてオーブ艦隊が発泡し、撃沈させていく。

「続けてバリアント照準!  撃てぇぇぇぇ!!」

キョウの怒号に続いて、バリ アントが発射され、イージス艦の装甲を紙のように砕いていく。

その時、索敵をしていたトノ ムラが声を詰まらせた。

「ソナーに感! 数4…い や、5……それと離れて1!」

その報告に、キョウは即座に 魚雷という考えを打ち消した。

「地球軍の水中MSか! マ リア! モラシム達を向かわせてくれ!」

「了解! アクトリーダー へ! 敵MS部隊接近…距離、18! 60ノットで接近中! 至急、急行願います!」

マリアが素早く指示を出す 中、トノムラが上擦った声を上げた。

「MS一機が別ルートでオー ブ艦に接近!!」

驚愕する間もなく、次の瞬 間……離れた位置に展開していたオーブ艦から火が昇った。

 

 

海中からの光の一閃……その 次の瞬間、オーブ艦が船体を前後に斬り離され、爆発する。

その上空では、死神の鎌: ニーズヘグを構えるフォビドゥン……コックピット内で、シャニは薄っすらとした卑屈な笑みを浮かべ、次の目標に向かっていく。

また別の場所では、オーブ艦 の対空砲火を機動性を駆使して潜り抜け、ブリッジに肉縛するヴァニシング……ブリッジクルーの顔が恐怖に歪むも、アディンは特に何の感慨も見せず、無表情 にビームアクスを振り上げ、ブリッジを斬り落とした。

そのまま離脱し、合体してい るステルスライザーの肩アーマーが起き上がり、ミサイルがオーブ艦に向かって吸い込まれるように着弾し、爆発の火花を咲かす。

滞空するヴァニシングに向 かって、海中より姿を現わしたゾノが魚雷を放つも、それに気付いたアディンはイーゲルシュテルンを連射して、魚雷を撃ち落す…最中、同時に照準をゾノに セットする。

一瞬、眼を顰めて引かれるト リガー……ロングライフルが火を噴き、海面に真っ直ぐ向かう。

モラシムは舌打ちし、素早く ゾノを潜水させるも、海面を蒸発させたビームが装甲を掠める……潜水すると、忌々しげに歯噛みするが、それもコックピットに響くアラートによって遮られ た。

振り向くと、そこには昨日の 戦闘で激突した地球軍の水中MS部隊が海中に静止している。

先頭に立つフォビドゥンブ ルーのコックピットの中で、ジェーンがゾノを睨む。

「昨日のカリ! たっぷり返 してやるよっ!!」

吼え叫びながら、フォビドゥ ンブルーがノットを上げ、突撃してくる。

「こいつは私がやる! お前 達は他を…ただし、接近戦は奴らに分がある!! グーン隊は一撃離脱に徹しろ! ワスプ隊は距離を取ってグーンを援護しろ!!」

水中での戦闘経験なら分があ る……モラシムは部下に伝えると、注意を迫ってくるフォビドゥンブルーに戻す。

既に直前まで迫っていたフォ ビドゥンブルーが三叉の槍を振り上げ、それを受け止める。

互いに押し合うゾノとフォビ ドゥンブルー……コックピット内で歯噛みしながら、膠着状態に陥るが……モラシムはゾノの脚を振り被り、フォビドゥンブルーを蹴飛ばす。

密着状態での蹴りは大きな衝 撃として伝わり、ジェーンは悲鳴を噛み殺しながらも耐え、至近距離から魚雷を放つ。

モラシムは舌打ちし、魚雷を かわすが……全弾をかわし切れず、機体が数ヶ所被弾し、水中での爆発が水上に水柱を立てる。

 

 

ネェルアークエンジェルが奮 戦するも、連合艦隊は圧倒的な艦艇の数を推して前に進み出る。

イージス艦を文字通り盾と し、揚陸艦艇がオーブ艦隊を突破し、海岸へと接近していく。

上陸させまいと海岸線に配備 されたM1部隊が応戦しようとする。

だが、構えた瞬間、M1二機 が撃ち抜かれた……驚愕するパイロット達の前に、カラミティを載せたレイダーが迫る。

コックピット内で奇声を上 げ、歓喜の表情を浮かべながらクロトがレイダーの頭頂部の機関砲で撃ち抜いていく。

その上に乗るカラミティもま た、手持ちの火器を狙いもつけずただひたすら撃ちまくる。

「どうしたんだよっ! 昨日 の奴らは!!」

最高の快楽を与えてくれる相 手……弱い相手を殺るよりも強い相手を殺った方がより大きな快楽を与えるように刷り込まれた身体……狩る者としての本能を植え付けられた破壊者は苛立ちを ぶつけるように尽くM1隊を潰していく。

ノーマルのM1が撃破される 中、ガンナーM1隊がビームキャノンを連射して叩き落そうとするが、そのビームの射線の間隙を縫うように、ゲイルが6枚の翼を駆使し、接近してくる。

コックピット内でウォルフは 口元を歪め、眼を細めた瞬間……ゲイルの胸部カバーが開閉し、内蔵されていた3つのエネルギー発射口に粒子が溢れ……刹那、紅い巨大なビームの奔流が解放 され、シャワーの如くガンナーM1隊に降り掛かる。

