第十三話         和樹争奪戦! 戦え、最強勇者美女軍団!!







真っ暗だ・・・・・・・・・

暗い・・・・・・・・・

ここは・・・・・・何処だ・・・・・・

水・・・・・・いや、海水・・・?

そうだ、俺は・・・・・・







「ウィル!ナイフ!」

「ガオファー!!」





そうだ・・・・・・俺は・・・・・・・

いや違う・・・・・・

まだだ!!

こんなんじゃ終われねえ・・・・・・!!

オレハマダ・・・・・・ソウダ、マダ・・・・・

ma・・・・・・da・・・・・・・





「ほほ――ウ!ま〜〜〜だ戦う気力があるのですかぁ」



ん?

・・・・・・コイツハ?



「てめえ・・・・・・ギムレット・・・・・・」

「あなたも所詮『心弱き者』と思いましたが・・・・・・意外と粘りますねえ」

「何しに・・・・・・きた・・・・・・・・・情けなら、受けねえぞ!」

「『彼』の命令でねえ・・・・・・あなたに協力しますヨォ」

「な・・・・・・に?」

「さあ・・・・・・これをうけとりなさい」


「な?」



てめえ・・・・・・何しやがる・・・・・・

ヨセ・・・・・・

ヤ・・・・・・・・メ・・・・・・・・・・・ロ・・・・・・・・・・・













「・・・・・・・・・き・・・・・・」

変な夢だったな・・・・・・

「・・・・・・ずき・・・・・・」

ナンだろ・・・・・・一体・・・

「和樹ぃぃ!」

「うわぁ!!」



ドッタン!!!

突然の雷により、式森和樹はベッドから転がり落ちた。

「いててて・・・・・・」

「ようやく起きたか・・・・・・」

「む、父さん・・・・・・」

「『む』、とはナンだ。もう皆、支度は済んでいるぞ」

「え・・・・・・あ!」

「ようやく思い出したか・・・・・・」

その通り、今日は待ちに待った(ひとりをのぞいて)Gパークへ遊びに行く日なのである。

雷王の行ったとおり、夕菜たちは既に用意して入り口の方で待っていた。

「本当はあの子達が起こしに行きたいって言ったんだけどな・・・・・・朝っぱらから騒動は俺としても本意じゃない」

「どうもありがとう・・・・・・・」

確かに今まで、和樹を誰が起こしに行くかで毎朝確実にひと悶着起こすのだがそこは大人の雷王である。
自分が起こしに行くということで何とか危機を回避したのであった。
これに関しては、さすがに和樹も心から感謝した。

「今、コースをどう回るかを決めてるところだから、その間に着替えろ」

「わかった・・・・・・」

いそいそと自分に包まった毛布から這い出す和樹。
急がなければ、という気持ちが優先して、さっきの夢のことは・・・・・・


もう、忘れてしまった・・・・・・・・・








「じゃあ、もう一回おさらいするわよ」

玖里子が言い出した。

「最初に行くのがスクラム百人切り。
最後が大観覧車。
で、その途中はその場に臨機応変で」

「おさらいする必要があるのですか・・・・・・?」

「そなえあれば憂いなしって言うでしょう」

「何の備えかはわかりませんが、とりあえずこれで行きましょう。
楽しみですね〜〜〜」

キャ、キャと三人娘たちが騒いでいる。

もちろん今決めたのはGパークを回る順番だが、言葉からもわかるように今決めたのは最初と最後だけである。
これでは決めたことにならないかもしれないが仕方が無い。
何しろ始めの三人の意見は見事にかみ合わなかった。

