5話 旅立ち

 

まずは、手始めに派閥から一番近 い公園へと向かった

「導きの庭園、いわいる市民公園 にあたる場所だな」

 ネスが丁寧に教えてくれる

 

「いくらなんでも、ここぐらいわ かるよ むしろ、ここについてはネスよりも僕のほうが詳しいと思うよ?」

 

「ほぅ?」

 

 

「木陰の気持ちいい寝場所とか、 おいしいお菓子を売っている出店はどれかとか、どこに隠れれば、ネスやラウル師範が追いかけてきても見つからないとか・・・」

 ユウナは笑っていた

 

 凛ちゃんは呆れていた

 

レオルドは無言で立っていた

 

バルレルはニヤついていた

 

 

 

そして、ネスは

 

 

 

笑顔で額に青筋を浮かべていた…

 

 

「ほぅ、そこまで詳しいとは なぁ・・・しかも修行もしないでどこに隠れていたと思えば・・・」

このままではネスティの必殺辞書アタック(辞書を凄い勢いで投げつけられる事)が発動してしまう、そう思い後ろに後ずさった瞬間

 

「きゃぁっ!?」

そんな声とボスッという音と共に 少女が僕の足にぶつかった

 

「あっと、ごめん大丈夫だっ た?」

 

「ひゃうぅ・・・は、鼻ぶつけ たぁ・・・」

 僕にぶつかったのは金髪で背は 凛ちゃんと同じくらいの少女で、鼻を押さえながらうずくまっていた

 

「大丈夫?」

ユウナが駆け寄って少女の様子を 見る

 

「あ、へ、平気ですぅ・・・」

 

「どういう理由があるのかはわか らないが、無闇に地面ばかり見て歩くのは危ないからよした方がいい」

 そう、軽く少女を注意するネス

 

「ミ ニスー」

 遠くでそんな声が聞こえた

 

「はい、気をつけます・・・ じゃ、じゃあ連れが呼んでいるので」

 そう言って、そそくさと立ち去 る少女 しばらく走って知り合いなのか長身で金髪の女性が心配そうに駆け寄っていく。

 

「なにか探しモノでもしてたのか な?」

 

「かもしれないな・・・下ばかり 見て歩いていたからな」

 

「気づいてたんならなんか一言 言ってくれよ」

 

「まさか君が事前に危険を察知し て逃げ出すとは思わなかったからな・・・彼女には悪い事をしたな」

 そう言ったネスの顔には見るか らに お前が悪い と書いてあった。

 

 

 

 

 

繁華街

 

「ここはまた、随分と賑やかだ な」

 私が、行き交う大量の人々を見 てそう呟く

 

「ここは繁華街って言ってまぁ色 んなお店があってこの街でも一番人が集まる場所だね」

 そう主が説明してくれる

 

「ゼラムほど大きな町になるとそ の規模も大変なものになる、夜になると人の数はこんなものじゃないぞ?」

 そうネスティとかいう主の兄弟 子が付け足す。

 

「な、まだ人が増えるというの か?」

 私は驚いた、今でさえ人が沢山 いて気をつけないとはぐれてしまいそうだというのにまだ増えるというのだ。

 

「繁華街っていわれるだけのこと はあるのさ、宿屋や酒場は旅人で賑わうし、大劇場での催し物やカジノは夜しか開かれないんだ」

 

「それは、凄いな・・・」

 周りは本当に人で溢れかえって いた、気を抜いたらぶつかってしまいそうなほどに、それにシルターンには無い色々な店も開いていてとても賑やかだった。

 

 

 

この繁華街と貿易がゼラムの主産業といってもいいから な

 

ハッ と気がついたときには自分 は主達から随分離れていた・・・このままでははぐれてしまう!! 必死に主達に、カズキに追いつこうとするが人が邪魔で思うように進めない・・・段々離 れていく 怖かった このまま私ははぐれになってしま うのか?

