まぶらほ〜獅子の名を継ぐもの〜 第一話    プロローグ
 
 
ズゴァァァァァァ!ドドン!ガッシャーーーーーーーン!
 
長い渡り廊下の中から爆発音がこだまし、絶叫と悲鳴が交差する。
だが回りの生徒たちの反応はいたって冷静なものであった。なんせこの類の騒動はここ数ヶ月というもの、四日に一度ぐらいのペースで起こっており一種の名物 になっていた。またか、と、ため息を漏らすものさえいる。
それぐらいこの魔術師養成学校、葵学園の生徒たちにとっては日常茶飯事であった・・・・・・・・。
  
 
 
 
 
「まったく・・・・よくやるね。君達は、懲りずに毎度毎度」
 
とため息混じりに葵学園の養護教諭、紅尉晴明は目の前にいる生徒、式森和樹に対して喋りだした。
 
「で、今日の原因は?」
 
「はあ、毎度お馴染みといいますか、その・・・・舞穂ちゃんに宿題を見せてもらおうと思ったんですけど、そこを見つかっちゃて」
 
「少しは学習したまえ、君の治療費と宮間君が壊した校舎の修理費で、来年度の予算案は五割り増しになる予定だそうだ。会計が泡を吹いて卒倒していたらしい ぞ」
 
「スイマセン。」
 
そして治療も終わり、入り口を出るときになって紅尉はふとつぶやいた。
 
「信じられんよ・・・・私には」
 
その言葉を聞いた和樹はつい立ち止まって聞き返した。
 
「え、なにがですか?」
 
しかし紅尉は柄にも無くあせった表情でいった。
 
「い、いやなんでもない。それよりもう行ったほうがいいだろう。授業が始まってしまう。」
 
「あ、はい。ありがとうございました」
 
こうして和樹が出でいったあと、一人残った紅尉はしばらく何もやることが無い。しかたがないのでぼうっとしていた。その表情からは何かを思い出しているよ うにも思えた。が、その瞑想は、一人の人物の到来によって破られることになる。
 
「アーー頭いた、紅尉〜〜なんか薬チョーダイ」
 
大声を出しながら入ってきたのは、和樹たちの担任でもある伊庭かおり。なにやら相当悪そうな雰囲気である。今度の紅尉は半分不思議、半分呆れ返ったような 表情を浮かべた。
 
「君がここへ来るとは、珍しいな」
 
「別に来たくて来たんじゃないよ。出来れば我慢したかったんだけどもう限界、さすがにマッカランのストレート十二杯とピクミン半日ぶっとうしはキツカッ タ。・・・・・・・・だからなんかちょーだい」
 
と、勝手にベッドにふんぞり返りながら唸るように行った。
 
「やれやれ・・・・」
 
紅尉はベッドに向かって無造作に酔い止め薬の入ったビンを投げた。本当は文句の一つでも言ったやりたくなるのだが、もはや意味の無いことなのでそれは言わ なかった。
 
「そういえばさっき式森とすれちがったが・・・・・・・またか」
 
伊庭は酔い止めを飲みながらこれまた呆れかえった様な顔で呟いた。伊庭もこの学校に赴任してきてかなりの月日がたっている。ましてや原因が自分のクラスに あるとあっては、知っていて当然である。
 
「君も止めたらどうだね、自分のクラスだろう。」
 
しかしそれについて伊庭は猛然と反撃した。
 
「冗談言うなよ!あたしにケンタッキーのメニュー全品もってライオンの檻に入れって言うわけ、あんたは」
 
紅尉は肩をすくめる。こう答えることをある程度予想していたらしく、それ以上は何も言わなかった。紅尉は机に向かうと白い紙を取り出し、なにやら書き込み 始めていた。そうしてしばらく沈黙が流れる・・・・・・・・。
 
 
 
「なあ・・・・」
 
先に沈黙を破ったのは伊庭のほうだった。
 
「後にしてくれないか、私は今・・・・」
 
しかし伊庭は無視して続ける。
 
「式森のことだけどな・・・・あたしはどうしても信じられないんだ、あいつが彼の息子だなんて・・・・・・・・本当のことなのか、それ」
 
ピタリと紅尉の手が止まった。それから答えるまでしばらく時間がかかったように聞こえたのは気のせいだろうか・・・・
 
「ああ・・・・たしかにそうだ」
 
だが伊庭はまだ信じられないような口調で続けた。
 
「ぜんぜん違うぞ、あの人と・・・・」
 
「それは私も常々思っているよ・・・・・・・・というか、君は会ったことがあるのかね?」
 
紅尉は心底不思議そうな顔で伊庭を見た。
 
「子どものとき一度だけな」
 
そう、伊庭は会ったことがあった。あの子どもだったときの自分が思い出される。ビルの中に閉じ込められた自分の泣き声。外から聞こえてくる人々の悲鳴。そ してその状況の中から自分を救ってくれたあの人の眼差し・・・・
 
「式森があの人の息子だと知って、正直うれしかった。けど今のあいつを見るとなんかな・・・・」
 
「仕方あるまい。息子が必ずしも父親に似るとは限らないし、それに彼はこのことを知らない。いや、知っていたとしても無理だろう」
 
紅尉は笑いをかみ殺していたようだった。が、その表情はすぐに変わった。人が思い出を語るときに見せる微笑だった。
 
「それぐらい偉大なことをやったんだよ・・・・式森君の本当の父親は・・・・・・・・・・・・獅子王凱は・・・・」
 
西暦20××年、よく晴れた昼の出来事だった。
 
 
 
あとがき

どうも、初投稿の東ひじりです。
このネタは、わかる人にわかると思いますが、まぶらほと勇者王ガオガイガーのクロスオーバー作品です。
 ガオガイガー?何それ?って思う人もいるかもしれませんが、何とかそういう人にも理解できるように書いていきたいと思います。時代設定違うだ ろ!と、思っている人も多いかもしれませんがその辺りは多めに見てくださいお願いします
どうもここまで読んでくださってありがとうございます。  



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