まず始めに夕菜が、

「Gコースターがいいです」

といえば

「いや、私はそれよりもこのスクラム百人切りが・・・・・・」

澟が言えばすかさず、

「日曜オンステージ・男口説き大会なんてのもあるわね」

と、玖里子がその意見を遮断し、はっきり言ってまとまりがない事この上ない。
こんな感じで二十分ほど論議を続けた結果、行き着いたのがこのプランだった。

「まあ、これが一番妥当でしょうね」

澟がため息半分に行った。

「そういえば、舞穂ちゃんは?」

玖里子が二人に尋ねた。
確かにここ数日見ていないような気がする。

「紅尉先生の所で、何かあるらしくて、明日まで帰れないそうです」

「ふうん」

和樹はまだ来なかったので、無駄話で続けることにしたが、





彼女たちには、ある一つの目的があった・・・・・・



何を隠そう式森雷王である。

色々と紆余曲折があり、最初の方はこちらが振り回されていたが、重要なことを忘れてはならない。

彼は、和樹の父親なのである。
つまり彼女たちはこう考えている。



「もしここで自分の・・・・・・」

「和樹との仲をアピールすることが出来れば・・・・・・」

「式森と・・・・・・」



とまあ、このような見え見えの考えを、浮かべているわけで・・・・・・

「ふふ・・・・・・」

「ほほほ・・・・・・」

「くくくく・・・・・・・・・」



それぞれの思惑が交差するわけで・・・・・・・・・



「ごめん、遅れちゃった」

「おいおい、十分だぞ十分。待たせすぎだ」

「オイオイ、七分ハお前ノ食事ノ時間ダロウガ」

漫才をしながら和樹と雷王と、そして彼の肩に乗ったミレイが出てきた。

「いいですよ。その間に順番決められましたから」

「あれが順番といえるのでしょうか・・・・・・?」

澟が少しだけ愚痴をもらしたが聞かないことにした。

「よし、じゃあ行くか!」

「どうやって?」

「レンタカー借りてきた」

「「「「あっ!」」」」

四人がいっせいに右を向く。
確かにそこには一台のレンタカーが置いてあった。

「全部計算づくだったな・・・・・・」

「ん、なんのことだ?」

「チケットを僕のポケットに忍ばせたのも雷王なんだろう」

「気付くのが遅いぞ、わが息子よ」

「ぐ・・・・・・・」

本来ならばここで怒鳴り散らしているところだが、さすがに朝っぱらから叫ぶのは無理だ。
ご近所のことも考えなければならない。
和樹は必死で歯を食いしばった。
雷王は勝ち誇ったような顔をすると4人に対し言う。

「よっしゃ、一同乗り込め〜〜〜い」

「「おお――う!」」

「・・・・・・・・・おお」

玖里子と夕菜が元気よく叫び、少し続いて澟が言った。
和樹は何も言わない・・・・・・











一時間後・・・・・・・・・

「わあ、とうとう着きましたね!」

一向は吉田栄作のドラマ並の展開の速さでGパークへ到着した。

さすが日曜ということで混んでいる。

「まず何に乗るの?」

和樹が三人に向かってしゃべる。

「Gコースターね。ここから歩いて五分ぐらい」

玖里子が答えた。

「おし、行こう」

雷王が先頭になって歩き出した。

「まったく子どもだな・・・・・・」

和樹が悪態をつく。

「何を言うか。子供の心をいつまでも持ち続けるというのは、いいことだぞ」

「そ、そうですよね! 私もそう思います・・・・・・」

澟が半分引きつった声で横から答えた。

「ア〜〜〜澟さん、そうやってまた株をあげようとする!」

間髪いれずに夕菜が言った。
案の定澟の顔は紅潮し、あたふたし始めた。

「い、いえ私は・・・・・・その・・・自分の正論を述べただけで・・・・・・」

「いや、別にいいんじゃない! むしろその方がいいぞ!俺にとっては」

「「「へ!?」」」

余りに思いがけない雷王のセリフに夕菜と澟が棒立ちになった。

「本気にしないほうがいいよ。可愛い子がいたら、すかさず襲いかかろうとするやつだから」

「何を言うか和樹!俺がそんなに見えるのか!!」

雷王がやや怒った表情でにらみつける。
しかし和樹はそれ以上の気迫でもって言い返してきた。

「見えるからそう言ってんじゃないか!! 大体父さん、仕事どうしたんだよ!!」

「ん?仕事? ああ、それなら心配ない。有給休暇、取って来たからな、一週間ほど」

「一週間もいるのか・・・・・・・・・」

和樹は泣きたくなってしまった。

「そういえば・・・・・・お父様は、どんな仕事しているんですか?」

玖里子がたずねてきた。
しかも、ちゃっかり「お父様」と言って・・・・・・・・・

夕菜も澟も言い返そうとしたが、先ほどのやりとりで二人は言い争いをしている。
さすがにまた混ぜっ返すにはいかなかった。

(玖里子さん・・・・・・・・・自分はおしとやかだと思わせるなんて!!)

(クッ・・・・・・なかなかの策士・・・・・・)

夕菜と澟が言い争いをしているところで、にこやかな笑顔で雷王に近づく。
澟が何かを言えば、夕菜は間違いなく条件反射で動くだろう。
そこで見事に漁夫の利を狙う・・・・・・・・・これが玖里子の戦術だった。

「くすっ」

二人に向かって乾いた笑いを飛ばすところを和樹は見逃さなかった。
そしてそれによって、澟と夕菜の温度が上昇したことも・・・・・・

「そうですね! 是非教えてください、お父様!」

「私も興味があります、お父様!!」

もうこうなったら三人は手がつけられない。

(な・・・何かが渦巻いている・・・・・・・・・)

はたから見ても三人には何かがあった。
周りを行く人々も、恐れてかなり距離を空けている。
唯一の例外は雷王である。
実力があるのか神経が図太いのか、ケタケタと笑っていた。

(さ・・・・・・最強勇者美女軍団だ・・・・・・・・・・・・・・・)



和樹も、少しずつ、彼女たちに悟られないように三人との間を空けながら思う。
今、和樹争奪戦の火蓋が切って落とされたのだった・・・・・・・・・











あとがき

ここまで読んでくださってありがとうございます。よかった・・・・・・少なくまとめられた・・・・・・・・・。それにしても、ホントにこいつ等扱いにくい な〜〜〜〜(笑)。
さて、次の次辺りでたぶん戦闘に突入します。そしてその次には・・・・・・いやいや、さすがにそこまでは言いません (隠す意味多分ないけど・・・・・・)お楽しみです。

さて、次回もこの小説にファイナルフュージョン承認!
これが勝利の鍵だ!!『Gパークのアトラクション』




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