 

 

 

 

 また私は一人にされてしまうのか? 

 

 

 

 

 

そう考えるととても怖かった ま たあの時みたいに誰かに置いてかれるのが怖かった その思いで私は必死に手を伸ばした・・・

 

ちょっと、どいてくださ い!!

 そんな声と共にふいに誰かが私 の手をギュッと握る・・・その手はとっても暖かかった。

 

「ごめんね凛ちゃん、気づかな くって」

 その手を握ってくれたのはやは りあいつだった。

 

「さて、早く三人に追いつかない とね焦ってたから三人に何も言わずに来ちゃったからね」

 そう言って、私の手から力を抜 いて急いで三人を追いかけようとするカズキ

 

              ―ギュッ―

 

私は、その手を離されまいとアイ ツの手を強く握った。それを感じてアイツが私のほうを向く

 

「ま た、はぐれたら困るから…」

 

 

 私は、本当は怖いのかもしれない

 

またあの時みたいに置いてけぼりにされるのが

 

一人にされるのが

 

 

だがコイツはきっと私を置いてっ たりなんてしないだろう、きっと そぅ、きっとだ…

 

 

それから私達はそのまま手を繋い で三人に追いついた

「あぁ〜!!凛さんズル イ私も、私も〜!!」

 そう言って、私とは反対の方の 手を繋ぐユウナさん

 

「ちょっと、ユウナ両手塞がった ら歩きにくいんだけど…」

 ちょっと、照れくさそうにそれ でもその手を振り払わないアイツ…なんか少しムカつく…何故私はムカついているんだ?

 

 

「全く、やっと見つけたと思った ら何をやってるんだか…」

 

「主殿ハ嫉妬シテオラレルノデス カ?」

 

「う、うるさい!!

 

 

 

 

 

 

 

それから、ハルシェ湖畔、王城 前、高級住宅街等色々な所をネスに教えてもらった。

そして最後に僕らは商店街に来 た。 旅先で必要なものを買うために来たのだ。

 

「うわぁ、これ全部お店なんだよ な?」

 

「ゼラムには大陸の各町から様々 な品物が集まってくるからな」

 

「これだけ数が多いとどこの店で 買ったらいいか迷っちゃうな」

 

「その辺は心配ない」

 何故? と聞こうとした時

 

「カズキさんこれなんて可愛くありませんか?」

ユウナはドレスを一つとって聞いてくる

 

「ん? どれどれ? 結構可愛いね・・・」

 ユウナの髪と同じ色のとても綺麗な色のドレスだった。

 

「カズキ・・・その値札を見てみろ」

 

「え?・・・いち、じゅう、ひゃく、せん・・・・・1万バーム!?!? ゴシゴシッ」

  何かのみ間違いかと思って何度目を擦っても0の数は変わ らなかった。本当にこれは唯のドレスなんだろうか? 実はボタン一つで発射する小型ロケットミサイルでも積んでるんじゃないだろうか、

 

「扱う品物が高級なほど値段も上がっていく、懐具合に応じて自然に店は決まるわけだ」

 

「なるほどねぇ・・・ それはわかったけどなんで洋服ひとつにこんな値段がつくんだ?」

 

「遠い町から輸入すればそれだけ手間賃や輸送費がかさんでいく、その結果さ ちなみにそ の服は有名なサイジェントのキルカの織物さ 貴族の着る洋服だよ」

 なるほど、遠いところから輸入すればそれだけ関税やら何やらがかかって値段が倍近く上 がることもあるって授業で習ったような気がする。

「うはぁ・・・」

 

「さて、ついでだから旅に必要な品物を買い足していくとしよう」

 

「お金足りるかなぁ?」

 

「言っただろう?懐具合にあわせて店は選べるって」

 

 

 

 

 

 

 

大体の品物を買い集め最後に立ち寄ったのは武器屋、

 

「う〜ん…」

僕は目の前にある剣と睨めっこしていた。

 

 

 