ビームに全身を焼かれ、爆発 するガンナーM1……その圧倒的なビームの熱量に他のM1の動きが鈍る……その隙を逃さず、ゲイルが海岸に降り立ち、両腕のファーブニルを放つ。

左右に伸びる真紅の双竜は、 M1のコックピットを貫通し、爆発する。

「どうした……BA! 俺を 満足させてくれる相手はお前だけ…早くしないと、こいつらが全滅するぞ」

卑屈そうに笑い、ゲイルはさ らなる獲物を求めて駆ける。

新型特機5機が突破口を開 き、それに続くようにイザナギ海岸に急接近してきた揚陸艦がビーム砲で活路を開きながら、甲板やハッチからストライクダガーが次々に飛び出していく。

ビームライフルを連射しなが ら、空を覆うように上陸してくる。

圧倒的な数の差を見せつけ、 次々とM1部隊を葬り、オノゴノの大地を踏み、進軍してくる。

その時だった……前衛を進ん でいたストライクダガーが彼方から飛来したビームを受け、一気に5機が爆発する。

遥か後方から向かってくるイ ンフィニティとフリーダム……インフィニティはデザイアを再度構え、照準が合わさった瞬間、トリガーを引いた。

内蔵される13の砲口が火を 噴き、瞬く間にストライクダガーを吹き飛ばしていく。

だが、ストライクダガー隊は 数が多いのを絶対的な有利と疑わないのか、それとも恐怖で混乱しているのかが解からないが、ビームライフルを一斉にインフィニティ、フリーダムへと向けて 放ってきた。

2機は空中で機動性を駆使 し、ビームの間隙を縫うように回避する。

回避しながらも、キラはコッ クピットの中で意識を照準に向ける……眼前にせり上がったモニターにロックされていく機影が映る…刹那、ビームライフル、ビーム砲、レールガンが火を噴い た。

それらは的確にストライクダ ガーの頭部、腕部、脚部、武装などを次々と撃ち抜き、戦闘不能へと追い込む。それをひたすら繰り返すフリーダム……眼下では、降り立ったインフィニティが インフェルノを振り上げ、ストライクダガーが密集している地帯へと飛び込み、ビーム刃を振り上げる。

懐に入り込まれ、味方が多く 入り乱れているために火器を多用できず、またイレギュラーな動きに対応できないストライクダガーを次々と斬り裂き、葬っていく。縦横無尽に暴れ回っていた インフィニティに向けて放たれるビームの奔流……それに気付いたレイナは咄嗟に操縦桿を引き、機体を飛び上がらせるが……飛行能力もなく、反応もできな かったストライクダガー数機がビームに呑み込まれて爆散する。

味方も巻き添えにするような やり方をするのは、一人しかいない……予想通り、海岸線からこちらへと真っ直ぐに向かってくる真紅の双竜の携えた機体……

「ウォルフ…っ!」

睨むように唇を噛み、レイナ はインフィニティを駆る……

「ッククク、さぁ! 昨日の 続きをやろうぜっ、BAぇぇぇぇぇ!!」

愉しげに吼え、ゲイルが ファーブニルを放つ……レイナはそれを捌くようにかわすと、ダークネスを撃ち返す。ゲイルは取って返すようにネオスキュラで応戦し、ビームが干渉し合い、 爆発を起こす。

視界を奪われるも、インフィ ニティは海上へと向かって飛翔し、ゲイルも後を追う……追い縋ってくるゲイルを確認すると、レイナはバックの体勢のままオメガを放つ。

その予想を超える攻撃を、 ウォルフは興味深い眼を浮かべながら回避する…だが、オメガの一撃は海面を掠め、連合の揚陸艦の一部を蒸発させた。空中でUターンし、インフィニティはバ ルカンを斉射する。

だが、ゲイルはバルカンをも のともせず、そのままファーブニルのビーム砲を放つ。

デザイアでそれを受け止める が、瞬時に後悔した……自ら視界を覆ってしまったため、ゲイルの姿を一瞬ロストする…その一瞬が戦場では命取りになる。

至近距離からファーブニルに 弾き飛ばされ、衝撃に呻くレイナ……態勢を立て直そうとした瞬間、別の方角からビームの弾丸が迫ってきた…ハッと気付き、機体を捻る。刹那、ガードした機 体に衝撃が走る……ヴァニシングのアシッドシザースがその鋏のようなクローを構えていた。

アディンは無言のまま、ミサ イルを一斉射する……インフィニティはバルカンで撃ち落しながら後退する。だが、目標を見失ったミサイルは海上の連合艦の周囲や艦自体に着弾し、爆発す る。そこへゲイルも肩のベルフェゴールのエネルギー砲を連射しながら向かってくる。インフィニティもまたダークネスとデザイアで応戦する……ビームが行き 交い、激しい火花と爆発が周囲に拡散し、眼下に展開している連合艦にはたまったものではない。

無論、これもレイナの狡猾な 計算だった……ウォルフもこのもう一機も味方の損害などまるで考えていない…だからこそ、連合艦隊の頭上で好き勝手に暴れ回れば、艦隊の戦力も削れると考 えた。戦艦の対空砲火など、注意するまでもない……問題は、この2機をどう片付けるか、だった。

難題に思考を耽らせながら、 レイナはゲイルとヴァニシングを相手に対峙する。

 


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