「何を見ているのだ?」

 しばらくすると凛ちゃんが僕の隣から聞いてきた。

 

「いやぁ、旅に出るんだしやっぱり武器は必要かなぁって」

 

「お前は召喚士だろ武器は剣ではなく杖であろう。」

 

「まぁ、そうなんだけど…ほら、僕って落ちこぼれだし大した召喚術も使えないじゃない、 だから魔力が尽きても自分の身位守れるようにってね」

  せめて、前に出て戦える程と はいかなくても襲われた時に咄嗟に対処できるように剣が欲しいと思った

 

「そうか… じゃぁ、これなんてどうだ?」

 凛が選んだのは、細身で軽い剣だった。

 

「う〜ん…ちょっと重くて振れなさそうだ…もっと軽いのはないかな?」

 軽く握って重さを確かめてみながら素直に感想を言ってみる。

 

「ソレ、女性用でうちで一番軽い剣なんですがねぇ」

店の亭主が申し訳なさそうにそう言う

 

『………』

 

「やっぱり、僕なんかが武器持つなんて間違ってるよねハハハ、行こうか」

 

「そ、そんな事はない、少し待ってろ」

 そう言って凛ちゃんは駆けていく 

 

  しばらくして凛ちゃんが帰ってくる 

 

「コレなら、どうだ?」

 そう言って、凛ちゃんが差し出したのは小さな短剣だった。

 

「み、身を守れる物が欲しいのだろ? ならば、剣ではなく短剣の方がいいと思うから…その…」

そう必死に剣が持てなかった僕のフォローをしてくれる凛ちゃん(フォローになってないの は置いといて

 

「そうだね、ありがとう凛ちゃん おじさんコレください。」

 

「おぅ、300bだぜ あとそれから、俺はこうみえてもおじさんじゃなくてお兄さんだ!!華の20代だ!!

 そう断言しながらおじさん…じゃなくてお兄さん(自称)は短剣を売ってくれた。

 

 「でも、どうやって持とう?  腰には杖が入ってるからちょっと邪魔になるしな…」

 

「紐で縛って首から下げてみては どうだ? 私がやってやる」

 そう言って凛ちゃんが紐を通し て首にかけてくれた。

 

「へぇ〜、これで少しはカッコよ く見えるかな?」

 そう言って、シュピッ と短剣 を抜いてみる僕

 

『ドガ スッ!!』

 

「こんな街中で抜くな馬鹿!! 他の人が異様な目で見てるだろうが」

 

「ごめんなさい…」

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ出発しようか」

 

「うん、そうだね」

 ふぅ、出発前からかなり疲れたよ・・・この先ずっとこの調子だったら・・・はぁ

 

「カズキ?」

 

「な、なに?」

 

「なに? じゃない 行き先を言わなければ出発のしようがないだろう? これはあくまで 君の旅なんだぞ? 僕は監視役でしかないすべての決定権は君にあるんだ もっとも・・・ あまりにそれが無茶なものだったら意見を言わせてもらうがな」

 つまり、ケチはしっかりつけるってわけか、全くネスらしいというか・・・

「何か言ったか?

 

「べ、別にっ!(今僕の心の中読まれた!?!?」

 

「主、途中から口に出てたぞ…」

 

「ネス・・・実は僕きちんと目的地決めてないんだよ・・・」

 

「なんだって?」

 ネスが言う。

 

「いや、その目標はあるんだ、目標は…でも、どうやってソレに向かったらいいか…」

 

「やれやれ、普通は事前に調べておくことだろうに・・・で、その目標っていうのはなん だ?」

 

「それは…駿司さんを見つける 事」

凛ちゃんが僕の方を見て何か言いたそうな顔をする

 

「駿司?」

 

 「凛ちゃんのお兄さんでこの世 界に召喚されたらしいんだ、だから二人を合わせられたらいいなぁ〜って」

 

 

「カズキさん、優しいんです ね…」

 

「ケケケ、人間お前馬鹿だろ?こ の広い世界でどうやってソイツを見つけるんだ?」

 バルレルが馬鹿にしたように (実際馬鹿にされている)言う

 

「ソノ人物ヲ発見デキル確立は、0,0003% 以下ホボ不可能デアリマス」

 

 

 

「それで?」 

 

「それでって…」 

 

『それが派閥の任務とどう 関係があるかってことだ!!!!』  

 そう大声で怒鳴るネス

 

「いや、そりゃ…関係なんてないけどさ、別に見聞の旅なんだから別にどこへ行ってもいい だろう?それに急に見聞の旅に出ろなんていわれてたった一晩で目的地が決まるわけないじゃんか!!

 

「はぁ、全く君って言うやつは…、で具体的には何処へ行くんだ?」

 ネスは呆れながらもそういう

 

「え?いいの?」

 ネスがこんなにあっさり了解してくれるとは思わなかった

 

「いいもなにも、君がさっき言ったようにこれは、君の旅だ何を派閥の有益と考え行動する かは君次第だろう…で、さっきも言ったように何処へその駿司さんを探しに行くつもりだ?」

 

「えっと、それは…」

 

「はぁ、全く…とりあえず南だ、街道を通って南の街ファナンに向かう」

 

「ファナン?」

 

「西王都宛に物資が荷揚げされてくる港湾都市だよ、陸路にしろ海路にしろあの街を経由し ないと話になら無いからな、つくまでには目的地を決めておくんだぞ」

 

「目的?」

 

「駿司さんとやらがどこにいるかはわからないんだろうが!! ファナンから次何処へ行く かしっかり決めておけ!! それから、駿司さん探しと併用してしっかりと派閥の任務もこなす事…いいな!!」

 

「わ、わかったよ」

 

 

 

あとがき

 

作「さて、まぶらほ第5話旅立ちどうでしたでしょうか? さ て、今日はまぶらほよりヒロインのお一人風椿 玖里子さんにお越しいただいておりま〜す。」

 

玖里子「はじめまして、まぶらほの真のヒロインこと風椿 玖里子です。」

 

玖里子「それにしても、凛ちゃんや夕菜ちゃんはもうちゃんと出てるっていうのになんで私 が未だにマトモな台詞すら無いのよ!!

 

作者「しょうがないじゃないですか!! 唯でさえ設定が難しいキャラなんで すからサモンナイトの世界でできるだけまぶらほの世界の設定に近づけてそれでいてカズキとの接点を作るなんてかなり悩んだんですから!! という か、今回も一応出番とこのあとがきに出させてあげてるだけマシだと思ってください」

 

???「そう言う偉そうなことはマトモな作品を書けてからいうんだな、なんだこの設定は やけにこじ付けな設定ばかりじゃないか(設定資料を読みながら」

 

 作者「何勝手に作成途中のの設定資料読んでんだよ!! むしろ、まだ本編に影も形も出 てないお前が出てくるな!!」

 

玖里子「え〜っとどちら様で?」

 

 作者「次回出る予定にあるオリキャラの…まぁ、本編で名前すら出てないのでここでは、 る〜君とでも呼んでおこうか」

 

る〜君「誰がる〜くんだ!! そんな事より次回はちゃんと出して くれるんだろうな駄目作者?本来なら第1話から出る予定だったんだろうが!!

 

駄目作者「予定は未定だ…さ〜ってどうしよっかね〜なんか、色々駄目作者とか言われ ちゃったしな〜」

 

る〜君「て、てめぇ〜(チャキッ」

 

 駄目作者「おっと、暴力は反対だな〜 サッ(逃走」

 

る〜君「あ、待てコラァ!!」

 

 玖里子「はぁ、なんだか今日の作者はおかしいわね…テストのやりすぎで壊れたかしら?  さて、今回も読んでくれて有難う、賛否両論の感想お待ちしております。 それから、次回も楽しみにしててね」





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